ミュージアム

ミュージアムへ行こう! 2020年からのミュージアム

 

新型コロナウイルスが吹き荒れた2020年は多くの人たちにとって特別な年として記憶されることになるでしょう。どれだけ多くの人が生活の変化を余儀なくされたことでしょうか。緊急事態宣言が終わっても、影響から脱することが出来ないでいる人びと、企業も少なくありません。
人が集まる施設、たとえばミュージアム(博物館)もその一つでしょう。緊急事態宣言が緩和され、いち早く開館したさかい利晶の杜では、「岸谷勢蔵-晶子のふるさと堺の風景-」が開催され取材をしたのですが、以前の賑わいにはまだまだ遠い状況でした。
どれだけ施設側が気を使って対策を練ったとしても、感染が怖い、外出を避けたいという人びとの気持ちまでは覆せません。そして、これから先、いつになったら元通りになるのか、誰にもわかりません。新しい時代に対応した生き方、働き方、営業の仕方を模索する日々が始まったのです。
そんな中、さかい利晶の杜でも、新しい時代に対応できる試みが始まっていました。

■おうちでミュージアムへ

▲さかい利晶の杜1階エントランス(案内展示室)にある戦前の堺のジオラマ。

 

「岸谷勢蔵-晶子のふるさと堺の風景-」(前・中・後篇)に引き続いての取材で、解説は矢内一磨さんからバトンタッチして広報担当中嶋智子さんです。

――中嶋さん。一体、何が始まったのでしょうか?
中嶋智子(以下、中嶋)「【おうちで鑑賞体験】と題しまして、お家に居ながら、インターネットを介して3D・VR(ヴァーチャルリアリティー/仮想現実)でさかい利晶の杜を楽しむことができるというものです」
――(スマホで画像を見せてもらう)おー。館内をVRで見学できるんですね。これはかなり本格的なVR画像じゃないですか。
中嶋「はい。制作は一般社団法人VR革新機構さんです。ストリートビューのように館内を画面上で歩き回ることが出来ますし、また完全体を俯瞰した表示や、フロアマップとして表示することもできます」
――凝ってますね。
中嶋「コロナウイルスの影響や、何らかの理由でお家から出ることができない方も、さかい利晶の杜の展示を楽しんでもらうことが出来るんです」
――そうか。簡単に外出できない方もいますしね。

 

▲さかい利晶の杜内と、ジオラマ内をVRで体験できる。制作は一般社団法人VR革新機構さん。

 

中嶋「そして、もう1つ、見ていただきたいのが、ジオラマ模型のデジタルお散歩体験です」
――ジオラマというと、あの1階エントランス(案内展示室)にある宿院界隈のジオラマですか?
中嶋「そうです」
――岸谷勢蔵のスケッチが基になって作ったジオラマが、今度はVRになったわけですか? ジオラマの中には岸谷家の模型もあるし、岸谷勢蔵はついに電子の世界、VR世界にもデビューですね。
中嶋「ええ、岸谷家もVRのお散歩で見ることが出来るんですよ。こうやってスマホで見ると、模型の世界に入った感覚で楽しむことが出来ます」
――これもおうちで楽しむことが出来るのですか?
中嶋「はい。さかい利晶の杜のホームページから、利用していただくことが出来ます」

 

■土産物から堺を知る

▲お土産コーナーもリニューアル。

 

――ちょっとジオラマの背後で気になっていたのですが、さかい利晶の杜のお土産コーナーもかなり変化していますね。
中嶋「はい。コーナーを大きく拡大してさかい縁庵と名付けました。取り扱う商品の点数を大きく増やして、様々な堺の特産品を置くようにしたのです。さかい利晶の杜で堺の特産品を知って、そこから縁が広がるようにというのが狙いです」
――包丁コーナーがありますけれど、これまでは置いてなかったですよね?
中嶋「堺の代表的な名産品として様々な所から包丁を置かせてもらうことが出来ました」
――他にも注染や茶器、古墳Tシャツなんてのもありますね。あ、堺珈琲さんに、みんなのクッキーも。そしてこれは紹介しないわけにはいきませんね。つーる・ど・堺プロデュースのもずふるサブレや紙ものグッズに古墳グッズ!
中嶋「そうなんです。可愛いですよね! 改装前から、つーる・ど・堺のグッズは可愛くて大人気商品なんですよ!」
――それはありがたいですね(笑)
中嶋「本当に、早く元通りになって、沢山のお客様に改装したコーナーも見て欲しいんです」
――そうですね。新しくなったさかい利晶の杜、盛り沢山になった堺特産品も多くの方に見てもらったり、手に取ってもらったりしてほしいですね。

 

▲つーる・ど・堺の「もずふるサブレ」や一筆箋などの商品も購入できます。

 

開館から5周年を過ぎて、さかい利晶の杜も新しい時代に入ろうとしているようです。
たまたまコロナ禍とかぶってしまいましたが、ネットへの対応は必要不可欠なことだったようにも思います。中嶋さんとの話の中でも少し触れられましたが、コロナとは関係なしに、来たくともミュージアムに足を運べないという方は、決して少なくありません。ただ、可視化されてこなかったために、その存在に気づく人が少なかっただけのことではないでしょうか。
そして、前回矢内学芸員が紹介してくれたお客様の「ミュージアムが開館して街に灯が灯ったようだ」という言葉は、ミュージアムの使命とは、決して営利追求ではなく、企業では出来ない公共施設だからこその社会貢献なのだと教えてくれました。

そうした使命をどのように実現していくのか、さかい利晶の杜の今後に注目したいと思います。

今回紹介したVRは、以下のリンクから楽しめます。

【おうちで鑑賞体験】館内3d・vrビュー&ジオラマ

 

さかい利晶の杜
堺市堺区宿院町西2丁1番1号
072-260-4386
http://www.sakai-rishonomori.com/


灯台守かえる

関連記事

Remodal

Remodalテスト

Write something.


PAGETOP

remodal