ミュージアム

親子で楽しむミュージアム@堺市博物館 レビュー(1)

 

今大人で、かつて子どもだった皆さん。子どもの頃、親に博物館に連れて行ってもらったことはありますか? 博物館であなたはどんなものと出会い、どんな体験をしましたか? そしてそれは今のあなたに何か影響を与えているでしょうか。
今回紹介するのは、親子での博物館体験をテーマとしたイベント。堺市博物館で開催中(会期:2023年7月1日~8月20日)の企画展「親子で楽しむミュージアムーきて、みて、アートー」です。

 

■アートの魅力を「探す」

 

▲「いろは仮名屏風」趙陶斎筆

 

企画展の案内をしていただいたのは担当学芸員は石畑いづみさん。
--今回の企画「親子で楽しむミュージアム」は、夏休みにピッタリの企画ですね。やはり時期的なこともあって考えられたのですか?
石畑「そうですね。私は高知城博物館に勤務していたのですが、昨年の4月に堺市博物館に移って来たんです。それでこちらで堺市博物館に勤務しているんですって、色んなところで言うんですが、『いったことがない』とか『どこにあるんかな?』『ちっちゃい頃にはいったけど』という人に出会うことが多くてですね、そういう人にも届けられるような、興味をもってもらえるような展覧会ができればなと思ったんです。今回出しているものは、ほぼ堺市博物館の所蔵品となっています」
--なるほど。副題は「きて、みて、アート」となっていますね。
石畑「私の専門が美術、主に工芸なのです。日本の美術品というのは、どう見たらいいかわからないとよく言われるんです。綺麗とか、高そうという感想はあっても、もう一歩ってなかなか難しい。そこで今回は三つの見方をあげています。一つの見方ごとに一章をたてて展示しているんです」
--先入観で敬遠してしまうのはもったいないですから、これまで日本の美術に興味のなかった人にもとっつきやすい企画展は嬉しいですね。それでは一つ目の見方から紹介してください。

 

▲「月次風俗諸職図屏風」

 

石畑「一つ目の見方は『探す』です。ここでは主に屏風ですが、屏風に描かれているのは、色んな書であったり色んなテーマの絵。その色んな書の中から、今回、いろはの歌が書かれた「いろは仮名屏風」を選びました。いろはの仮名屏風では、全部で47文字が書かれているんですけれど、日本人であれば、おそらく自分の名前が出てくるんじゃないかと。そこで、自分の名前を探してみましょう、というのをここではテーマにしています。そうすると、文字の見え方とか、自分とどう字の書き方違うとか、もう一歩踏み込める」
--なるほど、個人が自分と作品のつながりを感じられる仕掛けになってますね。
石畑「実は無い文字の人もいたりするんですよ。昔の仮名文字なので、「ん」「え」とか「お」とか。そういうのも探していくとわかってくるかなと思うんです」
--昔の仮名はちょっと違いますもんね。ここでは文字の書き方が変わって来た歴史を学ぶこともできるんですね。
石畑「同じ章で絵の方がこちらになります。『月次風俗諸職図屏風』で江戸時代の一年間の生活や職人の様子が月ごとに描かれています。こちらから1月、2月……12月となっています。1月だったらここで遊んでいたり、9月だと重陽の節句。私は12月が結構好きなんです。めちゃくちゃ畳を出して掃除をしていたり」
--大掃除をしているんですね。
石畑「めちゃくちゃ頑張ってお餅つきをしていたり。師走のあわただしい様子が良くわかります」
--この屏風で描かれているのが、どこの場所かはわかっているんですか?
石畑「それはわかっていないんです。時期に関しては学芸員の矢内が論文に書いていて江戸時代のどの時期かはわかっているのですが、場所はわかってないんです」
--江戸時代の日本のどこかの町の様子なんですね。家の様子を見ると二階建てで裕福なエリアのように見えますね。
石畑「日本のどこかの職人さんと生活の様子が描かれていて、それと動物が沢山描かれています。風俗画で動物がこんなに出てくるのは珍しいんです」

 

▲「月次風俗諸職図屏風」の一部を拡大。ここでは馬が描かれていますが、他にもたくさんの動物が出てきます

 

--確かに。馬に、犬猫、鶏とか色んな鳥も出てきますね。ちょっと楽しい。
石畑「鑑賞者の皆様には、自分の年に近い人がいるとか、飼っている猫とか、自分の好きな動物を探してもらう。全体の展示からも、隠れキャラじゃないんですが1章に一匹ずつ作品の中に隠れている動物を探してもらう企画もあるんです」
--ウォーリーを探せ的でそれも楽しいですね。
石畑「1章で探すのは、こちらの鳥です。どこにいるかわかりますか?」
--うーん。屏風の絵の屋根の上に沢山鶏がいるんですけど、どこかにまざってそうな……

 

堺市博物館のニューフェイス石畑いづみさんの企画展「親子で楽しむミュージアムーきて、みて、アートー」は、どうやらライブゲームのように楽しい展覧会のようです。次回からの記事でも引き続きその魅力をレポートします!

 

第二回へ続く)

堺市博物館
住所:〒590-0802 大阪府堺市堺区百舌鳥夕雲町2丁 大仙公園内
電話:0722456201
webサイト:https://www.city.sakai.lg.jp/kanko/hakubutsukan/index.html

 


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