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フードステージ日之出屋 (後編)

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前編

岩橋さんの学生時代のエピソードをお聞きしました。

「僕は、高校時代にモラロジー(※注2)について勉強するための学校へ行っていました。男子校で、全寮制だったんですが、そこで色々と学びました。」
えっ、そんな早い段階で志の高い想いを持たれていたのですか!?
「いいえぇ全く。単に親からそこ行けと。(笑)まあ僕も結構やんちゃでしたし、全寮制と聞いて、親から離れられると嬉しかったんですよ。」
日之出屋を継ぐ継がないに関わらず、その学校を選んだご両親。そこにはご子息を大きく包む愛情がおありだったのでしょう。

「仲間もたくさん出来ましたし、寮長も経験したので面白い3年間でしたね。」
まあ、優秀だったのですね。
「成績は悪かったですよー。寮長にならしてもらった時も、先生は大反対でしたし。でも”皆がお前に寮長をやってほしいというから”と渋々ね。」
人気者だったんだ、と思わず呟くと「あはは、わかりませんけど」と笑います。

しかし卒業後も、特にその経験を活かそうという意識は芽生えなかったのだとか。

「きっかけは、おじいが亡くなった事です。」
それまで店を手伝う傍ら、100坪で年商10億円を叩き出すスーパーとして東京など全国から視察に来る”偉いさん”を横目で見ながらも、特に実感が沸かなかったそう。
そこには「当たり前のことをしてるだけやないか」と呟く岩橋さんがいました。
その当たり前のことを続けることがどれだけ難しいことか…亡くなった「おじい」の存在がいかに大きかったか。それが分かった瞬間、3年間学び続けてきた意味が、一気に理解できたといいます。

そして、日之出屋初の2店舗目を任されることになった岩橋さん。…迷いはなかったのでしょうか?
「実はオープンする直前まで、絶対出来るという慢心がありました。日之出屋は、祖父の代から地道に、真面目に商いを続けていたからこその顧客。なのに、僕も同じように出来ると勘違いしていたんです。蓋を開けてみると壁に当たりまくりで、今の方が悩みや迷いは多いですね。」

スーパーには珍しい、日曜日は定休日というのも、本店と変わらずですね?
「ここも、悩んだ点です。日曜が定休日って、スーパーではあり得ないですよね。でも、日曜日は家族団らんの日にして欲しいと思ったんです。特にうちは主婦のパートさんがほとんど。お母さんなのに、日曜日に家族を置いて出勤しなければいけないなんて、それは違うと。」

お客さまには、ほんま申し訳ない思てます、と私にまで頭を下げてくださり…。「ええよええよゆっくり休んでや~」と思わず口から出そうになる私。オバチャン心をわしづかみする自然体の岩崎さんに、胸キュンです。

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店内には宮竹昆布(昆布)ねぼけ堂(和菓子)つぼ市(お茶)やまつ辻田(七味唐辛子)などの商品が並びます。やはり堺の名産品だからというチョイスなのですか?
「これらは実に”ご縁”以外の何ものでもないんです。堺のもの、という意識はもちろんあるんですが、どこのお店も小さい頃からお世話になっていた所や、何がしかの関わりがあって。」

良いものを作り出す企業とのあいだに自然と生まれた”ご縁”。そこには、やはり良いものを提供しようとする岩橋さんとの見えない糸が、強く繋がっていたのかもしれません。

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気持ちのこもった岩橋さん直筆コメント、つい食い入るように見てしまいます。

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実際に使ってみて、食べ比べてみて、納得しての仕入れ、という流れが伝わってくるから…。

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“お客様より「ここのオリーブオイル好きやねん!!」こんなお声をいただいてます。”ですって。まさに生の声が反映されていますね。

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“黒毛和牛が紛れ込んでる!!”なんと魅力的な!牛の絵もお上手。

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お弁当やお惣菜もとっても美味しいのですが、委託業者ではないのですね?
「そうなんです。うちは惣菜部門も肉、魚売り場もすべて同社で賄っています。惣菜はもともと居酒屋経験のある松井板長が担当しています。」

そういえば、9月18日に開催された堺駅前商店街主催の『B級グルメフェスタ』で栄えある一位を獲得したのも、ここ日之出屋のもの。おめでとうございます!
「ありがとうございます。松井板長にずいぶん頑張ってもらいました。B級やいうてるのにウメビーフって…ちょっとずるいかなと思ったんですけど(笑)」
あゆみも絶賛していた「梅すったん牛棒(Western cowboy 訳:ウエスタンカウボーイ)」ですね。こ、このネーミングはどなたが…?
「これも僕です。」
なんてセンス!最高です。

「皆で言うてたんです、スーパーで良かったなあ、て。お店やったら、そこだけを目指してその品だけを目的に来はる方もいらっしゃるでしょう。B級グルメの主旨は多くの方に堺駅前商店街へ足を運んで欲しいというもの。とんぼ返りされては意味ないんです。その点、スーパーやったらその心配はありませんもんね。」

合理的で、底抜けに明るくて、何より堺に暮らす人々が大好きで。
そんな岩橋さんのキャラクターも手伝って、今日も日之出屋は賑わいます。後を着いて行くといろんなおば様と挨拶を交わす岩橋さん。その光景は微笑ましい限り。

「…実は、早く年をとりたいんです。」
ええ?なんでまた。
「亡くなったおじいや、父みたいに早くなりたいんです。僕みたいな若造、何言うても説得力無いやないですか。」
スーパーで働く職人になりたい。それが岩橋さんの夢なのだそう。

日之出屋の経営理念は”物心両面に渡る豊かさづくり”。
『お客様の幸福が我々の喜びであり誇りとす。
感謝の心を忘れず自己の品性完成を目標とす。』
年を重ねた人間が理念を語るとき、そこには確固たる覚悟が伴います。
その信念、その貫禄。早く自分も手に入れたいという強い気持ちが、とても伝わってきました。

「チキショー負けるかあ」とつぶやきながら、今日もオバチャンたちとの会話に花を咲かせる岩橋さんなのでありました。

※注2:モラロジー( 道徳科学 )とは、廣池千九郎(1866~1938、法学博士)が創立した、道徳を科学的に研究する新しい学問。モラロジーは、道徳の視点から、自然と社会と人間のすべての領域を考察し、個人の幸福と社会の平和の実現に有効な指針を提示しようとする総合人間学のこと。

フードステージ日之出屋
堺市堺区栄橋町1-10-1
最寄り駅:南海線「堺駅南口」
定休日:日曜日
営業時間:10:00~22:00
無料駐車場あり
電話番号:072-238-2323

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食鮮館日之出屋
堺市堺区南半町西1丁1-12
MAIL:info@e-hinodeya.com
定休日:日曜日(祝日営業)
営業時間:9:30~20:00
無料駐車場:9:30~20:30
最寄り駅:阪堺線「御陵前駅」徒歩1分
南海線「湊駅」徒歩10分
食鮮館 日之出屋 TEL:072-232-5125
くらし館 日之出屋 TEL:072-225-7721


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