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舞いが笑顔をつなぐ~すずめ踊り(前篇)

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▲白いはっぴの仙台の踊り手と、色とりどりのはっぴの堺の踊り手がともに舞う。(堺区 開口神社境内にて)
すずめ踊りは、今や堺のお祭りやイベントで目にすることも多く、すっかりお馴染みになってきました。仙台から堺に伝わったのは、10年前。しかし、起源をたどれば、400年近くも昔に堺の石工が、あの戦国大名伊達政宗の前で舞ったのが始まり。この400年ぶりの里帰りが何故起こったのかを追うと、そこには踊り手たちのドラマが隠されていたました。
■仙台から堺へ
「すずめ踊りの発祥は、堺の石工衆が即興で舞ったこと。それが仙台の黒田家が伝承しているはねっこ踊りです。30年ほど前に、仙台の青葉まつりで復活し、今のような踊りになっていったんです。最初は新すずめ踊りと区別して呼ばれていましたが、今ではすずめ踊りと言うようになりましたね」
お話を伺ったのは「堺すずめ踊り連盟」会長の松村進一さん。松村さん自身ももちろん、すずめ踊りの踊り手です。
「堺に連盟が出来て10年になります。仙台のYOSAKOIまつりに、堺のYOSAKOIのチームが踊りにいった際に、すずめ踊りに出会って堺と縁があることを知り、また同時期に堺の政治家の方が仙台に視察に行った時にもお知りになって、堺でもやらないかとなったんです」
そして、様々な方が発起人になるなど尽力して連盟が生まれ広まっていったのです。
「すずめ踊りをするチームのことを祭連(まづら)というのですが、連盟に所属している祭連が8チーム、所属していない祭連が2チームの合計10の祭連が堺にはあるんです。踊り手とお囃子がありますが、踊り手だけという祭連が多くて、お囃子だけの祭連が協力したりします。地域から祭連に踊って欲しいという依頼があって、そこから連盟に上げて連盟で踊ることが多いですね」
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▲「堺すずめ踊り連盟」会長 松村進一さん。祭連「堺勇舞雀」の組頭でもあります。
連盟での踊りは年間30公演にもなるそうです。
「3月に大阪天満宮での奉納の舞いがあって、これが踊りはじめ。大きなイベントとしては、5月に仙台の青葉まつり、9月に方違神社で奉納、そして10月に堺まつりがありますね」
このインタビューの後に、堺のアセアンフェスタや大阪城の「天下一祭」での踊りも予定されていました。「天下一祭」は台風に直撃されましたが、延期になったものの無事舞えたそうです。
「先日は、東北観光フォーラムで踊って、手拍子や拍手を沢山もらって、ものすごく楽しかったですね」
やはり人前で踊ることがすずめ踊りの楽しさなんでしょうか?
「本番も楽しいですけど、練習も楽しいですね! みんな元気で、特にお姉さま方がめっちゃ元気で、僕も元気をもらいながら、こっちも嬉しくなるんですよ」
すずめ踊りの魅力を熱く語る松村さんですが、実はすずめ踊りに出会ったのは3年前の2011年。2011年の仙台といえば、それはあの東日本大震災があった年。あの震災が、松村さんたちを仙台へと導いたのでした。
■堺から仙台へ
「東北の復興のために、自分たちも何かできないだろうかと仲間たちと話したんです。それまですずめ踊りなんてまったく知りませんでしたが、仲間たちと一緒にすずめ踊りをやろうということになったんです」
そうして松村さんたちは、縁遠かった仙台へと足を運びました。
「毎回弾丸ツアーで行ってすぐ帰ってきたんですが、昨年ははじめて被災地にも行きました。仙台に行って起きたこと全てがエピソードですね。向こうの人はみんなお酒が好きで。1年に一度しかいかないのに、僕も向こうを覚えていて、向こうも僕のことを覚えてくれていて。『また来たのかー』って。暖かくて、親切で、震災を乗り越えようとしていて……」
堺のすずめ踊りが仙台の青葉まつりに行き、仙台のすずめ踊りが堺まつりに来る。この年に2回の交流が何よりもの楽しみです。
「仙台の子供達が堺に来た時、すごい輝いていて元気いっぱいに踊ってくれて感動しました。今でのその輝きが焼き付いています」
今年は仙台から「伊達の舞」が堺にやってきます。堺の祭連も負けてられませんね、と話を振ると、
「仙台はとにかく上手いですからね。負けんとことは思いますけど、一緒に楽しくやろう、という気持ちが強いですね」
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▲仙台から2ヵ月に一度程度、すずめ踊りの基礎を教えたり、振り付けをするために堺に来るという、鈴木大地さん。松村さんの「堺勇舞雀」の一員として舞います!
松村さんたちの元には、2か月に一度ぐらいのペースで、仙台からすずめ踊りを教えに来てくださる方がいるそうです。
「すずめ踊りをしてないと仙台になんて行ってなかったと思うんです。今では友達のつながりが出来て、本当に毎日震災のことを考えています。考えない日はないと思います。東北で地震のニュースが流れたら、今の時間だったら友達の避難経路はどうで……とか考えますし、復興のために何かしたいと思いますが、こっちが元気をもらっていることが多いですね」
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▲「震災のことを考えない日はない」。遠い仙台が、松村さんには身近なものとなりました。
■すずめ踊りを堺の郷土芸能に
仙台との交流ではじめてすずめ踊りを知った松村さんですが、この里帰りした踊りを堺の郷土芸能にしたいという夢があります。
「幼稚園児から年輩の方まで楽しく踊れるのがすずめ踊りです。難しそうに見えますが、曲は2分半ほどなので覚える気があればすぐです。即興の伝統も受け継いでいて、間の自由踊りは即興で激しく踊ったりもできるんです」
練習は公民館や小学校の体育館でやっていて、10の祭連が色んな地区に広がっています。新メンバーはずっと募集しており、新人向けの練習は月2回ぐらいのペースだそうです。
「連盟が出来て10年が立ちましたが、正直普及はまだまだだなと思います。幼稚園の子に運動会で踊ってもらったり、地道な活動で普及していければと思っています」
堺まつりでは、園児も踊れば、仙台からも選抜隊「伊達の舞」がやってきます。かつてない盛り上がりになるはず。
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▲すずめ踊りを習いたての園児たちが、楽しく踊ります。(開口神社境内にて)
後篇は、堺まつりでのすずめ踊りを紹介します。

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