ツアー・オブ・ジャパン堺ステージのアツイ一日(4)

 

記事4回目にして、自転車競技のロードレースの国際大会ツアー・オブ・ジャパン堺ステージがいよいよはじまります。
お昼を過ぎて快晴の五月の日差しはいよいよ強く、選手たちの身体に容赦なく降り注ぎます。さてどんなレースになるのでしょうか?(第一回第二回第三回

 

■タイムトライアルを観戦

 

本番の堺ステージは1チーム6人、16チームの選手たちが出走します。午前中の堺国際クリテリウムと違ってコースは1周、出走は一人ずつです。
スタート地点は堺国際クリテリウムのスタート地点よりも少し東よりに設定されていて、スタート台が組まれていて一人ずつ出走していくようです。全員同時スタートは華やかでパレード感がありましたが、個人個人のスタートには研ぎ澄まされた緊張感を強く感じます。
一番手に登場したのはスパークルおおいたの竹村拓選手。2021年に出来たばかりのスパークルおおいた。若いチームがどんな活躍をしてくれるのか。一番手が飛び出していくと、すぐに二番手の選手がスタート台にあがってきます。ジャージはオレンジ色のヴィクトワール広島。どうやら、チームプレゼンテーション順に出走するようです。

 

 

スタート台の裏に回ると、次に出走する選手たちが待機するゾーンになっています。出走者数は6人×16チームだから96人。それが30秒おきに出ていくわけですから、段取りして進行するのも大仕事。滞りなく進めているスタッフワークはお見事です。

 

 

ゴール地点へと移動すると、1周2.6kmのコースを3分10何秒ぐらいのタイムで駆け抜けて、どんどん選手が飛び込んできます。走者がすぐ目の前を駆け抜けていくスピードや迫力は満点で、ロードサイドの観客からは感嘆の声があがっています。特に小さな子どもたちの反応が良いですね。人間の肉体が生命をほとばしらせて突き進む様というのは美しく、一心不乱のひたむきさは胸を打ち、何か見る人の本能に強く訴えかけるものがあるのでしょう。これはライブ観戦でしか味わえない醍醐味です。

 

▲弱冠20歳のトリニティ・レーシングのディーン・ハーヴィー選手と同年代の日本の若者たち。何を話しているんでしょうね?

 

レースを終えた選手がクールダウンしている所では、ファンと交流している様子もありました。ファンと選手の距離感が程よい感じで、激しいレースを離れると一転してゆったりと牧歌的な空気が流れていました。

 

 

ロードサイドでのライブ観戦は迫力満点ですが、現時点での順位はどうなっているのかとか、レースの全体像が把握しづらいです。そんな時はゴール地点の大型モニターに注目。実況解説があるので俯瞰したレースの様子もわかります。ネットでの配信もあるので、スマホ片手にライブ観戦というのが、一番ストレスなく快適な観戦スタイルでしょうね。

 

▲EFエデュケーション・NIPPO ディベロップメントチームのフェリックス・スティリ選手withJRのはるか。JR阪和線沿いのコースならではのツーショット。

 

レースの方はというと、第一組はトリニティ・レーシングのファーガス・ブラウニング選手が3分09秒96をたたき出して暫定1位に。2位はチームブリヂストンサイクリングの河野翔輝選手で3分16秒96。3分10秒台~20秒台はなかなかの好タイムといえるようです。
第二組、チームブリヂストンサイクリングの橋本英也選手が3分09秒65で1位に。その時点で1位の選手は、ホットシートを呼ばれる席に座るのですが、橋本選手がホットシートを奪います。しかし、各チームのエース級の登場はまだこれから。
第四組で、ヴィクトワール広島のカーター・ベトルス選手が3分09秒37のタイムでホットシートを奪取するのですが、第四組最後のJCL TEAM UKYOのベンジャミ・プラデス選手が3分08秒94でホットシートに座ります。
残り2組となって、勝負は3分08秒台に突入しさらにハイレベルな戦いとなります。ここで目立ったのがトリニティ・レーシング。第五組のリアム・ジョンストンが3分07秒82を出せば、ルーク・ランパーティ選手が3分06秒34という異次元のタイムで一位の座についたのです。
前日の記者会見に登場したルーク・ランパーティ選手は、午前中の堺国際クリテリウムでは3位になり、堺ステージではついにステージ優勝。2023年のツアー・オブ・ジャパン堺ステージは、まさにルーク・ランパーティ祭状態でしたが、表彰式も文字通りルーク・ランパーティ選手の一人舞台となります。

 

 

■表彰式

▲堺ステージを制したルーク・ランパーティ選手選手のゴールシーン。

 

ツアー・オブ・ジャパンでは各ステージごとにいくつかの賞があり、賞ごとに色の違うジャージが与えられます。堺ステージでは山岳賞(レッドジャージ)はなく、以下の3つの賞があります。

  • 個人総合時間賞(グリーンジャージ):一番早いタイムを出した選手に贈られる一番栄誉のある賞。
  • ポイント賞(ブルージャージ):コースの途中に設けられたポイントの合計ポイントによって争われる賞。
  • 新人賞(ホワイトジャージ):個人総合時間賞の中で、23才未満の選手で一番の選手に贈られる賞。

堺ステージでは、ポイントはゴールのみなので、個人総合時間賞とポイント賞は同じ選手に与えられることになります。そして、今回一位でフィニッシュしたルーク・ランパーティ選手は弱冠20才で新人賞の対象になるということで、3賞すべてをルーク・ランパーティ選手が独占するということになったのでした。

 

個人総合時間賞

▲個人総合時間賞を受け取るルーク・ランパーティ選手選手。堺観光コンシェルジュより花束と大阪府知事賞として賞状と時計、堺市長賞として賞状と堺の刃物が贈られました。

 

ルーク・ランパーティ選手は、堺ステージでの優勝に対して、
「非常に良いスタートが切れた。タイムトライアルは自分にとっては得意な分野だった。翌日のハードなコース、暑さがあるけれど、ジャージをキープしていきたい」
とコメント。
その後、ステージ袖で着たばかりのグリーンジャージをブルージャージに着替えて花束を受け取り、すぐさまホワイトジャージに着替えて花束を受け取りました。

 

▲ポイント賞。

 

▲新人賞。

 

これにて堺ステージは終了。注目のシマノレーシングの選手の中では、これも前日記者会見で登壇されていた入部正太郎選手が16位につけていました。
選手たちはこの語、日本を縦断して連日休みなく残り7ステージを闘いました。すでに結果は出ており、団体総合時間賞はJCL TEAM UKYO、個人総合時間賞もJCL TEAM UKYOもネイサン・アール選手。堺ステージで大活躍したルーク・ランパーティ選手はポイント賞を獲得していました。

筆者としてもロードレース自体がほぼ初観戦だったツアー・オブ・ジャパンですが、非常に楽しめるスポーツ競技であり、スポーツ大会であると感じました。「自転車の町”堺”」をアピールしていくのにも素晴らしいコンテンツです。
来年以降も注目していきたいイベントです。

 

 

 

ツアー・オブ・ジャパン公式サイト
ツアー・オブ・ジャパン堺ステージ公式サイト

 


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