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堺 あなご専門 松井泉

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香ばしく焼けたあなごを、あったかいご飯の上に乗せタレをたっぷりと。仕上げは金のすりごまを振りかけて。
「あなごに一番合うゴマを選んでいるんですよ」
『松井泉』の社長・松井利行さんは、自らあなごレシピを考案するなどあなごを知り尽くした達人です。
近頃、松井さんがプロデュースし、堺近郊のあなご料理の名店10店の料理を紹介した『堺あなごMAP』が注目を集めています。
「堺の名産といえば『あなご』」
そんな認識が浸透してきましたが、「堺のあなご」には古くからの伝統があったのです。
■美食家も認めるあなごの産地
「穴子がうまいのは堺近海が有名だ」
と書き記したのは美食家の北大路魯山人です。
当時、堺の出島港はあなごのあがる港で、あなごの職人が集い『穴子屋筋』と呼ばれるほどの活況を見せました。
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▲チンチン電車の「東湊」電停から海へ向かって徒歩すぐの通りに『松井泉』があります。
『松井泉』は穴子屋筋の技を受け継ぐ数少ない店の一つ。祖父の代からあなごに携わってきた松井さんは言います。
「あなごは産地より、質なんです」
産地はどこでもいい、という話ではありません。むしろ美味しいあなごを育てる「三角州沖の静かな湾内」は国内でも限られたものです。
「明石」や「宮島」、九州の「柳川」などは、先代社長の父の印象に残った産地。しかし漁獲量の減少から、未成熟なあなごや冷凍物が出回り、名の知れた産地でも美味しいとは限らなくなりました。
だからこそ「質」への追求です。
「この水槽の水温は一番あなごが良い状態を保てる水温に調整しているんですよ」
20℃近い水温だとあなごが元気に動きすぎてしまうので、8℃程度に抑えています。
静かな工場内の大きな水槽で、あなごたちがひっそりと身をうねらせていました。
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▲水槽内には松井さんが旬の産地から新鮮なあなごたちを選んできます。
捌くのが難しいあなごには、技能衆と呼ばれるほど特別な技術を持つ職人さんたちがかかせません。
しかし、日中だというのに、工場内に人気がありません。
この時間帯に職人さんがいないのもワケがあります。
「あなごを調理するのは深夜から朝にかけてなんです」
ぷりぷりの朝焼きあなごが、その日のうちに食卓に届くヒミツがここにありました。
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▲朝焼きのあなごたち。堺の本店以外でも、
■父から受け継いだあなごの味
新鮮なあなごを届けるこだわりは、父から引き継がれました。
当時は流通や保存技術が未発達で、先代は遠い産地まで電車を乗り継ぎ、仕入れたあなごをかついで帰ってきたこともしばしば。
深夜の作業にくわえ、遠方までの仕入れ。
「父と遊びに行った思い出は少ないんです。映画を見に行ったのが1回、釣りに行ったのが1回、キャッチボールも1回だけだったかな?」
旅行も家族が一泊する中、父だけが日帰りで仕事に戻ったことも。
「懸命に働く父親の姿が格好良く見えたんです」
松井さんは兄弟が他の仕事につく中、『松井泉』に入社し十数年勤め、会社を継ぎました。
「それまでは取引先はお寿司屋さんやうどん屋さん、料理屋さんといった卸しがほとんどでしたが、どこも苦しい時代になっていました」
時代はバブル崩壊。
新路線の開拓は必須でした。
2代目の手腕が試される時です。営業でつちかった経験をもとに決断をします。
目指すは人が集まる小売店の店頭!
松井さんは赤いはっぴを身にまとい出陣。
あなごの試食販売を開始したのです。
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▲赤いはっぴで元気にあなごを販売する松井利行さん。手にするのが『堺あなごMAP』です。

 

試食販売は大好評。ですが対面販売しないと同じ小売店でも売り上げが伸びないではありませんか。
一体なぜ?
「あなごは家庭料理に馴染んでなかったんです」
ご家庭で料理をする時、ある程度料理を考えてからスーパーに出かける人がほとんどでしょう。でも、あなごを使った料理はそもそも一般的ではありません。
うなぎと違って、わざわざあなごを買いに行こうと思ってスーパーに出かける人はいない……。
しかし、松井さんには子供の頃、日々の食卓であなごに親しんだ記憶がありました。
あの美味しさを皆に伝えればいい。
自ら開発したあなごメニューを作り、レシピもセットにしてあなごの魅力を伝えるようになったのです。
「美味しい」とあなごを食べてくれるお客様の姿。
あなごには、もっと引き出せる魅力や可能性があると、松井さんは更に多くの人をまきこみます。

 

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▲2012年のメイドインサカイフェアでの出店。とれとれ市やフェアであなごのバーベキューや試食販売を見かけたことがある人もいるでしょう。
■「堺のあなご」が復活する
あなごによって堺という町を盛り上げよう。
堺の名店やホテルの料理人たちともタッグを組み、あなご料理の開発と紹介を計画しました。その結実が『堺あなごMAP』です。
あなごづくしのあなご膳や、お寿司。タコではなくあなごの入った『堺焼き』。そして売り切れ必至の『あなごドッグ』!?
堺の観光マップになっているだけでなく、全10店舗のスタンプラリーといった遊び心もたっぷりのMAPが完成したのです。
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▲八幡巻。おかずにもお酒のアテにもいけますよね! ▲保存のきく真空パックも販売してます。
そして堺の『松井泉』本社の一角にも、販売スペースをオープン。
『あなご小屋』という、親しみ安いネーミングで、いつでも気軽にできたての『松井泉』のあなごを購入できます。
 
これまでは、大阪中央市場のお店というのは松井泉のブランドでもありました。これからはそこに「堺の松井泉」というブランドが加わるのです。
「堺をあなごの町に」
そんな松井さんの夢を叶えるべく、古い穴子屋筋に、新しい堺のあなご復活の狼煙があがりました。
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▲堺の本店前にオープンしたあなご小屋。日曜・祝日・水曜の定休以外は美味しいあなごがお求めになれます。
松井泉
堺区楠町3-1-26
TEL 072-245-1779
FAX 072-244-1345

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