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世界のお茶に堺で出会う!”SAKAIマルシェーワールド茶会ー”

 

侘茶を大成させた千利休。その生家跡に隣接する「さかい利晶の杜」で、「SAKAIマルシェーワールド茶会ー」が開催されました。アジアで生まれたお茶と喫茶文化は今や世界に広がっていますが、その中から日本、中国、韓国、ベトナム、四か国のお茶を楽しめるというイベントです。中国茶はウーロン茶のようにすっかり日本の生活に溶け込んだりもしていますが、韓国やベトナムのお茶となると、さてどんなものなのか興味がわいてきます。
小春日和のイベント日和の中、さかい利晶の杜へ足を向けてみました。

 

■韓国のお茶

 

 

韓国茶の講師を務められたのは、尹道心先生(韓国茶道協会京都支部)で、この日は高麗王朝の新茶儀礼に則ってお茶を出してくださいました。高麗王朝は、西暦918年から1392年まで、日本でいえば平安時代前期から南北朝時代の終わりまで続く長い王朝です。仏教の興隆と共に茶も好まれました。

 

 

▲辰年ということで、床の間のお軸は龍と亀、置物も龍、お湯を注ぐ容器も龍、そしてもう一匹龍がいます。さてどこに? こんな風にして設えにも心を尽くして客をもてなす所も日本と共通していますね。

 

日本の茶道と違う所としては、まず、それぞれの客に抹茶をいれた状態で茶碗が運ばれてくること。そこにお湯を注いで、目の前でお茶を点てること。日本だとまずはお菓子を食べてからですが、韓国茶道ではまずはお茶を口にします。そこからお菓子を食べて、もう一度お茶を飲みます。飲み干す時に音を立てない、茶碗の縁を指で拭かないなど、細かな違いはいくつもあるようです。ただ、禅に基づいた精神性の高さという点は共通しており、日本でもよく知られる「茶禅一味」は、高麗で生まれた言葉なのだとか。

 

■中国のお茶

 

中国のお茶の講師は、劉婷先生(中国国家評茶員)。簡単なインタビューをしてみました。
--中国のお茶と日本のお茶の違いはどのようなものですか?
「私は日本の茶道には詳しくないのですが、日本のお茶は作法にこだわりがあって、作法を楽しんでいるというイメージがあります。中国のお茶は作法を楽しむよりは、色んな種類のお茶を楽しむものです」
ーー色んなお茶の種類を飲んであてる闘茶が中国から伝わったと聞いたことがありますが、ワインのテースティングみたいですね。
「そうですね。もともとお茶の種類も沢山なる中で、緑茶とか紅茶、ウーロン茶にすると同じ種類でも味が違います。また同じお茶でも一煎目、二煎目で味が違います」
ーー今日のイベントの印象はどうですか?
「みんなこんなに来てくださるなんて思わなくて、結構遠くから、東京からも来てくださって、すごく楽しかった! 楽しいです。やってるこちらが楽しませないといけないのに、逆に楽しませていただきました。ありがとうございます」

 

■ベトナムのお茶

 

ベトナムのお茶の講師は、ド テイミリ先生。引き続いてインテビューしてみました。

--韓国のお茶、中国のお茶、それぞれ違うものだと感じましたが、ベトナムのお茶はどんな特徴があるのでしょうか?
「そうですね。ベトナムのお茶は日本では一般的な緑茶とは違って、ベトナムは蓮茶です。人気のブレンドもあって、すごく一杯飲まれています。気楽に、日本のような茶道とかはなく、気楽に飲めるんです。体にいい効果も色々あって」
ーー蓮茶は体にいいんですか。
「はい。いっぱいありますね。たとえば便秘の解消とか。不眠症の解消とか。カルシウムがちょっとあって骨にもいい。メンタルにもいい」
ーーそれは良さそうですね。気楽に飲まれるとのことですが、日常的に?
「ベトナムでは日常的に飲みます。どこへ行っても飲みます。屋台とかでも気軽くいつでも飲める。飲む時間とかも決まってなくて、ご飯の前とか、ご飯の後とか、寝る前とか」
ーー気軽に飲む。それがベトナムのお茶の楽しみ方なんですね。ありがとうございました。

 

■日本のお茶&和菓子体験

 

さて、日本のお茶。さかい利晶の杜の立礼席では、日替わりで三千家のお点前を楽しむことができます。一つの施設で三千家が顔をそろえているなんて、ひょっとしたら日本でここだけ? この日は、表千家のお点前でした。

 

▲和菓子の工程を細かくひとつひとつ指導されていました。

 

そして、お茶に無くてはならないものといえばお菓子。南蛮貿易によって、香料やポルトガルのお菓子が堺に持ち込まれたことで生まれたのが日本の和菓子です。ベトナムではありませんが、当時から日常的にお茶が楽しまれていた堺は、今でも和菓子の名店が数多くあります。そんなわけで、この日のイベントでは和菓子作り体験のワークショップも開催。担当されていたのは天神餅さんでした。

 

▲「さざんか」のお菓子を作っていました。

 

いかがだったでしょうか? 韓国、中国、ベトナム、日本。アジア四か国のお茶はそれぞれ個性的で、とても興味深く感じられました。違うけど似てる韓国の茶道、多彩でエンターテイメントな中国のお茶、日常の生活に溶け込み健康を支えているベトナムのお茶。ひとついえるのは、どの国のお茶も美味しいってことじゃないでしょうか?

 

さかい利晶の杜

web:https://www.sakai-rishonomori.com/

TEL.072-260-4386
堺市堺区宿院町西2丁1番1号

 

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