ミュージアム

コンペイトウ 堺プチミュージアム / 大阪糖菓

【七道特集・ものづくり編】

コンペイトウは戦国時代にポルトガルから日本に伝わった南蛮渡来のお菓子。語源はConfeito(コンフェイト)。”金平糖”のほかに”糖花”と書くこともあります。堺に滞在していたキリスト教宣教師ルイス・フロイスによって織田信長にも献上されました。愛らしい形の砂糖菓子は信長をはじめ当時の日本人たちを驚かせたことでしょう。

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大阪糖菓株式会社(本社八尾市)は、コンペイトウを愛するあまり、堺に『コンペイトウ 堺プチミュージアム』(以下コンペイトウミュージアム)を作ってしまった会社です。現在全国で10社にも満たないコンペイトウを製造している会社の1つで、社名の愛称”トーカ”は”糖花”にかけているそう。

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南蛮衣装がお似合いの女性は、チーフの野村しおりさん(以下しおりさん)。南蛮衣装がふだん着・・・なわけではなくて、コンペイトウミュージアムでのお仕事着です。実はさきほどまで南蛮人としてお客さんたちの前で”コンペイトウの歴史”を解説していらっしゃいました。南蛮人だけではありません。眼鏡を掛けて白衣に着替えればカルメラ工房のカルメラ博士、私服に戻ればバザールで綿あめ作り&販売。しおりさんは一人で何役もこなす働き者なのです。「最初はなにもかもが手探り状態でした。何もないところからスタッフと一緒にミュージアムを作り上げ、改良に改良を重ねてやっと今の形になりました。」

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■しおりさんの七変化ならぬ三変化。左から、綿あめ職人→カルメラ博士→南蛮人

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■コンペイトウミュージアムでの授業風景(※詳しくは見学レポートにて!)

コンペイトウミュージアムでは、コンペイトウの歴史を学んだり、手づくりコンペイトウの体験もできたり。わかりやすくてエンターテイメントに溢れたメニューが揃っています。特に試食コーナーは大盛り上がり。小さいお子さんから年配の方までみなさんとても楽しそう。メニューが終了しお土産をもらう頃にはまんまとコンペイトウの魅力にはまっていました。

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■天井から下がるオブジェ、☆形の時計、シュガーアート(歴史上の人物たち)

ところで、いたるところに遊び心が満載なこのミュージアム。天井からは唐突にコンペイトウのオブジェが下がり、壁には社員作のシュガーアート・年表・ポルトガルのポスター・国旗などがぺたぺたと・・・。これ、どこか見覚えがある感じ?あ、これ小中学校の教室やん!「手作り感でいっぱいなところも含めて楽しんでいただけるかなと。」

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

しおりさんは大阪糖菓・野村社長の一人娘さん。そして野村社長は堺にコンペイトウミュージアムを作った張本人。
野村社長のコンペイトウに対する愛の深さは半端なものではありません。当時住吉区にあった包装加工場を移転させることになり、南蛮文化と関係の深い堺の地をチョイス。2003年春、ミュージアムが完成しました。国道26号線「鉄砲町」交差点から西へ300mの場所です。

野村社長は本業の傍らコンペイトウ博士としても活躍。あの・・・突然ですが・・・フロイス野村の正体も野村社長なんですよね?「そうなんです(笑)。」
ポップな南蛮衣装姿。平成のコンペイトウ伝道師フロイス野村は人気者です。名前(ルイス・フロイスを意識して付けられたと思われる)もパンチが効いています。運が良ければ”コンペイトウの大航海物語”を語る実物のフロイス野村に会えるかもしれませんね。トレードマークの南蛮衣装も始めはスーツだったとか。「子どもさんとの距離を縮めるために思いついた」のが、今では「本人が東急ハンズやドン・キホーテに行って材料を調達しています(笑)」

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■『コンペイトウ浪漫紀行』(フロイス野村/文芸社/2009.12.15発行)

『コンペイトウ浪漫紀行』は、フロイス野村こと野村社長の著書。コンペイトウに馳せる思い、目的に向かってつき進む情熱が著されています。例えばコンペイトウのルーツを求めて2度にわたりポルトガルに渡航しコンペイトウ工場を訪れるお話。そして多色のコンペイトウを紫陽花に見立てた商品”あじさいの栞”にまつわるエピソード。しおりさんに向けられたメッセージにも胸が熱くなりました。

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■『利休の茶席こんぺい』
アニス入りの金平糖をお抹茶でコーティングした一品。税込1,260円

『利休の茶席こんぺい』は堺ならではの洒落た商品。棗(なつめ)の容器に入った抹茶こんぺいです。信長と利休が茶席で交わした会話を基に作られました。堺東観光案内所と大仙公園観光案内所でも買えます。
商品開発はどなたが?「ほとんど社長がやっています。」ではしおりさんが作ってみたいコンペイトウは?「もう少しアルコール系の商品を増やしたいですね。カクテルなんて、凝った容器に入れたらカワイイやろなぁって。私アルコールアレルギーなんですけど(笑)。あとは芯に乾燥果実を入れたものとか。」女性ならではの発想。いいですね~。しおりさんは、国内外で開催される食品・菓子の博覧会を視察し、食材や嗜好の動向を探っています。「自然派志向の傾向にありますから、コンペイトウは海外でも受け入れられると思うんです。」研究熱心なところは社長譲り。3代目による新作が楽しみです。

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■『世界一小っちゃなコンペイトウ』税込367円
(まわりにあるのは、ふつうサイズのコンペイトウ)

大阪糖菓では『利休の茶席こんぺい』のような格調ある製品から、新しい感覚を取り入れたファンシーな製品まで、幅広い製品づくりに取り組んでいます。中でも『世界一小っちゃなコンペイトウ』は砂糖に精通した大阪糖菓ならではの”造粒技術”を駆使して開発した自慢の商品。斬新な商品の裏には確かな技術力とたえまない努力が隠れています。この『世界一小っちゃなコンペイトウ』、なんとなんと直径1mmの中にも立派な角があるのです!しかもなぜか『日本一小っちゃなコンペイトウ』もあるとか。いいですやん、世界一があるなら日本一はなくても。茶目っ気のある商品を見ているとつい突っ込みたくなります。あ、ちなみに日本一の方は税込346円。価格に差をつけるあたりサスガです。社長のアイデアは日々ムクムク湧き出て、とどまることがないのでしょうね。真面目さと遊び心がほどよく混ざり合い、長い時間をかけて結晶している、まさに七色に輝くコンペイトウのような会社。

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■大阪糖菓のコンペイトウ(パンフレットより)。いったい何種類あるのでしょう?!

“次は東京へミュージアムを”・・・社長の浪漫は続いています。
しおりさんはそんな社長の背中をみつめつつ「夢と浪漫だけでは食べていけません。でも残すためにはいろいろと仕掛けていかないと。大切なのはその兼ね合いですね。」しっかり地に足をつけて堺のミュージアムを支えている姿に清々しさを感じました。

帰り際にコンペイトウをいっぱいいただきました。その中に新商品『60分キャンディ』なるものが。直径が約3cm、60分間も持続するという記録菓子。どこまで行くんですかーーー!

親愛なる『コンペイトウ 堺プチミュージアム』殿、堺に来てくれてほんとにありがとう!これからもよろしくね!

取材日:2010.11.27

■コンペイトウ 堺プチミュージアム
堺市堺区南島町4-148-12
TEL: 072-282-2790
FAX: 072-282-2791
営業時間: 10:00~17:00
定休日: 土日祝
※土日祝の体験は事前予約にて可
※土日祝に限り3名以下での体験も可
http://www.konpeitou.jp/


ayumi

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