秋になると、フィールドスポーツの季節が終わり、アリーナスポーツの季節となりますね。バレーボール男子V・プレミアリーグに所属する堺ブレイザーズが開幕直前に開いた記者会見に、地元メディアとしてつーる・ど・堺は今年も参加してきました。新シーズンを前に監督や選手は何を語ったのか、サプライズ人事も飛び出した記者会見の模様をお届けします。
■2017/2018シーズン新体制発表
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▲お披露目された新ユニフォーム。左は髙野直哉選手、右は出耒田敬選手。 |
2017/2018シーズンの堺ブレイザーズはどんな体制で臨むのでしょうか。
前部長の中垣内祐一さんはバレーボール全日本男子監督となり、今年の6月に角南裕也部長が職を引き継いでいます。監督は引き続き真保綱一郎さんですが、コーチ陣にはサプライズがありました。アドバイザーコーチとして、マルキーニョスことアントニオ・マルコス・レルバッキさんが就任されたのです。
マルキーニョスさんと言っても首をかしげるかもしれませんが、先日NHK Eテレの人気番組「奇跡のレッスン・バレーボール編」に最強コーチとして出演していたのをご覧になった方もいたのではないでしょうか。
番組では公立中学校のバレーボール部のコーチを引き受けていましたが、ブラジルでは各カテゴリーの指導を行い、現在のブラジル代表選手の多くがジュニア時代にマルキーニョスさんの教えを受けています。
はたして、マルキーニョスさんは、ここ数年間タイトルとは無縁の堺ブレイザーズにどれほどの変化をもたらせてくれるのでしょうか。
頼もしいバックアップを得た真保監督は、こうスピーチしました。
「昨シーズンの結果に誰一人満足していません。昨シーズンの後半、チームがうまく回りだして、黒鷲旗で3位になりました。今シーズンは3タイトルどれか1つじゃなくて、全てタイトル争いできるような、ひとつでも多く(タイトルを)獲りたい。伝統的に堺ブレイザーズはブロック、ディフェンス、パワーのあるアタックに持ち味がある。今シーズンはサイドアウトをきっちりやって、ゲームを作って相手を上回るようなチームになりました。若い選手も、ベテランも、全ての選手が戦力として計算できる。目標を勝ち獲れるかと思います」
昨シーズン後半になって、少しずつ調子を上げてきたという監督。その勢いが、今年は最高の結果として表れてほしいですね。
■チーム力はレベルアップし、自信をもって挑む新シーズン
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▲今シーズンもチームをまとめる、主将の伊藤康貴選手。 |
ユニフォームの発表や、チームのトピックスを紹介した後、記者との質疑応答となりました。
地元のメディアとして、つーる・ど・堺も質問をしてみました。まずは監督と主将の伊藤康貴選手に尋ねます。
――堺市民としてはそろそろ強い堺ブレイザーズに帰ってきて欲しいのですが、昨シーズンは何が足りなかったのでしょうか?
真保監督「昨シーズンは自分が選手に効果率や被ブロックを過剰に話しすぎていた面があって、思い切りの良さとダイナミックさを失ってしまった。シーズン後半にリスクを負ってでも攻めていくということをやりだして、チームのディフェンスシステムもうまく回りだした。今年はバレーボールの約束事が頭ではなく、体でも体現できています。昨年の上積みもあるので、今年は試合で成果を出すことができるはず。色んな選手がコートに入って、色んなヒーローが出るのではと思います」
日替わりでヒーローが出るようになれば、それはチーム全体に勢いがある印、成長している証でしょうね。では、チームをまとめる主将の意見は?
伊藤選手「監督がおっしゃったように、昨シーズンはサイドアウトが良くなくて苦しい試合が続いてしまった。今シーズンはサイドアウトを強化したので、成果が出ている。どの試合でも自分たちの力を出していければ、結果につながると思います」
監督、主将とも成長の手ごたえを感じられているようですが、外から招へいされたコーチの目から見るとどうでしょうか。
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▲名コーチの誉れも高いマルキーニョスコーチ。 |
――マルキーニョスコーチは、堺ブレイザーズというチームにどのような印象を持ちましたか。
マルキーニョス「まず、真保監督からのオファーがあり光栄で、日本に行きたいという気持ちがあり、堺ブレイザーズにまいりました。真保監督はブラジルでは名前は良く知られている。真保さんがいることは心強く、日本でコーチをしたいという気持ちもあったので、嬉しく思いました。
来日してチームを見ると、非常に1人1人が頑張って力を出している。若い選手も技術を出し切っていて、昨シーズンよりレベルアップするかと思います。自分の目的は真保監督、坂梨コーチ、(上杉)徹コーチのサポート。自分の長年の経験をチームに取り込んで、なるべく簡単に結果が出るようにサポートするのが目的です」
新聞社の記者の方からは、マルキーニョスさんに関することと全日本に選出された出耒田敬選手への質問がありました。
――マルキーニョスコーチを招へいした意図、そしてどういう変化が生まれたのでしょうか。
真保監督「マルキーニョスさんはいままでのキャリアで、色んなカテゴリーで結果を出してきた。特に技術的なコーチングが得意で、半分は心理学者。スタッフにもコーチにも自信を与えてくれる。ベテランはもちろんですが、若い選手も増えてきたので、技術を教えてほしいというのが招へいの理由です。具体的にはサーブレシーブの選手であれば、ラインに入りなさいといった、シンプルなアドバイスで若い選手だけじゃなくて、上の選手でも技術的に向上して伸ばしてもらっている。まだ招へいして時間は短いですが、着実に進歩している」
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▲チームでも全日本でも活躍が期待される出耒田敬選手。新たなチームの顔となるか!? |
――(全日本に選出された)出耒田敬選手は、今シーズンはどういう活躍をしたい?
出耒田選手「全日本ではオポジットのポジションをしましたが、チームではミドルブロッカーに戻っているので、まずはチームでミドルブロッカーの役割を果たすことが大事。世界を相手にしても高さが通用したこともあったので、リーグでも持ち味を発揮したい」
最後につーる・ど・堺から少し角度を変えて角南部長に、ホームタウンである堺市との関わりについて尋ねました。
――先ほどトピックスとして、堺市と協定を結んだことが取り上げられていましたが、具体的にはどんな協定を結ばれたのでしょうか?
角南「これまでも堺ブレイザーズはバレーボール教室やバレーボールスクールを開催してきました。スーパーリーグ構想がある中、ホームタウンとより重みのある協定として、バレーボール教室やイベントなどについて具体的にきちっとした形で結んだのです」
スーパーリーグ構想とは、2016年に構想が提起されたバレーボールリーグの未来像です。現在のVリーグでは、クラブ本拠地での試合開催は数少なく、2017/2018シーズンでも堺市での堺ブレイザーズの試合は2試合にとどまります。
これでは、地域にファンを根付かせることが難しいのはいうまでもありません。メディアに公表されている情報を見る限りはスーパーリーグ構想は、ホームタウンを強化し、ホーム&アウェー制度への段階的な移行を志向しているようです。まだまだ紆余曲折するかもしれませんが、スーパーリーグ構想がうまくいけば、バレーボールチームもJリーグのサッカーチームのように、まちのチームとしてもっと地域に受け入れられ、誇りとされるような存在へと脱皮できるかもしれません。もともとホームの応援の熱狂ぶりでは、他チームからも一目おかれる堺ブレイザーズです。あの応援がシーズン中の日常になるなら、堺ブレイザーズにとって、とてつもない後押しになるはずですし、ファンにとってはシーズン中堺ブレイザーズの試合が頻繁にみられるようになるのですから、こんなに嬉しいことはないはずです。
さて、後篇では記者会見終了後のフリータイム。選手やコーチへの突撃インタビューをお届けします。
(後篇へ)
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