ワインガレージ 西島
【セボン・ド・堺】
堺区一条通にどっしりと存在感のある、大きな樽が目印のワインショップ。
ここは「ワインガレージ 西島(ニシジマ)」。
いつも前を通るたびに、美味しそうなワインを安く売ってらっしゃるなあと気になってはいたのです。
今日は思い切って突撃取材を敢行!
いきなりの訪問に快く迎えてくれたのは、店主 西島俊裕さん。
こんな小粋なワインショップをオープンされた経緯について、お聞きしてみました。
「ここはおじいちゃんの代からの、”町の酒屋さん”だったんです。」
「僕が跡を継いだ時代は、ちょうどボージョレーやボージョレーヌーボーが爆発的に流行した時期。僕も当時は格好つけたいお年頃だったので、ワインを取り扱うことに憧れがあって。お酒よりもワインの方が、なんかカッコイイじゃないですか。(笑)」
“酒屋の息子”のわりに、お酒はあまり得意でなかった西島さん。でも何故か「ワインだけは体に合った」のだそう。
「当時は体力があったので重た~くて濃いぃ~スペイン(赤)ワインをがぶがぶ飲んでいたけど、今はさすがに…」と笑います。
確かに重た~い赤ワインって、飲むのに体力いりますよね…。
それから、と西島さん。
「家業を継ぐ、そう決めた時に、色々助言をもらえたことがきっかけでした。それまでは大手酒造会社をクライアントに持つ企業に勤めていたのですが、社内で、あるプロジェクトが立ち上がったんです。それはお酒のマーケティングについて研究する『酒文化の会』というもので、毎月『酒文化研究所 月刊酒文化』という冊子を発行するのですが、記事のためにお酒に携わる方々からお話を頂くため、取材に駆け回りました。そのなかで大切な知識と感覚を養ってもらったと思っています。」
現在も発行されている「月刊 酒文化」。お酒についてとても深く掘り下げている記事が盛りだくさんで、とっても面白いんです。
その上で強く感じたことは、「ビールの売り上げだけに頼る酒屋に未来はない」ということ。
周辺には、お酒のディスカウントショップが乱立し、太刀打ちできない値段でビールが売られている。
「それでも生き残れる店というのは、やはり資本力が違うんです。値段競争に敗れた店舗は次々と消えていきました。パワーゲームを目の当たりにしましたね。」
他店との明白な違いを打ち出さなければ、自分の店も未来はない…そう悟った西島さんは、本格的にワイン専門ショップを目指し、当時大阪でも5店舗ほどしかなかったワインショップ全てに足を運びます。
そこで生まれた様々な出会いに助けられ、「ワインガレージ西島」は平成元年に無事オープン。
「運が良かっただけ」と謙遜する西島さん。だけど、お話を聞けば聞くほど、根底にあるものはクレバーな先見性。
今まで培ってきたマーケティング能力を駆使して、自分の身の丈に合った販売方法を続けているからこそ、この土地にしっかりと根を張ることが出来たのは間違いありません。
現在、多くの飲食店との取引があると聞きましたが、どれだけあるのでしょう?
「う~ん、大小合わせて100店舗くらいでしょうかね。」
ええっ、凄っ…!
「堺のこの辺にはワイン専門店がないからじゃないでしょうか。」
この辺りにないお店…ということで将来性も見込んでのワインショップなら、成功といってもいいですよね?
「どうでしょうか…確かにワインショップが無い状態は真っ白の状態、初めて踏み込む世界。最初にやったモン勝ち、というのは多少はあるのかも知れないけれど、誰もいない世界に飛び込むのは非常にリスクが伴います。お酒はただでさえ大儲けできるような商品ではないし、今でもこわごわ、といった感じですよ。」
こう見えて慎重なんです、と西島さん。失礼しました…。
ワインのセレクトも慎重派。お客様のリクエストがあったからといって、即仕入れるということは無いのだそう。
「それを続けていてやっていけなくなった他店もありますからね。それだけは絶対に避けたい。」
お客様のニーズ全てに応える必要はない。だから、高級ワインにも手を出さない。
「ワイン1本だけを仕入れることって出来ないですからね。要望に応えるために少なくとも12本、あるいは36本仕入れなきゃいけないんです。1本売れても、残りは在庫になる。そのお客様が”美味しい”と感じたワインも、他の方からするとそうでないかもしれない。だから在庫が間違いなく売れるという保障はない。」
揃えるワインの基本コンセプトは、コストパフォーマンスの良い商品。
この味で、この値段なら納得。むしろ安いんじゃない?そう言ってもらえるようなワインを意識して仕入れているそう。
この日のおススメは
・ソラリス コッリ・ディ・ルーニ ヴェルメンティーノ 2010 (白) イタリア
フルーティで生き生きした味わい、甘さを抑えた上品なミネラル感。フレッシュ過ぎない大人の魅力。
・ロエロ ロッソ 2008 (赤) イタリア
ロエロという土地の特徴的なワイン。バラを思わせるフローラルな香り。バローロ等と同じネッビオーロ種使用。
・シャトー ローザン デスパーニャ ルージュ(赤) フランス
とてもバランスの良いワイン。ブドウ本来のナチュラルさ、きれいさが魅力。2日後、3日後の変化も楽しめます。
・ピエーズ・ショード 2010(赤) フランス
シラーとグルナッシュというブドウ品種を50:50使用した変わり種ワイン。タンニンがしっかり感じられ、薫りもエレガント。
・コルディエラ 2007(赤) チリ
ワインスペクテーター(アメリカの名声あるワイン雑誌)で90点を獲得した評価の高いワイン。複雑で絶妙なバランス。
特にピエーズ・ジショード 2010は西島さんのお気に入り。南フランスにあるコート デュ ローヌよりも更に南に位置するデュセ デュゼという地域のものなんですって。
「果実味に溢
れ、伸びやかな綺麗さがある。ただただ美しく、エレガントなワイン」と西島さん。飲みやすいけれどアルコール度数は少し高めなのでちょっぴり注意、とのこと。
さて、このワインを語るとき、詩人になっていた西島さんが気になって、つい購入してしまいました。
たまたま冷蔵庫にあった豚足のゼリー寄せと合わせて飲んでみる。(市販品ですよ念のため。)
ああ、なんて美味しいの!
華やかな香りが口いっぱいに広がって、スッキリしているのに飲み応えは十分。薄口醤油との相性もいいし、どんな食材でもすっぽりと包んでくれるようなおおらかさがあります。仕事の出来る30代前半の素敵な女性といった風情。エレガントな余韻がどこまでも続いていきます。これで¥1300は安い!
西島さんにとって、一番美味しいワインとは?という無粋な質問には、「う~ん」となりながらもジャン・ルイ・シャーブ エルミタージュ 1990をチョイス。
「これを飲んだ時は感動しましたね。今のところ自分の中でこのワインが一番かな。」
機会があればぜひ試しあれ。ワインガレージ西島でもエルミタージュは取り扱っています。(※但、年代は異なる場合も)
今年の夏は暑かったので、ワインの売れ行きも伸び悩んだとのこと。
「暑い時って、ワイン欲しくないでしょ?飲むとしても、ついビールをかっと飲んでからだから、絶対数が少なくなりますよね。でも、これからはワインの季節。秋のワインフェスなどもたくさん催されるので、顔を出してどんどん情報を集めたいですね。」
と意欲満々。
これからも、地域にばっちりフィットした素敵ワインをどんどん見つけて、沢山のワインファンに、コッソリ教えてくださいね。
楽天、 ぐるなびにも出店されています。楽天ページは最近リニューアルしたばかり。ブランディングを意識した作りにしていきたいとのこと。
ぐるなびはワイン初心者には有難いページになっています。私も勉強させてもらおうっと。
ワインガレージ 西島
〒590-0048
堺市堺区一条通1番25号
TEL:072-232-2655
FAX:072-222-0364
営業時間:9:00~20:00
定休日:日曜日・第3月曜日