ツアー・オブ・ジャパン堺ステージのアツイ一日(1)
ツアー・オブ・ジャパンが4年ぶりに堺に帰ってきました!
ツアー・オブ・ジャパンとは、日本でも最古の歴史・最大規模の自転車国際ロードレースです。コロナ禍のため縮小開催されていたのですが、2023年になって8日間8ステージのフルスペックでの開催が再開したのです。
その口火を切るのが、1日目の堺ステージです。前日には文化観光施設さかい利晶の杜で記者会見が行われています。
そして5月21日、会場の大仙公園には5月の晴天が広がり、多くの観客が集まりました。熱気に包まれた堺ステージの様子をお伝えすることにしましょう。筆者は自転車レースは人生初観戦、個人的にもとてもワクワクする一日の始まりです。
■堺国際クリテリウムで口火を切る!
この日は、ツアー・オブ・ジャパン堺ステージに先駆けて、同じコースを使って複数のレースが行われました。その一つがツアー・オブ・ジャパン全選手が参加する堺国際クリテリウムです。
クリテリウムとは何かというと、一般の道路を封鎖してサーキットを作り、サーキットを何周かして最終周の着順で順位を決めるレースのことです。堺ステージはチーム戦ではなく個人のタイムトライアルなのですが、違うスタイルのレースをしてくれるなんて一粒で二度美味しいお得な大会ですね。
堺国際クリテリウムは、本レースの前哨戦であり、今後のツアーの試金石となるレースと考えればよさそうです。
レースは10時50分スタート。堺市都市緑化センター前に設置されたスタート地点から大仙公園をぐるりと一周する2.7kmのコースを9回まわり、10周目の最終回のみ阪和線沿いに設けられたゴール地点まで2.5kmのコースとなっています。
直前までコースを思い思いに周ってアップをしていた選手たちがスタート地点に集まってきました。16チーム各6名の選手が並ぶと壮観です。笑顔を浮かべていた選手たちの表情も次第に引き締まっていき、沿道の柵にあふれる観客の期待に満ちた表情が重なります。直前にパンクがあったとかで、少しじらされ1分ほど遅れてレースはついにスタート。8日間のレース週間の口火が切られました!
スタートを見送り、さてどこで観戦しようかともたもたしているうちに、あっという間に選手の集団がやってきました。何しろ時速50キロぐらいで走ってくるわけで、一周3分と少しで回ってくる計算です。来たと思ったら次の瞬間には突っ切って去っていきます。
とりあえず観戦ポイントをさぐりさぐり、選手たちとは逆向きの反時計回りで阪和線沿いに移動することにします。
そうこうするうちに2周目の集団がやってきます。選手たちをバイクが先導しているので、バイクの登場が観戦の目安になりますね。バイクの姿が見えると観客の歓声があがりだします。
やってきた集団のトップは、前日の記者会見でも見覚えのあるジャージ。イギリスの育成チームトリニティ・レーシングです。司会の方も「トリニティ・レーシングは、いい意味で暴れてくれそうだ」と紹介されていましたが、レース序盤で期待を裏切らない活躍のようです。
■世界遺産を臨む国際レース
さらにコースを反時計回りに進み、阪和線沿いに北上。JR百舌鳥駅前のコーナーを曲がったあたりで、4周目の集団と遭遇します。先頭は依然トリニティ・レーシング。3番手につけているのはマトリックスパワータグ、堺市のお隣の高石市を拠点とするチームです。選手はアームバンドの国旗とお鬚からみて、スペイン出身のフランシスコ・マンセボ・ペレスのようです。4番手はEFエデュケーション・NIPPO ディベロップメントチーム。選手は顔立ちからして、織田聖選手でしょうか?
御陵通を西へ向かいます。右手奥にに大仙古墳(仁徳天皇陵古墳)が見えてきたあたりで、4周目の集団と遭遇。このあたり緩やかなカーブになっているので観戦ポイントとしては見やすそうです。そして順位は、先頭はトリニティ・レーシングですが、オレンジのジャージ、宇都宮ブリッツェンが3名かたまって上がって来ています。これは集団内で色々駆け引きが行われているのでしょうね。
今回のレースでは、やはりここで撮影しておこうということで、世界遺産である大仙古墳(仁徳天皇陵)の拝所前で5周目の選手たちを待ち受けていました。丁度タイミングよく地元堺のシマノレーシングの選手も含めて古墳とのツー(?)ショット。
ちなみにここでの先頭はトリニティ・レーシングを抑えて黒いジャージが精悍なアルマティ・アスタナ・モータースの選手が奪取。中央アジアのカザフスタンのチームです。
この時点で10周のレースの半分が終わって、こちらはコースの1/3程度しか逆進できていません。この調子で反時計回りにまわっていては10周目にゴール地点にはたどり着きそうにないので、ゴール地点へ引き返すことにしましょう。公園内をショートカットしようとしたのですが道どりを間違えて再び御陵通へ。でも、都合よく6周目の集団のお尻と遭遇することができました。
ともかく、ゴール地点へ急ぎます。
■チーム戦の勝利は誰のものに?
阪和線沿いで7周目の集団と遭遇。
依然トップはトリニティ・レーシング。その後ろにつけている選手は、アームバンドがギリシア国旗なのでマトリックスパワータグのゲオルギオス・バグラス選手ですね。宇都宮ブリッツェン、トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチームのジャージも見えています。シマノレーシングはさらにその後ろ。ついつい地元びいきの気持ちになって、なんとか逆転してほしくなりますね。
ゴール地点近くの沿道は観客が鈴なりです。
時刻はお昼前とあって、アスファルトの道路は熱せられてフライパンのよう。揺らぐレンズごしの風景の中、8周目が来ました。立ち上る陽炎を切り裂く選手の一団。ところが、正面から見る一団に異変が起きています。これまでずっと先頭を形成していた、白黒のジャージ、トリニティ・レーシングが後退。トップには、宇都宮ブリッツェン! そして二番手にはシマノレーシング! 入部選手が前日記者会見で言った「どのチームよりも気合が入っている」という、その姿を見せてくれています。続くはチームブリヂストンサイクリング。この国内3チームがいうなれば槍の先端部分ですが、トリニティ・レーシングもその後ろをピッタリとつけています。これは力尽きて後退したのではなくて、ゴールに備えて力を蓄えているような印象です。
いよいよ残り2周、どのチームにも勝利の可能性はありそうな状況で、なかなか興奮します。
9周目。トップは交代し、マトリックスパワータグ! スペインのペレス選手を先頭に上位3名を独占し、その後ろにトリニティ・レーシングが続いています。2位につけていたシマノレーシングは集団に飲み込まれてしまった模様。しかし、いずれにせよ差はわずか。まだまだ一波乱はあるはずですが、泣いても笑ってもレースはあと一周。
ゴールシーンをカメラでとらえるべく、ゴールラインの後ろへと移動します。
10周目。来ました、来ました。先導のバイクが通り過ぎ、緩いカーブの向こうから飛び出してくる選手たちの姿が見えます。これまでとは明らかに様子が違う。トップは各チームから一人ずつに絞られ、サドルから腰を浮かして立ちこぎで全力で飛ばしてきます。果たして栄冠は誰の手に!?
トップでゴールラインを越えたのは、緑と黒のジャージ、マトリックスパワータグのバグラス選手! ガッツポーズは勝者一人に許される特権で、1位とそれ以外のコントラストがくっきりと刻まれました。
とはいえ、ツアー・オブ・ジャパン堺ステージの本番であるタイムトライアルは午後から。本当の勝負はこれからなのです。
いずれにせよ、前哨戦約40分の熱戦は幕を閉じました。
少しの時間をおいてメイン会場では表彰式が行われるとアナウンスがありました。次回の記事では、メイン会場の表彰式の様子をお伝えします。
(第二回へ続く)
ツアー・オブ・ジャパン公式サイト
ツアー・オブ・ジャパン堺ステージ公式サイト
※2023年ツアー・オブ・ジャパンの記事
・ツアー・オブ・ジャパン2023堺ステージ前日記者会見
・ツアー・オブ・ジャパン堺ステージのアツイ一日(1)
・ツアー・オブ・ジャパン堺ステージのアツイ一日(2)
・ツアー・オブ・ジャパン堺ステージのアツイ一日(3)
・ツアー・オブ・ジャパン堺ステージのアツイ一日(4)