堺意外史

海の見える社交クラブ「旭館」―アサヒビールゆかりの地

■ 旭橋の遺構 消えた地名「旭」

南海本線堺駅のそばを流れる堅川沿いに「旭橋」「あさひばし」と刻まれた橋柱が残っています。ここはむかし旭川があった時代に旭橋が架かっていた場所でした(川は昭和30年に埋め立てられました)。この橋のたもとに江戸時代から明治にかけて「旭の家」という立派な庭をもつ大きなお茶屋があり、とても繁盛したということです。

「旭橋」「あさひばし」の名が見える

 

橋柱を右手に見て国道26号線の暗いガード下をくぐりぬけると、眼前に旧堺港がひろがります。ヤシの木が立ち並び、海に停泊する小型船の上をかもめが舞っています。前方遠くには工場の煙突や龍女神像も見えます。このあたりは、市内を流れる堅川が港に注ぎこむちょうど出口にあたります。「旭の家」は目の前を遮るものがなにも無い絶好のロケーションににあったといえましょう。

■ 社交クラブ「旭館」

明治21年(1888)、アサヒビールの創始者である鳥居駒吉は、仲間とともに「旭の家」を含めた周辺の土地を整備して社交クラブ「旭館」を開きました。堺の酒造業者と政財界の名士との親睦を深めるのが目的でした。「旭館」の建物は壮麗な作りで4000坪もの広大な庭園があったといわれています。
また敷地内に明治維新で廃寺になった善法寺の寺跡がありました(寺跡のうち、龍神堂だけは現存しており、今もお参りができます)。

現在の龍神堂

 

当時の旭館では人々が華やかに集い、海を眺めながらさぞ活気ある商談や社交話が数多く繰り広げられたことでしょう。
駒吉が大阪麦酒会社(のちのアサヒビール)を創業したのは、旭館を開いた翌年のこと。
アサヒビールの由来は、「旭館」からきているとの説もあります。
昭和5年、国道26号線の敷設により敷地が分断されることになったため、旭館の歴史は幕を閉じました。
現在、堺市役所前に植わっている大ソテツは、旭館の庭園より移されたものだそうです。
旭館の興亡の一部始終を見てきた大ソテツ。できることなら詳しく話を聞かせてもらいたいものですね。

堺市役所前のソテツ

 

 

<行き方>

旭橋 橋柱・・・南海線堺駅 西口から南へ約5分「天誅組義士上陸遺蹟碑」そば

龍神堂・・・南海線堺駅 南口から西へ徒歩3分魚市場横

堺市役所・・・南海高野線堺東駅 西口から南へ徒歩5分

<近くのグルメ情報>

●cafe et bar Que sera sera
ヨットハーバー「サウスポイント」3階にある系列のカフェスペース。堺の海を感じ、“乙姫像”を眺めながら本格的な料理とスイーツ、お酒が楽しめます。
〒590-0985堺市堺区戎島町5丁11
TEL 222-3130

●コミュニティカフェ パンゲア&Cafe&bar Tomoruya
「パンゲア」は元は工場だった広い建物を利用した店内は、海風が通りぬける、気持ちのよいお家風コミュニティカフェ。夜には世界のビールと果実酒でゆったり夜カフェの「Tomoruya」に。昼・夜どちらもしっかりメニューのごはんがいただけるのがうれしい。
〒590-0985 堺市堺区戎島町5丁9
TEL 222-0024
http://www.pangea-sein.com/ ←パンゲア
https://fb.com/Cafebar-Tomoruya-1742226789400306/ ←Tomoruya

●Specialty coffee DEAR CUP
南海本線堺駅 南出口前にある世界各地のスペシャルティ規格の豆だけを自家焙煎しているコーヒー専門店。おいしいコーヒーと一緒に手作りのスイーツやサンドイッチも楽しめます。
〒590-0971 堺市堺区栄橋町1丁8-3 スペーシア堺駅前1F
TEL 238-3741
http://www.dearcup.jp/

●カレー&珈琲 伊勢
南海本線堺駅南口からすぐの、老舗の喫茶店。フルーティでスパイシーなカレーがおいしいと近所でも大評判。
〒590-0972 堺市堺区竜神橋町2丁1−23
TEL 232-6745

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