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あなごをカジュアルな文化に

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「あなごを堺の名物に」
かつての堺にはあなごを扱う店が軒を連ね、あなご通りまであったといいます。再びあなごを堺のグルメにしようと「松井泉」さんはこれまでも独自に「あなごMAP」を作るなど奮闘してきました。
そして、いつものランチがワンコインで楽しめる「ランチパスポート堺版」でも、たっぷりあなご2匹分を使った「あなご丼(ダブル)」を提供して評判を呼び、ついには開始前に行列が出来るまでになりました。そんな「泉北タカシマヤ」の「松井泉」のイートインの様子を覗いてみました。
■行列インタビュー
「松井泉」の「ランチパスポート」は14時開始に設定されていますが、15分前にはお客様が並びはじめます。そんな店頭には社長の松井利行さんの姿もありました。
「ランチパスポートを始めてしばらくはそれほどでもなかったのですが、次第に行列が出来るようになりました。他のお店に迷惑をかけてはいけませんので早くから並ぶのはお断りして、直前に並んでいただくようにしたんです」
さっそくランチパスポートを手に列に並ぶ二人組のお客様にも話を聞いてみました。
「ここにあなごを食べにくるのは三回目になるんです」
という女性。一緒に行こう、とお友達からランスパスポートをもらったことをきっかけにお店巡りにすっかりはまってしまったそうです。この日は、別のお友達を誘ってのお店めぐりで、すでに一軒巡り、「松井泉」で二店目だとか。
「一日、三軒はまわります。お持ち帰りのお土産を出しているお店もいれると四軒いくこともあります」
冊子にはこれまで行ったお店の所に付箋がびっしりとはられています。これまで行ったお店の感想をおしゃべりしていると、後ろに並んでその様子を見ていた他のお客様が話しかけてきます。
「それってどこのお店ですか?」
さっそく情報交換がはじまりました。話しかけてきたお客様のランチパスポートも使い込まれた様子です。
「どこにいっても、大抵ランチパスポートを持った方が誰かいますね」
一冊の本をきっかけに食を通じた交流の輪が広がっていく、これは一つの新しい文化といえるかもしれません。一般的なグルメ情報本では考えられないのではないでしょうか?
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▲びっしり付箋がはられたランチパスポート。使い込まれていますね。

一方で「松井泉」だけのために、「ランチパスポート」を買ったというコアなファンもいらっしゃいました。
「広島の廿日市で初めてあなごを食べて美味しくて、大阪でも食べたい! と思ったんですが、どこで食べても硬くてそんなに美味しくなかったんです。でも、こちらでいただいたら、ふっくらとしていて柔らかくて、ものすごく美味しかった。本当にお値打ちです」
南区にお住まいというこのお客様は、「泉北タカシマヤ」に来る時は、時間があれば必ず「松井泉」で食事をとるようになったとか。
「お店の方にもあなごの美味しい色んな食べ方も教えていただきました。お米も美味しいし、山椒も金ゴマもこだわっていておられます。皆さんにぜひ食べてほしいです」
お話を伺っているうちに、「ランチパスポート」がスタート。お店に入ったお客様はさっそくあなご丼を注文します。
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▲限定15食の「あなご丼」(ダブル)。連日売り切れごめんの状態でした。

■おいしいあなごをカジュアルでしっかりした文化に
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▲お友達と一緒に、ご夫婦で、学校帰りに、色んな方がご来店されていました。
お客様の列もひと段落したところで、「あなご丼」を注文してみました。
丼ご飯の上に覆い尽くすように敷き詰められたあなごが目をひきます。一口、ご飯と共にほおばると、なるほど柔らかふっくら。山椒、金ゴマ入りのふりかけもお好みで使って味の変化も楽しめます。そして、最後にはあなごのお吸い物を残したごはんとあなごにかけてお茶漬けのようにしていただくのがおすすめです。
列に並んでいたファンのお客様からは、
「記事にするなら、絶対に『あなご丼』を食べるべきです!」
と念を押されたのもうなずけます。上品な味わいで、味の変化も楽しめ、お腹も満足という、お得感たっぷりのランチでした。
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▲最後はお茶漬け状態で。

あなごの卸を中心にしていた「松井泉」さんが、イートインコーナーを作って3年になろうとしています。あなごを扱うのは同じでも、「飲食」という世界は勝手が違い、また別の苦労があったようです。
「簡単にはお客様が増えませんね。おいしくなくてお客様が増えないのならわかるけど、おいしくて増えないのはなぜなんだろうと悩みました」
松井さんは、未だにその答えは出ないとか。飲食店ならではの難しさを痛感されているようです。
「勝負するのは(他のあなご屋ではなくて)他の飲食全体ですから、他のと同じことをしていたらダメだ。あなご一本をもっと強調して、あなごを食べたい人以外は絶対注文しないようなメニューを作って、より鮮明にしていかないと。こうして飲食をしたのは商品開発の勉強になりましたし、卸していたところの気持ちもわかるようになりました」
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▲新商品のあなごがたっぷり入った巻きずし。
その成果が表れたのが、今回の行列であり、様々な所で出展するイベントでの好調ぶりです。
「昨年ぐらいから、どこのイベントにいってもよく売れるようになりました。『堺まつり』では良く売れすぎて2時間ぐらいで根こそぎもっていかれました。これまでやってきた蓄積の結果だと思います。しかし、日常とイベントは違います」
普段からあなごに親しんでもらえるよう松井さんは、次の手次の手と工夫を続けていく予定です。
「以前作った『あなごマップ』の第二弾も計画していますし、堺区の本社でもイートインを出そうと考えていますし、ふりかけに続く新商品も帝塚山大学とコラボして開発しようとしています。わたしの目標は、あなごをカジュアルでしっかりした食文化としてのこしていきたいということなんです」
松井さんの努力もあり、「堺の名物といえばあなご」という認識はここ数年で広まってきたように思います。しかし、堺のご当地グルメとしてあなごを見たり食べたりする機会は、まだまだ多くありません。堺の観光資源としてあなごを活かしていくためにも、「あなごをカジュアルでしっかりした食文化に」という松井さんの目標が実現することを願わずにはいられません。
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▲大人気のあなごキャップをかぶって松井利行さん。

泉北高島屋1階 堺あなご専門 松井泉
大阪府堺市南区茶山台1−3−1 泉北高島屋1階
あなご小屋
大阪府堺市堺区楠町3-1-26 
TEL.072-245-1779
・営業時間:10:00〜15:00 ・休業日:日、祝、水曜日

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