「白鷺」駅からロータリーへと降りると、カラフルな布でできたモニュメントが視界に飛び込んできます。
このモニュメントだけではありません。駅前の風情ある中華料理店の正面にはおおきなキャンバスに描かれた絵。買い食いしたくなるたい焼き屋さんにも魚の骨のイラスト。そしてタバコ屋さんにもアート、ペットショップにもアート……。駅前の商店通りにいつの間にかアートが溢れているではありませんか。
「あの手ぬぐい行灯のモニュメントの四面が四季をあらわしています。素材は中区の伝統産業である注染なんです」
このアートイベント「白鷺アートアベニュー2015」を案内してくださったのは、イベントを企画運営している「しらさぎ310商友会」の一員で、「焼肉冷麺つくし」のオーナーの青木幸治さん。
「大阪府立大学と一緒に『白鷺』駅が出来る前は、このあたりは一面の田んぼだったと聞きます。丁度堺市の北区、中区、東区の端っこが集まった場所で、ひとつの町としての地盤がなく、コミュニケーションが取りづらいく、まとまりづらいん町なんです」
そんな駅周辺の商店が集まった、「しらさぎ310商友会」では、大売出しや、中百舌鳥のバルに参加したりと毎年活動を行っていましたが、今回企画を担当した青木さんは、今までと違うアプローチを考えました。
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▲駅前のモニュメントと青木さん。モニュメントはKanFA(関西ファッション連合)の協力で完成しました。
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「アートに詳しいわけではないんですが、たまに美術館に行ったりはしていたんです。お店の前にアート作品があると、足を止めるんじゃないか。スペースを貸すだけなら、お店への負担も、バルで新メニューを考えるよりも少ないはずだと思ったんです」
青木さんは、発案のきっかけについてそう語りました。
アートイベントの企画を立ち上げた青木さんたちが考えたコンセプトは「アートとお店」。
「公言はしてないんですが、それに加えて『地元地域』という三つめのキーワードがあるんです。モニュメントに使った注染は中区の地場産業なんですが、正直今までまるで知りませんでした」
注染は、石津川流域の毛穴町に伝わる伝統的な染めの技法です。布の芯までしっかり染まり、鮮やかで色落ちしにくい染め方で、日本手ぬぐいや着物に使われたりします。
そして、この注染を使ったモニュメント作品をはじめ、多くのアート作品を手掛けたのが、やはり地元の大阪府立大学の美術部の学生たちでした。
「地元の府大に協力してもらおうと話をもっていったら、驚くほど協力してくれました」
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▲310号線沿いの歩道に展示された「楽垣アート」。大阪府立大学ボランティアセンターが「楽垣ペイントキッズ」を開催し、子供達と一緒に作品を作り上げました。
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府大の塀を展示スペースに提供してくれるだけでなく、オープニングセレモニーには学長もスピーチをしました。
「『前から白鷺をアートの町にしたいと思っていた』とおっしゃってくださって驚きました」
「しらさぎ310商友会」に所属する店舗も、青木さんの予想以上に積極的でした。
「20店舗ぐらいは参加してくれるかなと思っていたんですが、ふたを開けてみれば30店舗。展示する作品の扱いにも気を使ってくれたり、思いのほか熱心に取り組んでくれたんです」
アーティストも、府大の美術部だけでなく、大阪芸術大学の学生も合わせて35人のアーティストが参加。アーティストによっては、数点の作品を出展しています。
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▲「きたの生花店」のご主人。アーティストのリクエストで花をもって写真を撮ったところ……。
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▲こんな可愛い作品に!! 店頭に飾っています。
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「イベントまで時間がなかったにも関わらず既存作品ではなく、展示する店舗を下見して、店舗のイメージに合うようにアートアベニューのために新作を作ってくれたアーティストも多かったんです」
たしかに、お店の雰囲気と絶妙にマッチした作品が多い印象です。
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▲ペットショップ「癒」には羊の絵。他の出展作品も見て回ったというオーナーさんは「動物の絵の作品が多くないですか」と嬉しそうでした。
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▲総合生活支援センター「えると」には穴から差し込む光が印象的なボードのアート。職員の方に話を伺うと、「作ったアーティストの先生にあたる人が入院していた時の病院の天井をイメージした作品だそうです」
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▲「hair make anjii」の階段上に三枚の写真作品が展示されています。「見に来た方に渡してくださいとポストカードを預かってます」とプレゼントも!
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お話を伺うと、青木さんたちが意図したように、店舗とアーティストの交流があちこちで行われていたことがわかります。
「来年は、もっと多くの店舗に参加してほしいね」
との声もきかれました。
若いアーティストの感性が地域の魅力を輝かせる「白鷺アートアベニュー」。2月20日と21日にはグルメバルなどのイベントも開催されます。美味しいものを味わい、アートを楽しんではいかがでしょうか?
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▲地域の伝統産業・注染で作られたアートも必見です。
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白鷺アートアベニュー
■期間:2015年2月14日(土)~22日(日)
■場所:南海高野線「白鷺」駅前及び周辺エリア