ミュージアム

晶子と堺市立中央図書館

堺市立中央図書館(以下中央図書館)は仁徳天皇陵向い、大仙公園の敷地内にあります。蔵書は約58万5千冊(平成22年3月現在)。

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なぜ中央図書館にやってきたか?それは返却期限日を少し過ぎてしまった本(す、すみません!)を返却するため。もっと近くにある別の図書館に行ってもよかったのですが、本日は快晴で、ナイスホリデー♪ 自転車で、ちりりんと遠出~♪

堺の図書館は近年データベース化が進み、年々利用者へのサービスも充実。今年からは、登録者に対して返却期限が近づいてくるとメールでお知らせしてくれるようになっています。それまでは一軒一軒に電話で対応されていたのですから、本当にご苦労さまでした!

さあ、返却も済みました(ほっ)。今度は何を借りようかな・・・なんとはなく館内奥にある『郷土資料コーナー』へ。ここには地域・歴史資料や堺出身の著名人に関する書籍が多数揃っています。ふと目に入ったのがパンフ入れに差さっていた一枚のプリント。

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『与謝野晶子の童話』 平成22年8月発行 堺市立中央図書館作成

~与謝野晶子は、『みだれ髪』や『君死にたまふことなかれ』などの詩歌や『源氏物語』の現代語訳が有名ですが、実は童話も書いていたということは、あまり知られていません。~

・・・このまえがきに、ココロがひきよせられてしまいました。

そこで与謝野晶子の棚へ。プリントにも掲がっていた『きんぎょのおつかい』『私の生ひ立ち』を借りることにしました。

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■『きんぎょのおつかい』
1994年・架空社)
収録図書:「きんぎょのおつかい」架空社、「童話 金魚のお使い」和泉書院、「与謝野晶子児童文学全集 2」春陽堂書店、「鉄幹晶子全集 5」勉誠出版、「児童文学名作全集 2」福武書店、「日本児童文学大系 6」ほるぷ出版

「金魚のお使い」は文章だけの童話ですが、絵本として近年出版されたのが「きんぎょのおつかい」です。
お話は、金魚3匹が甲武鉄道(中央線の前身)の電車に乗って駿河台におつかいに行く、というもの。ストーリーはぶっ飛んでいますが、出てくる駅名や地名は実在のもの。その分余計に不思議さが増しています。当時の東京はゆったり心豊かだったのかな。高部晴市氏の絵もユーモアたっぷり。ずっと読み継がれていってほしい名作です。

~世間に出回っているおとぎばなしは、「言葉づかいが野卑であったり、またあまりに教訓がかった事を露骨に書いたりしてあって、子どもをのんびりと清く素直に育てよう、ひろく大きく楽天的に育てようと考えている私の心持に会わないものが多いところから、近年は出来るだけ自分で御伽噺を作って話して聞かせる事に致しております。」~
(プリントより「晶子のことば」を抜粋)

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『私の生ひ立ち』1996年・学陽書房)
収録図書:「私の生ひ立ち」学陽書房、「私の生ひ立ち」刊行社、「与謝野晶子児童文学全集 5」春陽堂書店、「童話 環の一年間」和泉書院

晶子が幼少から娘時代にかけて経験した、堺での思い出を少女向けに書いた読みもの。竹久夢二の手による挿絵も当時の雰囲気をよく伝えています。
住吉大社の大祓祭について書かれた「夏祭」はとても興味深いものでした。堺の街全体が沸き立つような熱気に包まれていた2日間。少女の目が見た情景とその時の気分がイキイキと描かれています。御神輿が大和川を渡って堺の街にやってくる時のくだりでは、晶子の高揚ぶりが微笑ましい!堺の街の当時のたたずまいがよくわかる、読みやすくて楽しい本です。

~弱味を見せずに頑張り通した母にも、心の奥底には終始母を慕い、堺時代を偲ぶ心があって、(手文箱に収められていた堺時代の手紙や写真などは)母を慰さめ又励ましてくれたものと信じます。~
(与謝野光氏あとがきより抜粋)

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中央図書館の敷地には『晶子の碑』と『鉄幹の碑』が建っています。(写真は晶子の碑)

「堺の津南蛮船の行き交へば 春秋いかに入りまじりけむ」与謝野晶子

本の森の中、図書館が導いてくれた童話作家晶子との出会い。2冊の本を自転車の前かごに入れてちりりん♪さあお家に帰りましょう。
※蔵書の検索と予約は堺市立中央図書館のサイトでもできます。

堺市立中央図書館
堺市堺区大仙中町18-1
TEL.072-244-3811 FAX.072-244-3321
JR「百舌鳥」駅下車、西へ徒歩8分

ayumi

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