与謝野晶子かるたの会
明治十一年(1878)堺県堺区甲斐町(かいのちょう)に生まれた与謝野晶子は、評論家、エッセイスト、教育者、古典研究者として様々な文学活動を展開する一方、十一人の子の母・短歌革新の若き旗手であった与謝野鉄幹の妻として、六十四年の歳月を生き抜いた人物です。
『与謝野晶子百首かるたの会』のメンバーは、このような晶子の生き方に惹かれ、晶子短歌の魅力に一歩踏み込んでみようと集まりました。『百首かるた』を目標としたのは、短歌理解の糸口とするためでありましたが、三万首とも五万首とも言われる晶子短歌の中から百首を選ぶということは、かなりのエネルギーを要しました。
そして改めて、晶子短歌の摩訶不思議さと底知れない深さ、自由さ、苦悩、音楽性に触れることとなり、旧来の和歌に青春の気を吹き込み、みごとに日本の詩歌を甦らせた与謝野晶子の勇気と才能に驚きと感動を禁じ得ません。
かるたの会のメンバーは、晶子を学ぶ縁で知り合った物どうし、堺市在住在勤の小中高校の教師も混じっての会となりました。平成六年に撰歌を開始。取り札の試作ができるやいなや平成七年八月十一日、初の「与謝野晶子百首かるた会」を、堺市大仙公園の日本庭園和室で開催。真夏の昼下がりにもかかわらず五十人の参加者を得、記念すべき日となりました。
この感動をより多くの人々と共有することかでき、また若い方々にも「かるた」に興じながら楽しく文学的教養を積んでいただくことができればこの上ない喜びと存じます。