堺ブレイザーズ観戦記録2021-22(5)ジェイテクトSTINGS戦 3/27

 

 

covid19。新型コロナウィルスは、スポーツ界にも容赦なく牙を振るいました。バレーボールの国内トップリーグV.LEAGUEでもいくつもの試合が中止となり、ついに堺ブレイザーズでもチーム関係者から陽性者が出たため、3月6日のFC東京戦、そして3月12日、13日に予定されていた名古屋ウルフドッグス戦を辞退することになったのでした。一次の不調から復調していたにも関わらず、天王山ともいえる先週のサントリーサンバーズ戦では攻守の要であるセッター深津旭弘選手(17)、リベロ山本智大選手(20)らが出場できず、順位も下がり3月26日の時点で4位。ファイナル3には一歩届かない状況です。
3月27日の大浜体育館でのジェイテクトSTINGS戦は、(有観客での)ホーム最終戦となります。今シーズン優勝の灯を消さないためにも、なんとしても勝ちたい一戦。勝敗やいかに。

 

 

▲気合いを入れ直して、第1セット中盤戦へ。

 

この日、スターティングメンバーとしてコートに立ったセッターは山口頌平選手(14)でした。今季はJT広島から移籍してきた深津選手が活躍し、堺ブレイザーズは上位をキープする要因となっていました。その一方、入団以来決して出場機会に恵まれていたとは言えない山口選手です。山口選手のバレーボール人生にとっても節目の試合になるのではないか、そんな予感もします。
そして、試合はその山口選手のサーブからのスタート。このプレーでは、シャロン・バーノン・エヴァンズ選手(13)のブロックで堺ブレイザーズが得点をあげますが、その後堺ブレイザーズにブレイクが出ないまま6:8でファーストテクニカルタイムアウトはジェイテクトSTINGSのものに。しかし中盤戦になると堺ブレイザーズの調子があがってきます。大砲バーノン選手に、昨日の試合から好調をキープしている樋口裕希選手(2)の両看板が左右にそろったローテーションでの攻撃力は迫力満点。4連続ブレイクで、ジェイテクトSTINGSを突き放します。

 

▲地元堺出身の佐川翔選手。先日230試合出場を達成したばかりで今季限りの引退が発表された。もっと活躍を見たかった。

 

16:13でセカンドテクニカルタイムアウトを堺が取ると、ジェイテクトSTINGSも追いすがりますが、逆転する力まではありません。24:21とセットポイントを迎えた所で、堺ブレイザーズはピンチサーバーに佐川翔選手(8)が登場し、アウトサイドヒッターの千々木駿介選手(10)も前衛に加わります。今季限りでの引退が発表されている両選手です。ファンとしては万感胸に去来するシーンだったことでしょう。このサーブから、最後は新加入の迫田郭志選手(9)とベテラン松本慶彦選手(1)がブロックに飛んでブロックポイントをあげ25:21。堺ブレイザーズが危なげなく第1セットをものにします。

 

▲日本代表リベロの山本智大選手。群を抜いた守備力は当然のことながら、攻撃につながるトスにも注目。

 

第2セットも、序盤はジェイテクトSTINGSが先行します。ファーストテクニカルタイムアウトは6:8、セカンドテクニカルタイムアウトは13:16でジェイテクトSTINGSのもの。しかし、堺ブレイザーズは余裕をもって、相手の攻勢を受け止めているといった風情もあります。「そのうち逆転するさ」とでもいいたげです。何しろ、リーグナンバー1のブロック陣の背後には超人リベロの山本選手が控える守備力は鉄壁ですし、ミドルブロッカーも含めてどこからでも点が取れる攻撃陣が気持ちよく山口選手のタクトで点を決めていきます。
一進一退の空気が代わりはじめたのは、山口選手がサーブでライン際ギリギリを狙って決めたサービスエースで16:17となったあたりからでした。その後3連続ブレイクで、20:19と逆転。さらにバーノン選手の爆発力、再びピンチサーバーで登場した佐川選手、最後のセットポイントを迫田選手が決めて25:23。第2セットは力でもぎ取ったという印象です。

 

▲ホーム最終戦を勝利に導いた山口選手。

 

このまま第3セットをとってストレートで勝利したい堺ブレイザーズです。立ち上がりにバーノン選手がタッチネット(多分)を自ら申告してグリーンカードを示される一幕がありました。序盤は互いにブレイクが出る勢いのある展開で8:6でファーストテクニカルタイムアウトは堺ブレイザーズのもの。中盤に入ってジェイテクトSTINGSが4連続得点をして流れが傾きかけますが、バーノン選手・樋口選手が決める所を確実に決めて15:16と接戦のままセカンドテクニカルタイムアウトに。終盤戦になっても、ベテラン松本選手がサイドアウトで相手の勢いを止めれば、やはり樋口選手とバーノン選手が手のつけられない無双状態で得点を積み重ねます。終わってみれば25:22。競った試合ではありましたが、決める所で決める選手がいる分、堺ブレイザーズが強者のメンタリティの試合運びで勝利を奪った。そんな試合だったように思います。

これで新しい大浜体育館でのホーム戦は6戦6勝の負けなし。ホームで勝つ堺ブレイザーズが堺に戻ってきました。

 

▲今季で引退する4選手のセレモニー。左から千々木駿介選手、佐川翔選手、山﨑貴矢選手、小池勇輝選手。

 

試合終了後、この試合で最も活躍した選手に送られるVOMにはキャプテンの出耒田選手が選ばれました。
出耒田「この大浜でしっかり勝つことが出来て自信になりました。先週はサントリーサンバーズ戦で堺ブレイザーズは誰が出ても強いんだということを証明したかったのですが、そこは悔いが残りました。昨日と今日は皆さんの前で勝ちきれて順調にチームは出来ているのかなと思います。最後まで堺ブレイザーズの強さを証明できるよう頑張っていきますのでこれからも応援よろしくおねがいします」

またホーム最終戦ということもあり、引退が発表された4選手のセレモニーがありました。もっともっとコートでの活躍が見たかった選手たちですが、今はただ「私たちの堺ブレイザーズに来てくれてありがとう」とお礼を言いたいです。

 

■記者会見

▲堺ブレイザーズ選手記者会見。

 

では、試合後の記者会見での堺ブレイザーズの選手たちの発言をお届けします。今回の記者会見に来てくれたのは、松本選手、千々木選手、山口選手、山本選手、バーノン選手の5選手です。

まずは試合の振り返りコメントから。

松本「昨日に引き続き勝てたのが本当に良かった。この体育館で今リーグでは負けが無かったのは良かった。まだリーグの試合は残りあるんで、最後では無いんですけれど勝って終われたということが良かったと思います」
千々木「個人的に出場する機会がほとんどなかったんですけれど、チームとして昨日に引き続きジェイテクトSTINGSさんへの対応に苦しんだ所はあるんですけれど、勝利の鍵となったのはブロック、キルブロックの差だと思うので、そこの違いを出せたのが良かったと思います」
山口「自分自身としては昨日と違ったスタメンという形での出場だったので、緊張だったりとか、昨日とはまた違うメンタルが必要だったんですけれど、まだまだ個人としての課題はあるんですけれど、ストレートで勝てるゲーム運びが出来て良かったと思います」
山本「出来はどうであれ、2連勝出来たことは嬉しく思います。ファイナルに行けるか行けないかは厳しい状況にあると思うんですけれど、まだ来週水曜日に一試合残っているので、しっかり勝って今シーズン終えればいいかなと思っております」
バーノン「個人的にはコロナウィルスのせいでチームがある程度試合を休んでしまった中で、チームをゲットバック(取り戻す)する形を今回しているということで、状況は簡単では無かったと思いますが、私たちにとって重要なのは私たちのプレーを皆さんに見せるということで、スコアがどうであれ、たとえばそれが3:1であれ3:2であれ勝てたということが良かったと思います。それに今週水曜日にもFC東京との試合が残っています。そこに向けて体調を回復してコンディションを整えて試合をしたいという風に思っています」

続いて記者からの質問です。

 

▲オリンピック出場を果たした全日本のリベロとして、堺ブレイザーズでも中心選手としての振る舞いも頼もしい山本選手。

 

--山本選手に。今日は1人違う(ミズノとのコラボレーションの)ユニフォームを着ていましたが、こういうイベントについてどう思ったのかと着た感想は?
山本「とてもカッコイイと思ってますし、着ていてとても着心地が良かったです。そしてこのユニフォームを着てこの大浜体育館で連勝できた事を嬉しく思っています」
--オリンピックに出た後のシーズン。どういう意識でこのシーズンに挑んだのかというのと、今シーズン自分の中で得られたものは?
山本「僕は得点することが出来ないので、スパイカーだったりセッターに手助けする声だったり、チームを鼓舞する声だったりを意識して、オリンピック終わってから今シーズンとして闘いました。チームの手応え的にはありますが、まだ来週一試合残っているのでそこはしっかり勝って今シーズン終われたらいいかなと思っています」
--チーム面で何か変化はありますか?
山本「今シーズンに限っては、シャロン選手も加わってブロックの本数であったり、ブロックとディフェンスの関係というのが、今までに無いぐらい良い状態だったので、後ろから見ていても非常にブロックがちゃんと効いているのでディフェンスしやすかったですし、上がるボールも増えたなという風に感じました」

 

▲チームだけでなく、リーグでも現役最年長の松本選手。ジャンプ力も健在です。

 

--松本選手に。土日で2連勝出来て、計算上はどうなるか微妙な所ではあるんですが、まだプレーオフ3位で出場という可能性が残っている状況で、久しぶりに堺ブレイザーズが優勝争いを意識したシーズンでした。この歯がゆい状況をどのように感じられていますか?
松本「今までリーグをやってきて、どのシーズンも一緒なんですが、もちろん優勝を出来るか出来ないか瀬戸際の闘いは何回もありましたし、それ以外の試合ももちろんあるわけで、自分としてはあまり意識して優勝できるシーズンだったからというのではなくて、常に一試合一試合ということでやってきてたので、特に優勝を意識していたのかというとそうでもありません。今、若い選手も沢山いますし、そういう人たちにとっては、近年あまり上位に絡むことはなかったので、すごく良い経験だったと思います。今までを通しても僕が在籍していた中でも、Vリーグが(東北大震災の影響で)途中で終わってしまったシーズンもありましたし、そういったルールの中でするので、正直後半コロナの影響で人数が欠けてしまったというのもありますけれど、他のどのチームもそれは同じなので、今更ルールを変えることもできないので、そこはしっかり割り切り、自分たちの実力を認めて、どんな状況がこれからもあるか分からないので、チームとしてやっていければなという考えです」
--何が何でも優勝したかったというわけではなかった?
松本「いや、それはもちろんありますし、優勝に絡めなかった時は、上位に絡みたかったという思いは、どのシーズンでも毎年それは一緒です」
--今日の試合でも、終盤に要所要所で得点を決めるプレーをされました。こういうと失礼かもしれませんが、体力的には絶対にきついはず。なぜそういうプレーが出来るのでしょうか?
松本「おっしゃる通りなんですけれども、本当にきついんで、だからこそそこで振り絞って動かないと、チームで点数を取る時に、そこで取れませんでしたでは、やっぱりプロとしてはね。今日も山口選手が終盤で思い切って使ってくれたりして、なんとしても決めるという気持ちで、毎回決めようとは思っていますけれど、勝負所っていうか、全体としては僕はあまり通せてなかったので、一本でも二本でも決めようというので決められたんじゃないかな」
--終盤でも結構ディグされていたじゃないですか、それをしっかり決めきれるというのは?
松本「それは普段の練習でもコンビは組んでいるんですけれど、山口選手もずっと試合には出てなかったんですけれど、試合の中での修正、途中でちょっと高めにというのをすぐに修正してくれたんで、そこからは多分全部決められたと思います」

 

▲ゴーダン前監督時代に、チームから求められる役割があることでモチベーションを取り戻したという千々木選手。

 

--千々木選手。引退を発表されて、今日もワンポイントでの起用でした。今シーズンはそういう起用が多かったと思うのですが、毎回毎回どういう風にモチベーションを維持して試合に挑んでいましたか?
千々木「ひとつはやっぱりチームの中で試合に沢山出たい思いはありますけれど、それでも役割を与えられているのは幸せな事だと思いますし、そうである以上チームのために何がベストかというのを常に考えながら準備してきたので、ワンポイントで出るなら僕が対峙するであろう相手の情報をしっかり入れておくということは常にしてきました。例えば僕がブロックで出たら、僕の所で使いたがらないセッターがいると思うんで、そういう時にブロックをしたりとか、あとは僕がプレーで引っ張るというよりは、声がけで意識していたりとかがあるんで、少ない中でもチームの皆に声をかけて、ちょっとでも流れを変えることに貢献できたらなという思いでいました」
--場内のセレモニーで「正直体がきつかった」といういい方をされていましたが、色んな怪我を慢性的にされていたのですか?
千々木「そうですね。それは積み重なったものがありました。疲労が抜けづらいという事も少し感じていましたし、それをコートに入って言い訳にすることは出来ないので、今もコロナ明けっていうことがありますけれど、じゃあコロナ明けだからしんどい顔してバレーボールをやっていていいのか、というとそうじゃないと思うんで。コートに入った以上は自分の責任でしっかり結果を出さないといけないと思うので、そこをしっかり意識していました」

 

▲世界最高レベルの高さを誇るシャロン・バーノン・エバンズ選手。高さを活かしたブロック、そしてコートが壊されるんじゃないかと心配になるほど破壊力のあるスパイクやサーブに注目。

 

--シャロン・バーノン・エヴァンズ選手に。今年の堺ブレイザーズの躍進は、バーノン選手の力が大きいと思うのですが、ご自身では満足されているか、どう評価されていますか?
バーノン「自分の活躍について満足しているのかというと、はい満足しています。チームの中での自分の役割は分かっていますし、新しいチームに来た時というのは、自分が何をするべきなのかということをチームの皆さんに分かってもらうということも、ひとつの流れを作らなければならない所なんですけれども、チームの皆さんも自分のことをプレーしていくうちに、どのようにプレーしていけばいいのかを理解させてくれました。さらに皆さんが自分のことを暖かく迎えてくれて喜んでいます。チームとしては本当にいいチームで、『靴がぴったり合う』という表現がありますが、そういう風な印象を受けています」
--バーノン選手のコート上での表情が、最初はクールな印象でしたが、シーズンがたつに連れてどんどん表情が豊かになってきたような印象があります。コート外でのコミュニケーションの様子もそうです。『靴がぴったり合う』瞬間というのが、どこかであったのでしょうか?
バーノン「いつ頃からという質問に対しては、コミュニケーションを取り始めたのは一番最初から、私に言わせればチームに加わった最初からコミュニケーションを取ろうという風に思っていました。クールに見えたとしたら、母国語ではない中でコミュニケーションを取っていたので、やはりそれを理解するというのは難しい事です。それでも皆さんと少しずつコミュニケーションをとっていく中で、例えば体の表現でもコミュニケーションをとっていく中で、だんだん互いの事を理解していくというプロセスがあったいう風に思います。自分は情熱的なプレイヤーだと思うのですが、それをどこまで出していっていいのかということも、一番正しい落としどころを、皆さんとコミュニケーションを取りながらやってきたという風に思いますし、それが分かってきて自分を積極的に出すことが出来るようになってきた。それはコートの中でも外でもだと思います」

 

▲スタメン入りに緊張したという山口選手。来シーズンは盤石のベテラン深津選手に新星・赤星選手と競い合う中で、もっとスタメンで活躍する山口選手を見たい。

 

--山口選手に。先ほどスタメンで出るには違うメンタルが必要だったとおっしゃっていましたが、具体的にはどんなメンタルでしたか。
山口「振り返ってみれば黒鷲旗でのスタメン出場というのは結構あったんですけれど、それは全日本選手が抜けたりという時でした。リーグというのは全部がそろっている状態で、1leg以来だったんですよね。今日の朝スタメンと監督に言われて、ある程度予想はしていた、準備が出来ていたんですが、やはり緊張しました。昨日に限っては、途中出場ということで、走り回ったりだとか、盛り上げるような事を意識していたのですが、今日に限っては自分の緊張を落ち着かせるというか、落ち着いてプレーしよう、自分のプレーをしっかりしようという気持ちで挑みました」
--順位が正直厳しい中、どういう風にゲームを組み立てようと考えていましたか?
山口「もちろん組み立て、攻め方としては、昨日の相手の付き方であったりとか、そういうのを含めた作戦がこっちにもあって、それをしっかりコーチ陣と情報交換しながらやっていったのと、ブロックで今日は完全に自分の所が狙われて、そこは自分が押さえなければいけないコースを通させてしまった面が多くて、そこはもっと改善しないといけないんですけれど、それ以外にもサーブだったりとか、後衛でのレシーブで前で迷惑をかけている分、ちょっとでも貢献しようというのが常にあるんで、そこをさらに磨いていきたいなと思います」
--佐川翔選手が引退を発表されました。長く同じセッターで、仲間としてあるいはライバルとしてやってこられたと思いますが、引退ということを聞かれた時にどう思われましたか?
山口「自分が入団してから5年間、内定を含めて6シーズン、先輩セッターとして本当に面倒見がいい先輩で、練習中も同じセッターでありながら、もうちょっとこうした方がいいんじゃないとか、こうなってるよとかアドバイスをいただき、プライベートでも、最近はコロナであれなんですけれど、家に呼んでもらったりとか、色んなアウトドア、キャンプに連れていってもらったりとか、普段の練習終りとかもお風呂で長話をしたりとかいっぱいあったので、本当にさみしいですね。だからしっかり花道を作って笑顔で終わらせてあげたいと思います」

 

▲落ち着いた語り口の千葉進也監督。現役時代には、佐川選手はブレイザーズジュニアにいたとか。

 

続いて千葉進也監督の会見。試合の振り返りコメントから。

千葉「昨日はフルセットでなかなか厳しい試合になりましたけれど、今日も試合内容的には各セット厳しい内容でありましたけれど、ストレートで勝てたことは良かったと思います。昨日に引き続き、各セットの入り、序盤から中盤にかけて先行される場面があったんですけれど、そこを終盤落ち着いて逆転できて勝てたことは、非常に良かったと思います」

次いで記者からの質疑応答です。

--昨日の終盤に起用された山口選手を、今日はスタメンで起用されました。その意図を。
千葉「昨日は厳しい状況の中、途中から山口が出場して逆転できたという所があったので、昨日の最後の流れを今日のスタートでもっていけるように山口をスタートから起用しました」
--山口選手に対する感想は?
千葉「しっかりとクイックを使いながら、今日は相手のリードブロッカーの所から攻めるような戦略にしてたので、しっかりとそこを使うようにしてくれて、樋口とバーノンの得点力が高かったと思うので、それを山口がしっかり実践してくれたと思います」
--オリンピックから戻ってきた山本選手の成長についてはどう思われますか?
千葉「山本については元々日本代表のリベロで技術的な面は申し分ないと思ってますけれど、やっぱりオリンピックを経験して、よりコミュニケーションであったり、ブロックに対する指示であったり、レセプションでの関係であったり、色んな指示が出せるようになりましたし、タイムアウトとかセット間でも積極的にチーム内でもっとああしようこうしようと発言をしてくれるようになったので、その辺はオリンピックを経験して成長した所だと思います」
--振る舞いも変わってきたという事ですか。
千葉「そうですね。自分が中心選手だということも分かってきていますし、しっかりとその辺のことを自覚して練習中でも発言をしてくれていますし、盛り上げる所は盛り上げますし、しっかりと締めないといけないところは締めるし、責任感を持った発言が非常にオリンピックが終わってから増えてきたので、人間的にもすごく成長していると思います」
--サーブレシーブ、ディグでの成長とそこでの評価は?
千葉「もともとディグについては天性の勘と、ボールの扱い、ハンドリングの感覚は素晴らしいものがります。レセプションについては、多少崩れる場面が昔はあったんですが、オリンピックだけじゃないですけれど、世界の強豪のサーブを受けてきて安定してきてますし、おそらく本人もレセプションを自信をもってやっているので、成長している所だと思います」

 

▲VOMに選出された出耒田選手にコラボレーションしたミズノからスパイクを贈られる。

 

--試合から外れますが、クラブチームとしての堺ブレイザーズについてお尋ねします。コロナ禍で大変な中、それでも先日は南海電鉄、今日はミズノとのコラボレーションがありました、そうしたイベントに対する評価と、今後の堺ブレイザーズについて伺いたい。
千葉「コロナ禍の中で出来ることは限られていますし、ただその中で通常の練習もファンの方が見にこられたり出来ず、試合しか見ていただけない中で、ちょっとでも皆さんに喜んでいただけることが出来るのは非常にいいことだと思います。堺ブレイザーズは出来て20年以上たっていますし、こういうイベントに積極的に参加することは選手たちは十分理解してくれているんで、本来であればもっと色んなイベントなり、PR活動もしていければいいんですが、限られた時間とコロナの影響の中では、もちろんやらないよりはやった方がいいと思います。この大浜でずっと今シーズンは試合を開催できた事は我々にとってもプラスになっていると思います」
--育成に関してはどうでしょうか。ジュニアや堺の子どもたちに対しては。
千葉「これもコロナでバレーボール教室とか、直接選手が指導する機会をあまりもててはいないですけれど、リモートなり距離をとった接触しないバレーボール教室やイベントなりを、ちょっとずつ今年はやりはじめているので、どういうやり方がいいのかは探っている所です。引き続き堺市の子どもたちにも、しっかりと憧れられるような存在になっていければと思います。触れ合える機会がこれからもっと増えればいいと思っています」
--千葉監督は現役時代、ブレイザーズジュニアとの接点があったりはしましたか?
千葉「もともと我々が練習した後の時間帯に、ジュニアが練習したりするので、2面あったら選手がクールダウンしている横で、ブレイザーズジュニアが練習していたりとかはコロナの前まではあったので、選手、私だけじゃなく今の現役選手も練習終わって、ジュニアが練習しているのをちょっと見たりというのはやっています」

 

この日は迫田選手に替わっての途中出場となった髙野直哉選手(4)も日本代表を経験したアウトサイドヒッター。堺出身で新加入の重留選手は同ポジション。この分厚いアウトサイドヒッター陣に割って入ることが出来るのか、来シーズンの注目ポイントです。

--ということは、佐川選手がブレイザーズジュニア時代に、監督の現役時代はかぶっているのですか?
千葉「おそらくかぶっていると思いますけれど、ジュニアも何十人もいるので。1人1人全部覚えているわけではないので(笑)」
--次世代への引継という意味で、おそらくブレイザーズジュニアが一番歴史が長いと思うのですけれど、今回は赤星選手ともう1人……
千葉「重留です(ブレイザーズジュニア出身)」
--そういった流れというのは、監督や選手、特に選手は意識しているのかな? 嬉しいのかな。
千葉「そうですね。他のチームさんも結構ジュニア出身の選手がシニアのチームに入ってきたりも増えてきているんで、我々も佐川、今回は重留もチームに入って来ましたけれど、今後そういう選手がチームに入ってくるのは楽しみではあります」

 

▲勝利で大浜体育館のホーム最終戦を飾る。

 

こうして大浜体育館でのホーム最終戦は勝利、この体育館でのホーム戦はシーズンを通して負け無しという素晴らしい結果となりました。しかし、ご存じの通りコロナの影響で一端延期となった名古屋ウルフドッグスとの再戦は日程の調整がつかないために行われず、名古屋ウルフドッグスの3:0での勝利として2試合の勝ち点が加算され、その結果堺ブレイザーズはファイナル3への進出を果たすことが出来ませんでした。
一時期は首位を快走し、常に優勝争いに絡んでいたシーズンだけに、この結果はあまりにも残念なもの。せめて名古屋ウルフドッグスとの2連戦を実際に行うことは出来なかったのか……。飲み込むことが難しい結末です。

一方で、こんなに強い堺ブレイザーズが帰ってきたことに喜びを禁じ得ないシーズンでもありました。これまでは上位チームにはまったく勝てない。勝てたとしても運も味方したジャイアントキリングといった印象でした。しかし、今シーズンはがっぷり四つに組んだ上での勝つか負けるかで、全敗した相手はサントリーサンバーズだけ。しかもそのうち2戦はコロナ禍で選手がそろわない中での敗北。ファン心理としてはノーカンです。

 

▲FC東京から移籍して、今や堺ブレイザーズの看板選手となった山本選手。迫田選手もそれに続くのか。

 

バーノン選手、深津選手、迫田選手といった移籍してきた選手たち新戦力の台頭に、新キャプテン出耒田選手、生ける伝説・松本選手といったベテラン勢の安定感、攻守に無双の樋口選手は期待の若手からチームの中核へ、堺の守護神から日本の守護神となった山本選手、そしてリーグ終盤に怪気炎を上げた山口選手と、選手層の充実ぶりはかつてないほど。まったく今からすぐに次のシーズンを始めてほしいほどです。
一方で、毎年の事ではありますが、選手の引退という別れを特に寂しく感じたシーズンだったかもしれません。長年チームの看板選手だった千々木選手や、地元堺出身・ブレイザーズジュニア出身の佐川選手、大抵はピンチの時の途中交代なのにコートで人一倍元気な姿を見せていた小池選手、ピンチサーバーという神経のすり減る役割をこなしてきた山﨑選手の活躍ももっと見たかった。やりきった、悔いが残る。思いは選手それぞれだと思いますが、ファンの方もそれぞれ万感胸に迫るものがあるでしょう。

一言では言い表せない2021-22シーズンもこうして閉幕。2022-23シーズンは10月には開幕します。さて、来シーズンの堺ブレイザーズの航海やいかに。

 

堺ブレイザーズ
堺市堺区築港八幡町1番地
web:https://www.blazers.gr.jp/web/

 

堺市立大浜体育館
堺市堺区大浜北町5丁7-1
web:https://ohama-arena-budokan.com/

 

 


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