SHOP

スペシャルティコーヒー専門店 DEAR CUP

コーヒーの香りには、心ときめかす魅力があります。眠気を覚まし、身体を癒し、飲んだ人を元気にするコーヒー。かつては修行者だけが飲む宗教的な秘薬とされたり、飲む事が禁じられたことがあるほど、特別な飲み物でした。
今回紹介するお店「DEAR CUP」は、そんなコーヒーの神秘的な力を味わうことが出来る素敵なお店です。
01_coffe.jpg
 
 
■マスター、コーヒーを語る
東京に通いコーヒー専門家としての修行をされた店長の中田 司さんに素朴な疑問をぶつけてみました。
そもそも「ブルーマウンテン」や「キリマンジャロ」というのは、コーヒーの品種なのでしょうか?
「産地となった山の名前ですね。ブラジルのサントス港や、イエメンやエチオピアの豆を扱っていたモカ港など出荷港の名がつくこともあります」
コーヒー豆は品種や精製法によって、取引される値段も大きく変わります。
02_gdcerry.jpg 03_wind.jpg
▲正常な豆(手前)と不良豆(奥)。DEAR CUPで仕入れている豆に不良豆が入ってくることはまずありません。極稀に入っている不良豆は珍しいのでとってあるとか。 ▲販売しているコーヒー豆は多種多彩。産地だけでなく農園単位で選ぶことが出来ます。
五種類ある精製法のなかで、天日で乾すナチュラル方式に比べると、水洗いをするウォッシュト方式は、作業に手間はかかるけれど不良豆を綺麗に取り除くことが出来るため高値がつきます。
「でも、もともと豆のもっているポテンシャルには何をやっても敵いません」
コーヒー豆の品種は、お米にたとえるなら「アラビカ種はジャポニカ米、カネフォーラ種はタイ米」といった大きな分類に分けられます。
そして、日本米の中にもコシヒカリやササニシキがあるように、アラビカ種の中にも、ティピカ種・ブルボン種などの品種があります。
「ケニア産の豆が、頭ひとつ抜けて良いように思います」
ケニアの、『ルチュファクトリー』(ルチュ・ガチャラゲ生産者協同組合)の豆を挽いていただきました。成熟した自己主張の強い、女王然としたフルーティーな香りで、よく知るコーヒーの香りの概念とはかけ離れたもの。思わず陶然とします。
04_farm.jpg 05_baisen.jpg
▲現地の農園の写真も飾られています。コーヒー豆が生まれた遠い異国に思いを馳せましょうか。 ▲人の背丈ほどもある本格的な直火方式の焙煎機。磨き込まれてピカピカですね。

聞けば聞くほど、コーヒーの世界が広く深いことに驚きます。しかし、日本のコーヒー文化はいつの間にここまで発展したのでしょうか? それはDEAR CUPが冠する『スペシャルティコーヒー』に、ヒントを得ることが出来ます。

■伝道師、スペシャルティコーヒーを広める
「特別の気候、地理的条件がユニークな香気を持つコーヒー豆を育てる」
スペシャルティコーヒーとは、適切な栽培から輸送・管理まで品質にこだわり、実際に味わいを確かめるカップテストでは80点以上のものだけを指します。これはコーヒー全体の中で5%程度しかない貴重なもの。
アメリカのスペシャルティーコーヒー協会の設立は1982年。日本スペシャルティーコーヒー協会(SCAJ)の設立は2003年。遅れること実に20年です。
それまでの日本のコーヒーは世界でも特に遅れた状況にありました。これは良いコーヒー豆はすべてヨーロッパに流通し、アメリカや日本には流通しなかったため。
 
当時、喫茶店に足繁く通っていた中田さんも、「コーヒーは本当に美味しくなかった」と。
この状況を変えたのが、中田さんの師匠である堀口 俊英さんです。
「堀口の最初の著書を読んで、こんな切り口があったなんてと驚きました。分厚い本の半分ぐらいに産地の農園のことが書いてあるんです」
より美味しいコーヒーを提供しようと堀口さんは、他のコーヒーショップにも声をかけ、グループで直接農園からの一括購入を行うようになります。
現在中田さんも、堀口グループの一員として農園から直接コーヒー豆を共同購入しています。不良豆がほぼ存在しないのも、共同購入で特別な契約を結び、農園で不良豆を丁寧に取り除いてもらっているからだとか。
06_book.jpg 07_bug.jpg
▲師匠堀口さんの著作。「堀口がいなければ、日本のコーヒーは十年は遅れていたでしょう」 ▲仕入れているコーヒー豆。空袋はインテリアとして活用されることも。
ファミリー、喫茶店をはじめる
スペシャルティコーヒーを楽しめるDEAR CUPは、実は意外にも家族経営のお店。
本格的だけどアットホーム。
自分の夢を叶えようと奥さんと息子さんと共にはじめたお店ですが、オープンしてすぐにうまくいったわけではありません。
「最初の半年は、家族三人で毎日反省会をしてました」
仕事を終えて帰宅する車内の30分が、中田一家の反省会の時間でした。何しろ家族全員接客業は未経験。
「随分、お客様に失礼なことをしたと思います」
特に悩んだのが、店内を禁煙にしていることでした。
スペシャルティコーヒーの香りを楽しむためには、タバコの煙は邪魔になりますが、喫茶店といえばタバコは定番。「なぜ吸えないのか」とよく指摘されたとか。
中田さんは迷いましたが、次第に「禁煙の店だから」というお客様が来店するようになったのです。
10_famiry.jpg
▲家族三人のチームワークはばっちり。
DEAR CUPには、ごく静かなボリュームでBGMが流れています。これもコーヒーを飲むのに障らないよう、でも音楽が好きな人には楽しめるようにとさりげない心遣いをされています。
このBGMの担当は中田さんですが、一輪挿しや棚の小物のディスプレイは奥様の担当です。
「ケーキを作っているのは息子と家内です。家族三人がひっぱりあって、うまくバランスが取れていると思うんです」
自分一人だと、音楽や並べる雑誌、インテリアなども、もっと男っぽいものになったと中田さんは語られます。
11_tana.jpg
▲奥さん担当の棚のインテリア。スペシャルティコーヒーは、カップも大切ですよね。  
店内では、お客様が楽しげに過ごしています。お友達同士で会話を楽しんでいる方、一人で読書を楽しんでいる方。禁煙ということもあって、週末には小さいお子さん連れも多いとか。
「小さい子どもさんが、店内を走り回ってますよ」
と、中田さんは目を細めます。
■魔法使い、世界に元気を与える
コーヒーのおかわりは一杯150円。最初の一杯とは違うコーヒーを選べます。
「色んな味がありますから、飲み比べて欲しいんです」
コーヒーの酸味・苦味が苦手という人も、品質の高いスペシャルティコーヒーなら、酸味・苦味も美味しさとして味わえ、丁度好みの味が見つかるはず。
最近始めたコーヒーの入れ方セミナーも、コーヒーの美味しさを伝えたいという想いから。
堀口さんから中田さんに美味しいコーヒーの哲学が伝わったように、中田さんからDEAR CUPファンのみなさんにも想いが伝わっていけば良いですね。
13_gift.jpg 14_oyako.jpg
▲マカロンのギフト。もちろんコーヒー豆も素敵なプレゼントになりますよ♪ ▲父から子へ、心と技術が受け継がれます。
中田さんの夢は広がります。
中田さんの師匠堀口さんは、開発途上国の農業指導を引き受けていますが、中田さんもアジアで一番若い途上国・東ティモールの豆を仕入れています。
「作る人と飲む人の顔が見えて当たり前だと思うんですよ」
コーヒーを愛する人々が、豆を大切に育てている生産者とこの店で顔を合わせられるようになれば……。
生産国の多くは発展途上で、経済も政情も不安定な国々ばかり。生産者が日本に来ることすら、きっと簡単なことではないでしょう。ですが、もし世界の人びとがひとつのテーブルを囲むことが出来たなら、それはとても素晴らしいことなのではないでしょうか。
ただひとつのコーヒーの香りが、きっと世界を繋いでくれるはずです。
16_kage.jpg
堺市堺区栄橋町1-8-3
南海本線 堺駅南口すぐ
Tel 072-238-3741
営業時間:9:00~20:00
定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)
全席禁煙

灯台守かえる

関連記事

Remodal

Remodalテスト

Write something.


PAGETOP

remodal