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夜に輝く工場を激写せよ!

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堺市と隣接し共に臨海工業地帯を形成する高石市。近年、この工場夜景を見学に行く『高石工場夜景ツアー』が人気です。
5回目の開催となった今回は700名もの応募があったとのこと。ツアーの参加人数は約40名ですから、20倍近い倍率です。
TV局の取材も2局入り、抜群の注目度の中、バスが出発します。
■撮影講座に食事つきでお得なツアー
ツアーバスが最初に立ち寄ったのは、浜寺公園に隣接する大阪国際ユースホステル。ここでは、まずツアーの講師であるフォトグラファー小林哲朗さんから工場の魅力と見所をレクチャーしてもらいます。
小林さんは、まだ誰も工場に注目していなかったころから、工場撮影をはじめたこの分野の草分け的存在です。
「工場撮影は敷居が低い趣味です」
との小林さんの言葉に目からウロコ。低価格で高性能なデジタルカメラが普及したこともあって、簡単に美しい写真が撮れるのが工場撮影の魅力です。
「いつでもいけて、不変で飾らない本物感があり、季節による違いも楽しめます」
夜景だけではありません。夕暮れどきのオレンジの光に照らされた工場、ちらつく雪や、冬場の水蒸気。気候・天候によって、工場はまるで違う顔を見せてくれるのです。

 

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▲フォトグラファーの小林哲朗さんからレクチャー。 ▲高石工場夜景ツアーは高石商工会議所が主催。高石市長のご挨拶も。
工場の種類によっても様々な見所があります。
「製鉄所は高炉(溶鉱炉)がカッコいい。化学工場は様々なパイプが密集して面白い被写体です。ちなみに太いパイプは気体や粉、細いパイプは液体用です。曲がっているのも意味があって、破裂しないよう圧を逃がすためなんです」
あくまでも実用のために生み出された機能美に造形美、スライドに映される小林さんの作品と、熱いトークに引き込まれてしまいます。
座学の後は、ユースホステルのバイキングで腹ごしらえをして、野外で撮影講座。基本的な三脚の使い方のレクチャーです。
「工場撮影の大敵は、風と振動です」
夜景撮影では、少しのゆれでブレブレの写真になってしまいます。三脚はしっかりとネジを締めて使い、手押しでもぶれるのでシャッターはセルフタイマーを使って押すのがおススメです。三脚を持ってない人は手すりなどの上などでしっかり固定して撮影します。
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▲高石のマスコット・てんにょんに見送られ、いざ工場へ。

 

レクチャーも終了し、お待ちかねの夜景撮影スポットへと向かいます。
■日鐵住金建材(株) 津波避難タワー
最初の撮影スポットは津波避難タワー。
東北大震災でこうした施設の必要性が認識されました。このタワーは日鐵住金建材(株)の商品見本で、もちろん実用に耐えるものです。
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▲高さは15m、建築費用は約一千万円で3か月で建つとか。庭先におひとついかが?

 

15mのタワーに昇ると、ぐるりと工場が囲み、沈みゆく夕日が空を染め始めています。
「ちょうどいい時間帯ですね。夕景ですから、三脚が無くても撮りやすいですよ」
と、小林さんの言葉にさっそく参加者の撮影大会のはじまりです。立派な三脚や大きなカメラ・望遠レンズを装備している人もいれば、かわいいデジカメで撮影する人まで様々です。
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▲カップルや親子連れで、カメラもコンパクトデジカメやスマホで撮影する人もいました。お散歩の延長的な楽しみ方もいいですね。 ▲刻一刻と陽が沈み、照り返しにガスタンクや高架線も味わい深い。
海からの強い風が少々肌寒いですが、夕陽から暗褐色の空へ移る中、工場が次第に灯りをともしていくのは、なんともドラマチックです。飽きる間もなく工場は表情を変えていきます。

 

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ついに陽が沈み、光のドレスをまとった工場が夜に浮かび上がります。
「演出のための光でなく、実用的な灯りなのがリアリティがあっていいんですよ」
参加者の1人がそんな風に工場の魅力を語ってくれました。
■マル秘撮影スポット
事前に「マル秘新スポット」とされていたのは、なんと大きな橋の上。
ツアーの新しい撮影スポットとして、小林さんが見つけてきた場所です。
「橋の上から、対岸の工場が綺麗に見えます。キリンクレーンや、サルベージ船、海面に映る光や、時折やってくる船も写しどころですよ」
対象物は豊富で動きもあり、水面の使い方も工夫のし甲斐があり、津波タワーとはまた違う面白さのあるスポットです。
しかし車や大きなトラックが通るたびに、振動が橋を揺らし、ブレてしまいます。
「まだこの時間帯ですと車が結構通るので、赤信号の隙を見て撮影してください。撮影スポットとして、難易度の高いスポットですね」
初心者にはちょっと難しい所はありましたが、小林さんがカメラの設定なども個人個人で細かく相談に乗ってくれて心強かったです。
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▲大きなサルベージ船。

 

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▲倉庫群の灯りが水面に映る。キリンクレーンが奥に見えます。

 

「もっと遅く来れば車の通りも減って撮影しやすくなりますが、本当に人通りもなくなるので、なるべく何人かでこられる方がいいと思いますよ」
と、小林さんの注意。
この橋の上のスポットは、ちゃんと歩道がありましたが、撮影に夢中になって車道にはみ出したり、海に落っこちたりすると大変です。何よりも安全第一で撮影に挑みましょう。
「工場撮影をする時は、工場の敷地に入らないよう。外から撮るのは基本大丈夫ですが、撮影禁止だと言われたら素直に従うよう注意してください」
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▲橋の上はすでに真っ暗でした。

 

■とっつきやすかった工場夜景の世界
ツアーの最後はドライブで、湾岸線の工場夜景スポットを楽しみます。
「高速道路で停車するわけにはいかないので、どうやっても写真はブレますから、眺めを楽しんでくださいね」
湾岸線からの工場夜景の眺めは、ご存じの方も多いでしょう。煌々と輝く工場はSFチックな未来都市的情景で非現実的ですらあります。
バスは両サイドの窓から良く見えるようにと、湾岸線を往復。2度も眺めを楽しめてお得でした。小林さんの言うとおり、写真はブレブレになるので、実際に車で出かけて楽しんでもらえればと思います。
小林さんによると、そもそも高石は低料金なのに盛りだくさんなのだとか。
「他の夜景ツアーでは、時間も短くて料金ももっと高いことが多いですね。高石工場夜景ツアーは撮影レクチャーや食事もついててこの値段ですから、かなりお得ですよ」

 

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▲小林さんのツアーは高石市以外でも。
参加して初めてわかったのが、エンターテインメントとしての工場夜景ツアーの楽しさ。小林さんの的確で丁寧な指導や解説があったのも大きいですが、とてもとっつきやすく感じました。
デジカメを買い、ちょっと面白い素材を取りたくなってきた方には、チャレンジし甲斐があり、おススメです。
「皆さんがツアーを楽しんで、綺麗な写真が撮れたと喜んでいただければいいですね」
そんな小林さんの言葉に同意です。
次の高石工場夜景ツアーは、9月に予定されています。また、小林さんがガイドをする夜景ツアーは他にもあります。情報、要チェックです。
小林哲朗のホームページ
高石商工会議所

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