インタビュー

イルヴィン・コージ&高雄敦子 スペシャルLIVEレビュー(2)

 

ライブレビューの前編に引き続いて、後編では紙カフェで行われたライブコンサートの出演者、イルヴィン・コージさんと高雄敦子さんのお二人のインタビューをお届けします。

――コージさんにとっては久しぶり、高雄さんにとっては初めての紙カフェライブでしたが、まずはご感想をおきかせください。
コージ「今日は色んなパワーをいただいて、ライブをここでプラッシュアップできました。やっぱりこの距離感がすごく近いじゃないですか。もう目の前に人がいて。僕はこれが音楽というか、芸術の基本的な形で、ある意味最高の形であると思います。紙カフェは、ぜいたくな空間で、木とか自然とか、人のふれあいを大事にしています。ここに集まる人たちって、ちょっと温かい人が多いと思うんです。ここでライブをするというのは心のポートタウン(港町)に来たみたいな感じがあります」
高雄「この紙カフェさんのこだわりがやばいですね。こだわりってちっちゃいことにこだわって、それがどんどん増えてくると、その空間がキラキラするっていうか、空気がすごく浄化されるっていうか、そういう感じがします。たとえばホウキとかで綺麗に掃いたりすると、場所が浄化されたりするじゃないですか。そういうこだわりのつまった空間で、滅茶苦茶気持ちいい演奏させてもらいました。クルーズは結構大変だったんですよ。厳しい環境での演奏だたんですけど、ここに来るといい意味でリラックスしながら楽しい雰囲気で、やっぱり人の集う場ってこういう場所やねぇって。みんないい人っていうのが、すごく伝わってきました。今まで大変で、コージさんの方が大変だったと思うんですけど、それを今日いい感じで話されていて、嬉しかったですね」

 

▲会場の紙カフェ店内は、温かい人たちが集う居心地の良い空間。

 

――高雄さんは初めての堺ですよね。
高雄「私、堺という町ははじめてこさせてもらったんですが、千利休のイメージがあったり、どんな町か楽しみにしていました」
――コージさんはお久振りですよね。堺という町は、川崎や岐阜とはまた違う個性がありますよね?
コージ「岐阜の下呂は、温泉街なんですよね。父と母が、今でいうアミューズメント旅館で働いていました」
――そうか。ご両親も音楽家として活動してらっしゃったんですね。
コージ「そうそう。下呂は、お風呂に入りながらコミュニケーションをとる習慣があるんですね。田舎だったので、みんなで一緒に登校したり、年長が小さい子の面倒を見る文化がありましたね。東京なんかはあんまりないし、人と積極的に関わっていくというのはちょっと薄いかな。人と距離を取る。人を分断させていくものが都会に来ていると思います。まだ川崎はそこまできてないですけれど」
――川崎は、古い町というところもありますよね。
コージ「ご近所付き合いや、保護猫活動などで色々回らせてもらう中で、おばあちゃん達から昔の話をきかせてもらったり、おかずを作ってもらっり、お家に誘ってもらったりと‥皆さんの優しさに甘えさせてもらえて幸せです」
――人情の町なんですね。他にも川崎は、コージさんがラジオ番組で応援されている川崎フロンターレなどスポーツの町としても知られてますし、コリアタウンがあったり多国籍の方が多く暮らす、文化や人権を大切にする多様性の町としても知られてますね。
コージ「ありますあります。フィリピン、中国の人たちもいますね。僕、卓球との縁もあるんで、結構中国の方ともご飯を食べに行ったりするんです。そういった人と関われる、一緒にご飯を食べられるということが、とても幸せだと感じます」

 

▲メキシコ生まれのイルヴィン・コージさん。少年時代、日本に来た時はスペイン語しか話せずに苦労し、その後東京に引っ越した時は岐阜弁しか話せず「またか」となったそう。

 

――次に音楽の話をお聞きします。今日、ライブを体験して、デュオでやられているのがすごく魅力的だと感じました。お互いが競い合うような曲もあれば、主副がどんどん入れ替わってくるような曲があったりして面白いなと思ったんです。
コージ「うれしいな。おっしゃる通りです」
高雄「ヴァイオリンとギターのデュオって、どちらかというとヴァイオリンがメインで、ギターは伴奏みたいな形になることが多いんですね。でも、コージさんの場合は伴奏はほとんどしないね」
コージ「しないなぁ」
高雄「だから伴奏してそうで、めっちゃ弾いてたりとか。リズムがずっとラテンのリズムを弾いておられて、メロディはクラシックのメロディだったりするので、そういうところに他にはあんまりない。たとえば、パッペルベルのカノンとか、普通に弾いたらすごいクラシックなんですけど、コージさんが弾くと今まで聞いたことのないようなものだったりします」
――他にない子のデュオのユニーク(唯一無二)な個性ですよね。

 

▲「楽器との出会いは、結婚相手を見つけるより難しい」と言われる中、高雄さんの相方は運命的に出会った250年前に作られたヴァイオリン。

 

コージ「僕とあっちゃんは、ソロアーティスト同士で年に数回会うか会わないかなんです。二人ともソロとして、自分からエネルギーを放ち、表現して、どんどん周りを引っ張っていくというところに身を置いてやっています。彼女が楽器を見つけるのは結婚相手を見つけるより難しいと言ってましたが、この形のデュオもそれに近いところがありますよね。お互いソリスト同士として思いきり前に向かってやっていく強さ、鋭さ、時には強烈な頑固さとかも必要なんですけど、それだけじゃダメなんです。反対にそれにも負けない思いやり、気配り、愛情を持てる人間になれるのか? を試されます。お互いを引き立てたりとか、ここは自分が行くとか、相手の調子が悪いなってなったら、ヴァイオリンでちょっと強めにメロディを弾いて歌やギターをサポートしたり、引っ張る存在として一歩前に出る。そんな信頼関係を築けている所に、デュオとしての本当の価値を感じさせられているように思えるんです」
――ソリスト同士で、お互いが助け合う関係でもあるんですね。
コージ「お互いのソロの部分を鍛えるということは、最初は自分自身の為というところが大きいかもしれないけれど……今では、そうじゃなくて、自分のパーソナルエリアというか守備、攻撃の範囲を広げれば広げるほど役に立つなっていう感覚であったり、少しでも可能性を生み出し、貢献する為に個の力を高めると言う意識の変化へと繋がったことから、お互いを見れたり、協力しあったりする間柄になれているのかも知れません」
――では、それぞれが思う、相手の音楽家として魅力はなんだととらえていますか?
高雄「やっぱり、音楽に対して真剣なところかなって思います。ああいうキャラクターですけど、すごい芸術家だと思いますし、突き詰めるところは突き詰めて、自分というものをすごくもっていたり、自分を曲げないので、これが俺の音楽だというものをすごくしっかりもつ音楽家です。私も負けられないなと思っていて、いつも刺激をいただいている感じがします」
コージ「自分に対する厳しさが滅茶苦茶あると思います。そして、それを出さない強さ、優しさあると思うんです。もともと明るい性格ですが、これから色んな経験をすることで、色味やコントラストが強くなるでしょうし、音楽に対する彼女の愛情というものが、色んなステージを通じて出ていくんじゃないかと思うんです。今のままでもすごくいいんですけど!多分、これがスタートラインなんじゃないかと思います。お互いにスタートで、これからもっともっと!良くなっていくだろうなと思います。人に触れていくことによって、引き出されていく気がします」
――紙カフェでのライブで、ファンもお二人がミュージシャンとしてグレードアップしていくのを助けることができるんですね。
コージ「もちろん、すごくね」

 

▲ルーツ、バックグランドに個性もまったく違うけれど、音楽に取り組む真剣さは互いに認め合う二人。

 

――ファンにとっては、ソロもデュオも楽しみですが、今後はどんな計画ですか?
コージ「デュオはもちろんやっていきます。ソロをやるのに、デュオからもらった刺激ってのがあるんです。それを還元するのに時間が必要だなと思ってて、ここの関西の公演を終えてからは、そこに向き合う時間になるかな」
高雄「色んな事を今やっているので、ジャズと一緒に演奏したりとか、あとクラシックのレクチャーコンサートっていうのをやってました。それはクラシックの事をあまり知らない方でも聞いていただけるように、レクチャーしながらのコンサートをやったりとか。まだ頭の中がパリとクルーズでいっぱいで、船の中でも次の予定はみないとか言ってました」
コージ「言ってた、言ってた(笑)」

――お二人ともライブ続きで大変お忙し中、お時間いただきありがとうございました。さらにパワーアップしたお二人に出会える次の紙カフェでのライブが今から楽しみです。

 

参考文献/サイト

・「インディヘニスモ-ラテンアメリカ先住民擁護運動の歴史」アンリ・ファーヴル/文庫クセジュ
・「ペルー四方山がたり」より:知られざる「コンドルは飛んでいく」(http://elpop.jp/article/95555877.html

 

リンク:

イルヴィン・コージ・オフィシャルサポーターズページ

高雄敦子公式サイト

 

紙カフェ
堺市堺区綾之町東1丁1−8
https://kami-cafe.jp/

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