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▲蝶を誘う花のように、美味を求めるお客様が思わず足を向けてしまう路地裏のお店。さながら堺東の秘密の花園でしょうか。
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『しぜんバル パプリカ食堂』の看板には、差し出されたスプーンにとまろうとする可憐な蝶が描かれています。
「”パプリカ”は女性の名前のつもりなんです。綺麗で可愛い女性の名前です」
オーナーの中井純一さんが店名にこめたイメージは、店内の様子からも伺えます。
女性の名を持つ店らしく、椅子には膝掛けが置かれ、卓上の小物もアンティーク調だったりと、女性が居心地よく過ごせるようさりげない配慮がされています。
すっかりくつろげる席についたのなら、喉を潤すワインを開けてみたくなりますよね。まずは、このお店のワインセラーを覗いてみましょう。
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▲木をふんだんに使った内装が柔らかい印象です。座席ごとにハンガーや荷物カゴもるのもうれしいですね。 |
▲アンティーク調の本に見える箱の中には呼び出しベルが隠れていました。 |
■果実の恵みに乾杯を
バル(バール)は、イタリアなど南ヨーロッパ圏で大衆的な食堂として親しまれているスタイルのお店のこと。
中井さんは、数年前に難波のイタリアンバールを訪れて衝撃を受けました。
「歌舞伎座の裏にある人気店『ピエーノ』に行ってびっくりしたんです。フルボトルのワインで2000円ぐらい。メニューも600円でどーんと出てきてお腹いっぱいに」
数人でいけば立ち飲みの居酒屋よりも安くつく値段です。
長らくバーテンダーとして飲食の世界にいた中井さんでしたが、すっかりバルとバル文化に魅せられました。
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▲料理はイタリアンがベースになっており、キッチンカウンターの黒板にも沢山のメニューが並んでいます。 |
美味しいワインを手軽に楽しめるのがバルの魅力ですから、『パプリカ食堂』はワインも美味しくて手頃なものを揃えました。
「『ワインガレージ西島』さんに協力してもらい、ソムリエと三日かけてテイスティングして、オススメの60本の中から更にベスト20を厳選したんです」
美味しいワインがフルボトルで一本2300円から5250円まで。しかも、このワインは普通のワインではありません。
「ビオワインと呼ばれる、酸化防止剤を極力使っていないワインです」
酸化防止剤はワインを長持ちさせるために入れるのですが、健康面や味の面でも良くないとされています。
「ビオワインなら飲んでも2日酔いにならないという人もいます。さすがに飲み過ぎると僕は2日酔いになりますね(笑)」
ビオワインは熟れた果物のような独特の香りがあります。人によっては、これが病みつきになるとか。
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▲オススメのビオワイン。向かって左から、レ・タンヌ・オーガニック・シャルドネ(白/フランス)、飲みやすくクリーミーなブラハム・ソナト(赤/南アフリカ)、酸化防止剤無添加の本格自然派ワインのベロッティ・ロッソ(赤/イタリア)。 |
▲ワインだけではありません。カウンターにはブランデースプリッツァのガラス瓶。オレンジ、林檎、パイナップルを中心にさまざまな果物がブランデーにつけこんであり、砂糖を一切使わないカクテルが楽しめます。 |
美味しいお酒を飲みながら健康にも気をつけたい……、そんなワガママにも応えてくれるお店。
そう、『パプリカ食堂』はただのバルではなく、美味しくて体にいいものを揃えた「しぜんバル」。素材を厳選しているだけでなく、医学的な根拠もある食事療法がその根底にあるのです。
■たべて、のんで、キレイになろう!
きっかけは健康を害したことでした。働き盛りの中井さんは、大病を患ってしまったのです。
「実は体を壊して手術を受けたんです」
中井さんが受けた手術自体はさほど難しいものではありませんでしたが、食べることの大切さに気づかされました。
退院すると、体にいい食事についての勉強をはじめます。
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▲深井にバー『街の灯り』、中百舌鳥にバル『なかもず オステリア&バール ルチェンテ』をオープンしている中井純一さん。 |
「マクロビオティック(玄米菜食など日本の伝統食をベースにした食養生)、ベジタリアン料理、ローフードなどに興味を持って勉強しました」
ローフードとは、加工されていない生の食材を使った料理のことです。火を使うことによって食材から失われる酵素やビタミン・ミネラルなどを生のままの食材によって効率良く摂ることを目指したもので、20世紀後半に欧米で提唱されはじめました。
「(ローフードを食べると)肌のツヤが良くなったり、肩こりや冷え性にも効果があります。酵素を沢山とっていれば、病気にもならず、長生きも出来るといわれるほど美容にも健康にもいいんです」
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▲酵素は48度以上の加熱で死んでしまいます。生野菜、生果実を使ったメニューは、『パプリカ食堂』のオススメです。 |
「とはいえ、そればかりにこだわっているわけではないですよ。酵素フード協会の会長さんに話を伺ったことがあるんですが、会長さんもローフードにこだわった食事をするのは週に数回程度だそうで、普段は焼肉を食べに行ったり、普通の食事をなさっているそうです」
何事もバランス良く摂るべきだと中井さんは考えています。
いくら健康によくても食事療法にこだわりすぎると、中には一見して不健康そうに見える人もいます。それでは本末転倒です。
「たべて、のんで、キレイになる」を『パプリカ食堂』は目指しているのです。
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▲「たべて、のんで、キレイになる。」メニュー。有機野菜を利用したレストランというと敷居が高そうなイメージがありましたが、バルらしく値段はお手頃です。 |
■工夫が楽しいローフード
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▲各種あるスムージーの中で一番人気は『美肌スムージー』。スムージーを注文される常連さんの中には、スタイルが良くて綺麗な方が多いとか。 |
「一番ローフードの良さが出るのは、スムージーだと思います」
ジューサーだと栄養のある部分がカスとなって捨てられてしまいますが、スムージーは生の野菜や果物をまるのまま皮ごとミキサーにかけて栄養を全て摂ることが出来るし、細かく粉砕されているので消化吸収にも良いのです。
「理論上、生きた酵素の力で食べれば食べるほど、飲めば飲むほど痩せるんです」
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▲奈良から届いた新鮮野菜。一見して名前がわからないような、珍しい野菜が送られてくることも。 |
ワンプレートのランチメニューにも野菜がたっぷりと盛られています。量もそうですが、種類もかなりの品数になります。
「野菜は堺東のオーガニック八百屋『VEGERO(ベジロー)』さんで仕入れる他、奈良の農家さんと直接お取引をしていて、お任せで色んな野菜が送られてくるんです」
季節ごとに旬の野菜を色々食べられるのは嬉しいですね。
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▲ランチは日替わりワンプレートの他に、玄米カレーやベジタリアンランチなどがあります。 |
▲野菜パスタのジェノベーゼは、野菜をパスタ状にしたベジタリアン向けのベジパスタ。 |
野菜中心のメニューだと物足りなく感じはしないだろうか? そんな疑問も湧いてきます。
中井さんも無性にファーストフードを食べたくなる時があります。
「ハンバーガーが体にいいものだったらみんな食べますよね。でも僕は健康に良くてハンバーガーのような満足感がある。そんな成り立たないことを成り立たせたいんです」
ローフード・ベジフードには、素材を工夫して使うことによって肉そっくり味わいの料理を作る技術があります。
たとえば唐揚げそっくりの大豆チップス、火を一切使わない生の素材のハンバーグなどなど。
「水に浸した発芽寸前のナッツ類を多用したり、色んな工夫が楽しいのもローフードの魅力ですね」
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▲ローフード以外のメニューも紹介。肉料理からイベリコ豚。加工肉や出来合のものは一切使っていません。 |
▲魚のポワレ。魚介類では、活ムール貝も人気です。 |
中井さんが『パプリカ食堂』の新メニューとして準備しているのは、なんとローフードのデザートです。
「僕もチョコを食べると、吹き出物が必ず出るんです。でもローフードでは、砂糖も小麦粉も生クリームも使わずにレアチーズケーキそっくりの味が出せたり、びっくりするようなデザートが出来るんです」
ローフードデザートは、レアチーズケーキやチョコレートブラウニーなど、日替わりでご提供中です。
■路地裏の隠れ家に
『パプリカ食堂』が、堺東の商店街に出来たのはほんの偶然でした。
すでにバーやバルをオープンしていた中井さんは、手術を受けてローフードなどと出会い、しぜんバルの開業を目指していました。
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▲「路地の奥にお店があると必ず覗いてみたくなる」という中井さんならではの立地。 |
「大阪にはローフードやベジフードのカフェはあっても、バルスタイルのものはほとんどありません。お酒と一緒に健康にいい食事を楽しむ場が欲しいと思ったんです」
大阪市内で店舗を探していた中井さんが、堺東の駅に降りたのは偶然の事だったそうです。
「随分久しぶりに商店街を歩いてたら、空きテナントが目にとまりました。不動産屋に連絡したら『いいテナントがもうすぐ空きますよ』とここを紹介されたんです」
地元の人間でも見過ごしがちな細い路地にあるのも気に入りました。
こうして大阪でも珍しい自然食のバルが、隠れ家的にオープンしたのです。
老若男女、あらゆる人々にローフードを味わって健康になってほしいと、大きな玄米オムライスなど、お子様向けのメニューも用意しています。
「お子様連れは大歓迎です」
『パプリカ食堂
』は、2013年の2月に堺東のお店70店舗が参加して開催される第3回ガシバルに参加予定。
食べれば食べるほど、綺麗になる。ランチにも、カフェにも、ディナーにも便利な『パプリカ食堂』。あなたも一度体験してみては?
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▲『パプリカ食堂』のフレッシュなスタッフ。向かって左から料理長の辻尾裕樹さん。中井さん。ホール主任の木村やつはさん。ホール担当の山本貴志さん。 |
しぜんバル パプリカ食堂
堺区北瓦町2-1-33
TEL 072-275-6844
OPEN 17:00~24:00