日本製鉄堺ブレイザーズ観戦記23-24(4) vs東レアローズ第二戦(後編)
若いアスリートたちが躍動している。
2023-24シーズンの日本製鉄堺ブレイザーズの第二戦、対東レアローズ戦は第一セット、第二セットを連取。昨日の第一戦と同様、若いメンバーが中心のスタメンで、不安定な所も見せた初戦と比べると、勢いのあるプレーが目立ち、日本製鉄堺ブレイザーズペースで試合が進んでいます。
はたして第三セットも取りストレート勝ちとなるか。注目の後半戦です。
■第三セット 勝利へ一直線
第三セット序盤は、日本製鉄堺ブレイザーズのシャロン・バーノンエバンズ選手(13)が打点の高いスパイクに、サービスエース、バックアタックを決めて頼れる所を見せますが、東レアローズもパダル・クリスティアン選手(14)を軸として互角の展開から、3連続得点で5-7とします。これ以上ブレイクを許すと、東レアローズが勢いを増しす嫌な展開になりそうです。しかし、ここで堺ブレイザーズのブロックがさく裂。迫田郭志選手(9)と新加入の渡邉晃瑠選手(10)が二枚で飛んでブロックポイント。東レアローズの出鼻をくじきます。これはただの1点以上の価値あるブロックだったのではないでしょうか。その後、今度は堺ブレイザーズも3連続得点して9-8と追い越したあたりから、互角だった様相が変わってきます。堺ブレイザーズのブロックがさえる一方、東レアローズはタッチネットなどミスで自滅的に失点していく。12-9と差がつきはじめて、テクニカルタイムアウトです。
ブロック! ブロック! ブロック! と、まさに鉄壁(スティールカーテン)の日本製鉄堺ブレイザーズ。その高い壁の前に、東レアローズが息切れしている。そんな印象です。
「これはいけるんちゃうか!?」
コート脇にいた筆者の頭には、第三セットゲットでストレート勝ち、開幕二連勝万歳! というイメージがむくむくっと沸いて くるじゃありませんか! いやいや気が早い、落ち着け、落ち着け。まだセットは半分を過ぎたばかり。この程度の点差ひっくり返される時はあっという間。堺ブレイザーズは何度も痛い目にあってるんですから。
しかし、しかしです。今シーズンの堺ブレイザーズは一味違いました。竹元選手&渡邉選手のミドルブロッカー陣が真ん中から速攻を決め、バーノン選手には第三セット2本目のサービスエースを決めるといった具合で主導権は握ったまま。
ブレイクの続く堺ブレイザーズ、単発の東レアローズという構図で試合は進みます。終盤には、ピンチサーバーとして安井選手、赤星選手らがコートに姿を現します。”ビッグボディ”安井選手が迫力のサーブで会場をうならせれば、赤星選手は切れ味よく本日2本目のサービスエースを決めます。この二人のサーブは、今シーズンの見所の一つになりそうです。
そして、この試合を締めたのは、出場選手の中では最年長の髙野直哉選手。24点目、25点目のスパイクを当然のように決めて、勝利をもたらしたのでした。
第三セットの最終スコアは25-18。3-0の気持ちよいストレート勝ちで開幕二連勝となりました。この日最も活躍した選手(VOM)に選ばれたのは、竹元選手。攻守に活躍し、文句なしの選出でしょう。
■記者会見
二連勝後の記者会見に登場したのは、安井選手、山口選手、竹元選手、バーノン選手の4人。注目度の高い一戦らしく、記者の数も多めで、様々な質問がでました。ちょっとダイジェストでお届けします。
試合の振り返りから。
安井「まず、ストレートで勝てたことは本当にチームとしても良かったと思います。個人としてはピンチサーバーとして1セットに1回入れさせてもらったんですけれど、自分のサーブで流れをこっちに持ってくることもできますし、流れを変えたい時に自分は起用されると思うので、そういう思いで1回1回サーブを打っていました。もっと個人的に成長をしていく部分もありますし、チームとしてももっと上を目指しているので、開幕戦で連勝できて、この流れで加速できればいいかなと思います」
山口「昨日に引き続いてタフな試合になることはわかっていましたし、結果こうしてストレートで勝てましたけれど、厳しい場面もいくつかあった中で、安井選手だったり、赤星選手たったり、途中出場の選手が流れを変えてくれた、引き寄せてくれたというのが本当にチームとしても助かっています。結果的にホームゲームで2連勝できたということは、チームとしても自信になりますし、良いスタートを切れたので、また一つ一つ積み重ねて、長いシーズンになりますけど、チーム一丸になって最後まで闘いぬきたいと思います」
竹元「ストレートでしっかりと勝ち切れたというのがまず一番あるかなと思います。スタートダッシュで負けてしまうと勢いが出にくくなるので、まずはストレートで勝てたことが非常に良かったなと思います」
バーノン「今シーズンの最初に力を実証できたこと。昨日、それから今日と上手くプレイできたことは本当に重要なことだと思います。プレシーズンマッチで良い試合が続いていなかったので、今シーズンをどういうふうに乗り切っていこうかと考えなければならない所でした。山口選手も話していましたが、長いシーズンに向けて成長していくことを期待していますし、チームとしても問題点に取り組んでうまくワークアウトしていきたいと思っています」
続いて記者からの質問です。
ーー安井選手に。昨日は初出場のデビュー戦で初得点。今日また初サービスエースと、初物づくしですごく活躍されたと思うのですが、その感想は?
安井「初出場、初エース、出場させてもらって、得点させてもらったんですが、個人的にはそんなに気にしていませんでした。リーグが始まる前のプレシーズンマッチでも、途中からという機会も多くありましたし、2セット目からとか、最後のセットとか、ピンチサーバーとか、色んな場面で起用してくれることが多かったので、あまり緊張というものもなかったです。そういう初めて出場したっていう気持ちじゃなくて、どやってチームに貢献できるかだとか、自分のサーブでチームの流れを変えたいなという思いでずっと試合に出ていました」
ーー堺のファンはこれから安井さんのプレーを見る機会が増えてくると思うのですが、ここを見てくれというアピールポイントはなんでしょうか?
安井「スパイクを見て欲しいかなと思います。今日もピンチサーバーとか、二枚替えとかで入れてますけれど、やはりアウトサイドで出場したいという思いが個人的にはあります。そういう途中で出た時でもしっかり結果を出せる選手になりたいと思っているので、そこをしっかり見ていただきたいです」
ーー元ミドルブロッカーでアウトサイドに転向されたということですが、今ご自身の課題はどのように思われていますか?
安井「アウトサイド全体的な技術としてはまだまだなんですけれど、特にパスに部分では練習から意識してやっています」
ーー山口キャプテンに。昨日、今日と連戦でしたが、チームとして良かった点と悪かった点をあげるとしたらどうでしょうか?
山口「良かった点は、相手の昨日の攻撃をコーチ陣が分析してくれて、その対策として、ブロックだったりディフェンスだったりは昨日より良くできていましたし、そこで多くブレイクをとれていたので、自分たちの強みが出せました。悪かった点としては、まだ細かいところは、あるのですが、個人的にはもっとクイック、パイプ(中央からの攻撃)のコンビの精度だったりとか。パスは本当の良く返してくれているので、そこでコンビの精度を自分がしっかりと高くして、もっとサイドアウトの確率をあげていきたいなと」
ーー竹元選手。開幕から2戦スタメン出場の様子を拝見していると、すごく調子がいいように見えますが、今年のコンディションであったり、あるいは今シーズンにかける意気込みなどきかせてもらえますか?
竹元「自分の感覚的にはまぁいいなっていう風には思っています。別にどこか痛い所があるわけでもなく、動きに不安があったりするわけではない。バレーボールをするにあたってコンディションはすごくいい状態です。今シーズンにかける意気込みとしては、昨シーズンはファイナル4に進めて、ファイナル4で一勝もできなかったという結果だったので、最低の目標はまずファイナル4に入れるっていうことで、さらにファイナル4で勝ち進むことで昨シーズンと差をつけないといけないと思っていますので、そこでチームで闘っていきたいです」
ーー個人としての目標などは?
竹元「やはり僕の強みはブロックだと思うので、昨シーズンよりもブロックの決定本数をあげるとか、数字では見えないブロックでタッチする本数を少しでも増やしていきたいです」
ーーバーノン選手に。2連戦ですごい攻撃力を見せてくれましたが、まず攻撃に対して調子はいかがでしょう。もう一つは、ディフェンスの面でもフロアディフェンスでの頑張りも目につきましたが、何か意識されているのでしょうか?
バーノン「一つ目の質問に対してですが、全体的にいいプレーが出来ていると思うのですが、今日の試合の方が昨日の試合よりもいいプレーが出来ていると思っています。昨日のゲームにかんしては、ちょっと腕の振りが遅かったという風に思います。それでタッチを沢山とられていました。それについて気が付いていましたが、今日の朝アシスタントコーチから同じ指摘をされて、そこを練習していこうと思いました。実際に試合でも修正できて、自分のプレーというものを今日は発揮できました。ディフェンスに関しては自分はオポジットとしてプレーしているのですが、ディフェンスに関してはディフェンスの選手だけがやるものではなく、チーム全体でやっていくことだと思っています。なので自分も大変集中していました。自分が個人としてプレーするこも重要ですが、チームのみんなでプレーすることで、チーム全体のやる気を上げることも大切です」
ーー会場の方でもディフェンスの時にも盛り上がっていたように思いました。最後になりますが、第二セットの時にバーノン選手が赤星選手に何か言っていたように思うのですが、それはやはりトスの事でしょうか?」
バーノン「話していたのはブロックのことです。彼はすごくブロックが高いので、いいブロックをするのですけれど、手が弱い時があるので、そのことについて話していました。自身を持つようにって」
開幕2連戦、2連勝と良いスタートダッシュをきることができた日本製鉄堺ブレイザーズ。長いシーズンははじまったばかりですが、これからの健闘を期待します。
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