インタビュー

アーティストをバックアップする画廊! Arts-B Gallary(4)

 

「絵描きになりたい」と、かつて大学受験を目指しまでしたギャラリーオーナーの土居勝さん。真摯にとりくんだからこそ、自分にはその力がないことにも気づいたのでした。「自分とは土俵が違う」と。だからこそ、今土居さんは「Arts-B Gallary」のギャラリーオーナーとして、アーティストたちにリスペクトを抱き続け、そして彼らを応援すべく「無名の作家」にこだわって展示活動を続けているのです。(第一回第二回第三回
恒例になっている12月の「アートの無人販売所」もそうした企画のひとつです。それにしても「無人販売所」とはどういうことなのか。田舎道とかで野菜を売ってるアレみたいに、アートを売っちゃうの? 土居さんのお話、最終回です。

 

■作家が勝手に作品を置ける展覧会

▲ジャンルやテーマではなく、若手や障がいのある方、すなわち「無名の作家」に土居さんはこだわっている。プレートに赤い印があるのは、販売済みの作品です。

 

--今回の企画展は「アートの無人販売所」ということですが、この企画ってどういうことなのですか?
土居「このアートの無人販売所っていうのはね、生産物、果物や野菜に変えていうとね、生産者はなんぼでもいてるんですよ」
--アートの生産者がたくさんいる。
土居「ええ。今は美術系の大学がどんどん増えているじゃないですか。生産者がどんどんどんどん増えて、作物もどんどんどんどん増えているんですよ。でも、彼らのその作物と身近に接する場所もないし、見る場所がないんですよ。……という風に僕は感じてるんです」
--確かに作品を見る場所、なかなか無いですね。
土居「それはなんでかっていうと陳列する場所がない。堺でもギャラリーが少ない。だったら、陳列する場所を作ろうと思ったんです。田舎の道を歩いていたら、無人で販売しているでしょ」
--はい。よくありますね。
土居「それで思いついたのがアートの無人販売所。生産者が勝手に持ってきて、値段をつけて売る場所というのが設定なんです。本当は無人でいきたかったんだけど、無人というわけにもいかないので私がいてますが、お客様には自由に見ていただいて、良かったら買っていただく。無人販売所なので即売ですから、そのまま持って帰ってもらうこともできます」
--その場で持って帰れるんですか!
土居「普通の展覧会だと、会期終了までは置いておくんですけれど、これは無人販売所ですからね。持って帰ってすぐに家に飾っていただけるんです。(ギャラリーの)ソールドアウトになっている所は、持って帰ってもらった所です。赤印のシールが貼ってあるのは、買われたんだけど置いてくださっている作品です」

 

▲取材中にやってこられたお客様。熱心に鑑賞されている様子が印象的でした。

 

--では、作家さんが、この作品を置かせてくださいって言って持ってこられるんですか? 審査はあるんですか?
土居「そうそう。もちろん無審査、アンデパンダン展(独立して束縛を受けない展示会)です」
--なるほど。今年で何回目になるんですか?
土居「今年で三回目になります。毎年やっていますよ」
--ほかの企画展とは雰囲気がちがってきたりしますか?
土居「そうですね。初めての作家さんが、結構今回も作品を出してくれていますね」
--やはり作家さんとしても敷居が低くなるんでしょうか。
土居「そうですね。それに出展料はいただいていませんし」
--え、出展料ないんですか?
土居「売れたら販売手数料はいただいてますけれど」
--それはそうですよね。しかし、面白い試みですね。では最後に、今後はどのような予定でしょうか。
土居「今後も今のスタイルは続けていく。継続していくということですね。だから、僕の姿勢としては、どんどん新人を発掘していきたいです」
--無名の方を応援するのが土居さんの目的ですものね。今、この人は有望だな、という方はいますか?
土居「いっぱいいてますよ! とくに障がいをもった方はいっぱい出てきますよ。いっぱい出ますわ。もういっぱいいてます」
--1人2人というわけではなくて。
土居「名前が出てこないぐらいいっぱいいてます」
--ますます今後は楽しみですね。どんな作家が出てきて、どんな作品を出してくれるか。僕も楽しみに注目していきたいと思います。

 

「アートの無人販売所」とは何なのか? お話を伺うと、作家の自主性を重んじる挑戦的な企画でした。記事にして取材を振り返ると、土居さんの行動は常に筋が通っているように思えます。日本のご家庭にアートを飾ってほしいから、無名の作家を応援する。現在の日本では新人や障がいを持つ作家は無名の作家のカテゴリーに入ってしまうから、自然そうした作家を扱うことになる。作家に作品を展示する機会を多く提供したいから、無審査の展覧会を企画する。
アイディアと実行力、そしてアートへの愛と敬意があふれる土居さんの今後の活躍に要注目です。

 

 

Arts-B Gallery
住所:堺市西区鳳南町5丁517−115 517番地115
電話番号:072-289-5281

 

 

 


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