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日本製鉄堺ブレイザーズ観戦記23-24（１）　vs東レアローズ第一戦（前編）

20231015

２０２３年、１０月も中旬となって記録的猛暑もようやく過ぎようとしていますが、アリーナは熱い。堺旧港を臨む大浜だいしんアリーナはV.LEAGUE2023-24シーズン開幕戦を迎えようとしていました。
ホームチームの日本製鉄堺ブレイザーズが迎える相手は東レアローズ。昨シーズン４位で８年ぶりにファイナルステージ進出を決めた堺ブレイザーズに対して、東レアローズは５位でファイナルステージ進出を逃しています。昨シーズン以上の成績、そして優勝を目指す堺ブレイザーズにとっては、負けられない相手であり、落とせない開幕戦です。
そして、この一戦を開始前からいっそう盛り上げたのが、ダンスパフォーマンスや力の入った演出の数々でした。

■大浜だいしんアリーナで過ごすお祭り気分の一日

▲両チーム選手入場もハデハデ。

レーザー光線に、炎とスモーク。ド派手演出が観客を非日常のバレーボールフェスティバル空間へと導きます。この日一日、エンターテイメントを堪能しましょう。

▲日本製鉄堺ブレイザーズ公式パフォーマンスチーム「B-REX」。

昨シーズン、素晴らしいパフォーマンスを披露してくれていた堺シュライクスチアパフォーマンスチーム「shrikegirls」が、今シーズン期間中は日本製鉄堺ブレイザーズ公式パフォーマンスチーム「B-REX」として活動することに。この日、「B-REX」としてアリーナデビューを果たしました。「B-REX」はダンスパフォーマンス後も、試合中常にコート脇に立ち共に応援を盛り上げていましたよ。

▲観客が参加してのサーブインセレモニー。

野球でいえば始球式にあたるサーブインセレモニーを務めたのは、一般の観客の方。事前の応援練習で一際目立つ応援を見せていた方が選ばれました。数千人の観客が見守る中、一球目は失敗。しかし会場中の応援に後押しされて、２球目は見事にコートイン。大役を果たされていました。観客はいわゆる「お客様」ではない。応援を通じて、チームを後押しし、アリーナの空気を作り上げる「参加者」であることを示すいい演出だったのではないでしょうか。

▲アリーナ前にはキッチンカーが集合。

ちなみに、会場の外。
午前中に開場、お昼過ぎたら試合開始というタイムスケジュールですから、お昼をどうするかは頭を悩ます問題ですよね。でもご安心ください大浜だいしんアリーナ前にはキッチンカーがスタンバイ。サッカーや野球の観戦でもご当地スタジアムグルメが人気で、観戦での楽しみの一つとなっていますが、V.LEAGUEでもこのムーブメントが本格化しそうではないですか！

▲試合開始直前の選手入場でもファイヤー！　新加入の渡邉晃瑠選手には、試合後の記者会見でこの演出についての感想を聞いています。

もちろん、ハデハデ演出はその後も続きます。日本製鉄堺ブレイザーズの選手入場の際にも、選手は炎を背負って登場。この炎の演出は、派手なだけではなくチーム名を体現している演出だといえます。チームのアイデンティティとして、どんどんガンガンやってほしいところです。

■第一セット　若いスタメンが躍動する

スターティングメンバーには少々驚かされました。セッターで主将の山口頌平選手（１４）は久しぶりのスタメン出場。オポジットのシャロン・バーノンエバンズ選手（１３）は不動の一人ですが、ミドルブロッカーは新加入の渡邉晃瑠選手（１０）と竹元裕太郎選手（２１）、アウトサイドヒッターは髙野直哉選手（４）と昨シーズンブレイクした迫田郭志選手（９）。なおリベロは、相手が攻撃するサーブレシーブには森愛樹選手（６）、こちらが攻撃する時のディグには堀江友裕選手（５）と２人体制で挑むようです。
この中でオーバー３０のベテランは髙野選手だけで、堺ブレイザーズ・ヤングガンズとでもいいたいような、平均年齢の若いメンバーです。この時は、「ベンチに頼もしいベテラン勢が控えているし、うまくいかなくても打つ手はあるし大丈夫だろう」なんて思っていたのですが、この後彼らは自らのプレーでそんな猜疑の眼差しを吹き飛ばしてしまいます。

第一セット。初得点こそ東レアローズに奪われたものの、その後すぐにシャロン・バーノンエバンズ選手がチームをひっぱり、さっそくサービスエースも叩き込むなどの活躍で５連続得点。５－１と序盤を制します。とはいえバーノン選手、ぼちぼちブロックに阻まれたり、生あくびをしてる様子もありで、すごいとはいえまだまだ本調子ではなさそう。調子をあげてきた時は、誰にも止められない触れられない、アンストッパブル＆アンタッチャブルなコート上に君臨する帝王になるわけですから、東レアローズとしては寝た子が起きる前に、試合を優位に進めたいはずだったでしょうが……。

▲ダンプカーが飛び込む勢いで巨体をコート外に投げ出してボールを拾うバーノン選手。このボールを森選手が繋いで相手コートに返すのですが、惜しくもポールの外を通過してアウトに。

そんな中で目立ったのは、まず全員のフロアディフェンスの意識の高さ。先週の出陣式で千葉進也監督はディフェンスを強化したといっていましたが、バーノン選手も何度も体を投げ出してボールを上げており、他の選手はなおさらです。
１２点目は髙野選手が自らあげたボールを自ら決め、１２－１０でテクニカルタイムアウトは堺ブレイザーズがとって、第一セットの前半を折り返します。

▲髙野選手が拾って決めて12点目。テクニカルタイムアウトへ。

テクニカルタイムアウトがあけると、東レアローズがブレイク連続得点して１３－１３とし、その後はしばらく互いにサイドアウトしあって点差は広がらず、しばらく互角の展開が続きます。この間、堺ブレイザーズは迫田選手、竹元選手、渡邉選手が得点をあげ若手選手の躍動を印象づけました。じわりと点差が広がり、渡邉選手がこのセット２本目のブロックポイントを決めて２０－１７となり、東レアローズがタイムアウトをとって終局へ。

▲渡邉選手がまたもブロックポイントを決める。

追いすがる東レアローズに無慈悲な一撃、二撃を加えたのは、バーノン選手でした。スパイクにバックアタックと連続得点。交代選手として、赤星伸城選手、鵜野幸也選手も登場。客席からの拍手の音量もアップして、まるでその力が相手選手に作用したかのように、最後はサーブミスで２５－２２。堺ブレイザーズが第一セットを奪ったのでした。

▲これぞ悪魔のハンマー。バーノン選手のスパイクが相手ディフェンスを粉砕する。

■第二セット　暗雲立ち込める

▲試合開始前の応援練習。久しぶりの声出し応援です。

久々の声出し応援の復活で、堺ブレイザーズのゲームがようやく帰って来たと印象付けた第一セット。中でも一際通る声で応援している人がいるなと思って振り返ると仁王立ちのブレイザーズスポーツクラブ田下社長でした。戦場に轟く大声で有名だった戦国武将島左近ばりの「カットー！」。夢に出てきそうです。一方、堺ブレイザーズ一色の応援の中でも、田下社長に負けず東レアローズの応援に声を張り上げている方もいました。心からプレーに一喜一憂している声援で、これは東レアローズの選手も力づけられたでしょうね。
閑話休題。

▲バーノン選手のスパイクが東レアローズのブロックに防がれ４－７。

第二セットのオープニングブローはバーノン選手のスパイクから。ただ、東レアローズの選手たちは上手く気持ちを切り替えたのか、堺ブレイザーズの選手の間にうまくボールを押し込んで得点するなど、冷静なプレーが目立ちます。堺ブレイザーズの攻撃が単発で終わる中、東レアローズはぼちぼちとブレイクを挟んで得点差を広げていき、気が付けば８－１２で折り返しのテクニカルタイムアウトは東レアローズのものに。バーノン選手のスパイクが東レアローズのブロックに防がれ、ブロックポイントを稼がれる場面も散見されるようになります。