ミュージアム

西陣美術織展・堺と西陣織の縁@さかい利晶の杜

三好長慶肖像織掛軸

 

日本が誇る西陣織が誕生したのは、今から555年前のこと。西暦1467年、足利将軍家の後継者争いから、管領畠山氏・斯波氏の家督争いもからみ、日本を西軍と東軍に二分する応仁の乱がはじまります。戦国時代の始まりを告げる応仁の乱は、それ以前と以後でまったく日本の有り様は変わってしまい、今に続く「日本」文化の原点を応仁の乱に求めれば良いという歴史家もいるほどです。
西軍と東軍は京の町に陣を張り、西陣と東陣と呼ばれ、西陣織の名はそれに由来します。両軍の争いによって京はすっかり焼け野原となったため、織物の職人たちは堺の町に避難します。堺区に今もある錦之町、綾之町の町名は、この時京から職人が移り住み名付けられたとされています。京の職人たちを受け入れたことによって、堺の織物技術も大いに高まったとのことでした。

そして2022年は、堺にとって重要な2人の歴史上の人物、千利休と三好長慶の生誕500年の年にもあたります。これを記念して、2人の肖像画が西陣美術織によって製織されました。これは堺のなごみ企画による発案によるものです。先日2人の縁の深い堺の名刹南宗寺への贈呈式が行われ(記事前編/後編)、2月11日~13日さかい利晶の杜で「西陣美術織展・堺と西陣織の縁」が開催されることとなりました。12日と13日には、さかい利晶の杜主催で朗読劇「蘆州のひと」も上演されます。

歴史ファン、演劇ファン、着物ファンの心をくすぐるイベント、「蘆州のひと」のレビュー記事とともに企画展レポートもお届けいたします。

 

▲堺の夏の風物詩。住吉祭礼図の西陣美術織。

 

西陣美術織は、最盛期に比べると市場規模が1/10以下になってしまった和装業界が、アート分野に活路を見いだそうと始めた試みです。使用する織機は300年前と同じ構造のものでありながら、コンピュータによって図案を作り電動による織りを制御することで、極限まで細密な製織を可能にしたのです。伝統と最新技術の融合。それが、西陣美術織の謳い文句です。
糸の細さは、通常の糸の1/3。それは髪の毛の細さの1/2から1/3という究極の細さ。非常に切れやすいため、コンピュータ制御であっても、熟練の職人が常に目を光らせていなければなりません。掛け軸の作品を作るのであれば、縦糸が2700本、横糸が12000本も必要で、完成まで数ヶ月の時間を必要とします。
技術の粋と気の遠くなるような作業工程を経ることで、西陣美術織は写真にしか見えないような精密な表現を可能としたのです。

 

▲長谷川等伯画 利休肖像織

 

西陣美術織の第一作は、森喜朗首相(当時)の肖像織で、その後アメリカのブッシュ大統領(当時)、ロシアのプーチン大統領、ブータン国王など各国要人の肖像織が作られました。

人物だけではありません。国宝級の仏像も西陣美術織では織られており、中には仏像が展覧会などに出展される際には留守を預かることもあるとか。

 

▲国宝 弥勒菩薩

 

さかい利晶の杜での「西陣美術織展・堺と西陣織の縁」には、西陣美術織の魅力を堪能できる様々なタイプの作品が集まられ、展示されています。堺と関係する作品としては、三好長慶肖像織と二種類の千利休肖像織、住吉祭礼図、妙國寺の大蘇鉄などがあげられます。

「織田信長人生訓」、徳川家康の「家康金陀美具足」「徳川家康御遺訓」といった歴史ファン注目の作品。日本の美術史からは外せない、長谷川等伯「松林図」、狩野永徳「唐獅子図」、「天目茶碗」も西陣美術織に。また、昨年逝去された瀬戸内寂聴さんに関連する作品も展示されています。

 

▲愛らしい仏画など、瀬戸内寂聴さんのコーナーも。

 

さて、その精密さ故に「写真のような」という表現を使ってしまう西陣美術織ですが、実際に目にすると糸を編み込むことで生まれる微かに立体的な表現は、写真とはまるで違う魅力を持った表現形態であることがわかります。西陣美術織が誕生してからの月日はまだ浅く、その特質をどのように活かして作品を作っていくのか、芸術としても製品としても開拓していく余地は無限にありそうです。

ともあれ、唯一無二の魅力を持つ西陣美術織の世界をたっぷり堪能できる「西陣美術織展・堺と西陣織の縁」は、三好長慶の誕生日である2月13日まで開催しています。この機会をお見逃し無く。

 

「西陣美術織展・堺と西陣織の縁」
開催日程 2022年2月11日(金・祝)12日(土)13日(日)9:00~18:00(最終入館 17:30)
場所 さかい利晶の杜 2階 企画展示室
料金 さかい利晶の杜 観覧料が必要です。(大人300円 高校生200円 中学生以下100円 他)
主催 なごみ企画
公演 堺市/西陣織国際美術館/とみや織物(株)
協力 南宗寺

 

さかい利晶の杜

西陣織国際美術館
web https://nishijinoriart.com/

 

 

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