インタビュー

日本製鉄堺ブレイザーズ出陣式!(後編)

 

2023年10月5日。シーズン開幕を翌週末に控え、男子バレーボールの国内リーグであるV.LEAGUEに所属する堺ブレイザーズの出陣式及び激励会が行われました。クラブの拠点である新日鉄堺体育館には、ファンやスポンサー、バレーボール関係者が集結。来賓のスピーチのあと、アリーナに並べられたテーブルに選手は分散し、料理を味わいながらの歓談がスタートしました。今回も前編に続いて、各テーブルの様子と、何人かの選手にはお話をうかがっているので、ショートインタビューをお届けします。

 

 

こちらは一番前のテーブルだけあって、キャプテンの山口頌平選手を中心に、堺ブレイザーズの社長と監督、バレーボール協会関係者や堺市役所の局長級の方に堺市選出の国会議員さんと、重めの肩書の方がそろっています。山口選手は食事が喉を通ったでしょうか!? お腹の減り具合が心配です。

 

 

そのお隣は、うってかわって未来の宝物たちのテーブルです。ジュニアブレイザーズのメンバーに囲まれているのは、新加入の安井恒介選手。年齢的にも一番近いグループということもあり、安井選手にお兄ちゃん感がにじみ出ます。安井選手はミドルブロッカーからアウトサイドヒッターへ転向したばかりとのこと。新たなチャレンジには可能性があふれています。思い切ったプレーを期待したいですね。

 

 

こちらは豪華です。ミドルブロッカーの竹元裕太郎選手とまだ選手としての記憶が濃厚な千々木駿介コーチ。日本人としては規格外のパワフルなアウトサイドヒッターとしてコートを熱くしてくれた千々木コーチ。攻撃陣をビシビシ鍛えてくださいね。

 

 

いつの間にやらチームでもベテラン勢になった髙野直哉選手は守備力にも定評のあるアウトサイドヒッター。攻撃だけでなく、守備でも熱いプレーを見せてくれるのはいかにも堺ブレイザーズの選手といった所でしょうか。
テーブルでのファンの皆さんとの交流も、一人一人に対して真摯に、丁寧に、細やかにといった印象。人柄がにじみでてますね。

 

 

前日の堺ブレイザーズトレイン見学会にも出席されていたアウトサイドヒッター迫田郭志選手。こちらの写真では、なんだか親戚一同に入学祝いをしてもらっている青年といった雰囲気ですが、今シーズンはチームの副将でもあります。
活躍ぶりも鮮烈なデビューイヤー以上のインパクトだった昨シーズンの迫田選手ですが、それもそのはず、イヤーブック情報では、昨シーズンのチーム内得点ランキングにおいて、迫田選手は重留日向選手と同じ得点数324点で第三位になります。なんとも「頼りになる男」です。では、第二位と第一位は?

 

 

第二位はこの人。398点をマークしたアウトサイドヒッターの樋口裕希選手。「頼りになる」のが迫田選手なら、「なくてはならぬ」のが樋口選手といった印象。ともかくコートにいてほしい、チームに不可欠な存在です。この写真もどうでしょうか、どことなく風格がただよっているような余裕感。
なんにせよ樋口選手に限らず皆さんそうですが、怪我無く1シーズンを乗り越えてほしいですね。そして第一位は……。

 

 

チーム内得点王は、なんと796点とぶっちぎりのこの人、シャロン・バーノンエバンズ選手です。お隣で手に料理のお皿をもった新加入の渡邉晃瑠選手ともども笑顔もワールドクラスのキュートさですね。
シャロン選手には、通訳の堀井京子さんに間に入ってもらって、ショートインタビューしてみました。
ーーこうしたイベントに出席された感想はいかがですか?
シャロン「こうやって皆様と会えるということが、本当に素晴らしいイベントだと思います。コロナがあったので、こういったイベントは自分にとっては初めてなんですね。なので、みなさんに会えてとてもエキサイティングな気持ちにさせてもらいました」
ーーシャロン選手が所属されてから、そのすごい攻撃力で堺ブレイザーズは昨シーズンは久しぶりに4位となりました。本当のところこの成績は皆さん、残念だと思うんですが、今年の目標はもちろん……
シャロン「はい、そうですね。今年の目標は勝つこと(笑)。とにかく試合に勝つことです」
堀井「優勝って言うかと思ったんですが、言わない(笑) 勝つことだって」
ーー(笑) ともかくシャロン選手が来て、堺ブレイザーズは強くなりました。ファンの方も、本当に長くチームにいて思っているので、もうずっと堺ブレイザーズにいてくださいね。
シャロン「はい。できるだけ長くここにたいです。チームもみんなも本当に好きなので。本当に出来る限り長くいたいという風に思っています」

 

短いインタビューでしたが、シャロン選手のお茶目だけど芯のある人柄が垣間見えたように思えます。
そうこうしているうちにタイムアップの声が聞こえてきました。急ぎかけつけて写真を撮らせていただいたのは、絶対に外せない、この人のテーブルです。

 

 

もはや堺ブレイザーズだけでなく、日本バレーボール界の至宝、レジェンドであるリーグ最年長選手、松本慶彦選手です。今年で42歳。決して選手寿命の長くない競技の性質を鑑みても、現役を続けているだけでも驚異的ですが、国内トップリーグのチームで押しも押されぬ主力選手なのですから、もはや世界七不思議のひとつ、いや唯一無二のワンダー1といっても過言ではありません。隙を見てインタビューしようと声をおかけしたのですが、松本選手ははじまったビンゴ大会にすっかり夢中で少年のように目を輝かせて集中されていたので、インタビューは断念しました。この集中力に松本選手のアスリートとしてのヒミツあり!?
ちなみに、こちらのテーブルは堺ブレイザーズの所在地である地元三宝地区の重鎮、お歴々の皆さんだそうです。ご近所づきあい大切ですよね。

 

限られた時間ということもあり、全テーブルを回れなかったのは残念でしたが、最後にVIPインタビューを2連発お届けします。

 

 

VIPインタビュー、まずは堺ブレイザーズを率いる千葉進也監督です。
ーー今シーズンはこれまで攻守の要ともいえる深津選手、山本選手が移籍され、一方で新加入選手も多く、チームが変わるんじゃないかと思います。聞くところによるとこの夏はハードな練習をしていたとのことですが、監督として今シーズンはどんなチームになりそうとお考えですか?
千葉「そうですね。元々ブロックがいいチームではありましたけれど、今年は特にディフェンス面で、レシーブをしっかりと諦めずに拾ってつなぐということを重点的にオフシーズンをやってきました。そこと、サーブです。相手を崩せるサーブを打ち込むこと」
ーー堺ブレイザーズの伝統的なスタイルですね。
千葉「なのでその辺のサーブとブロックとディフェンス。その辺をしっかり機能させて、昨シーズン以上の成績を残せるようにやっていきます」
ーーブロックのシーンには注目ですね。あと、今シーズンから加入した新メンバーの中で、一番最初にコートで活躍しそうな方は誰でしょうか?
千葉「全員活躍する可能性は十分にあると思います。秋間(直人)はちょっと怪我をしましたが、(渡邉)晃瑠と安井(恒介)は即戦力として、チームに貢献してくれるような働きはしてくれていますので」
ーーでは、開幕戦辺りからもう姿を見られそうな選手もいるんですね。
千葉「そうですね」
ーー皆さんの活躍を期待しております。今年もよろしくお願いします。

 

いつも淡々とした千葉監督ですが、最後には笑みもあり、手ごたえを感じておられるのかも。

 

 

そして、インタビューのトリはこの方、株式会社ブレイザーズスポーツクラブ代表取締役社長 田下昌孝さんです。実はこの方にはどうしても聞きたい話があったのです。
ーー今シーズンの大きな話として、すでに報道でもあり、今日も話がありましたがチーム名の変更があります。チーム名に企業名がついたというのは、最近の他のチームの傾向とは違う感じなので、そこに何かポジティブな意味があってされたことなのか、その辺りをお聞きしたいのですが。
田下「はい。やはり親会社の日本製鉄との連携を深めるというのが、一番大きな動機となっております。日本製鉄では元々地域に根差して、いかに貢献をしていくかと、こういった所を考えている中で、具体的な形としてスポーツというのを長年にわたってやってきております。それをもう一段、強力にやっていくんだということ。そして、それを通じて、地域により一層、従来にも増して貢献していきたいということ。それを考えて、今回名称変更にさせていただいたのです」
ーー地域貢献を強化するために何か具体的に計画が持ち上がったりはしているのでしょうか?
田下「今、まさに例えば来週から始まるゲームの、その試合一つとっても従来よりもかなり踏み込む形で、お見せするようなことも考えています。あとはちょっとあまり具体的なことは言えませんけれども、堺市さんと従来にやっていなかったような施策、これを形にすべく準備中です」
ーー昨日、南海電鉄さん堺市さんとのコラボのラッピングトレインの見学会にも行かせていただきました。これもただラッピングさせた電車を走らせるだけなのかと思ったら、商店街や地域の活性化など背景にしっかりとした考えがあって、凄く新しいとなと思いました。
田下「そういう意味ではですね。今シーズン久方ぶりなんですけれども、開幕の10月14日と、2月3月の大浜の試合。これをサンテレビさんで生中継していただきます」
ーー地上波生中継! 素晴らしいですね。
田下「その一環で、今週末土曜日(10月7日)に12時から堺ブレイザーズの特集番組を、これも一本用意しています。そういった形で、皆さんには広く認知していただいて、応援していただくきっかけになればと思っています」
ーー楽しみにしています。そもありがとうございました。

 

そうなのです。報道で知られた方もいると思いますが、堺ブレイザーズはチーム名を変更し日本製鉄堺ブレイザーズとなりました。日本のプロスポーツでは、サッカーを筆頭に、チーム名から企業名を外す方向へと進んでいました。その大きな流れに逆行するように見える今回のチーム名変更ですので、その真意をお聞きしたかったのです。
「地域貢献をより進めるため」という田下社長の言葉。それがどのように実現していくのか、チームの活躍に加えて、そちらにも注目していきたいと思います。

あと、全然蛇足なのですが、田下社長のびしっとしたスーツの着こなし、押し出しが強いながらスマートな所が往年の石原裕次郎ぽいなと思ったのですが、さすがに裕次郎ファンに怒られそうなので、裕次郎のそっくりさんぐらいにはカッコイイとしておきたいと思います。

 

 

変化といえば、もうひとつ。堺ブレイザーズ、もとい日本製鉄堺ブレイザーズといえば、日本一の熱い応援が売りで、これは他チームの方も堺ブレイザーズといえば、真っ先に「応援がすごい」とおっしゃるほどでしたが、この数年間はコロナ禍のため自粛。せっかくの持ち味が出せずじまいでした。
しかし、今シーズンは、まったく同じとはいかないけれど、新しくパワーアップして復活する模様。なおき応援団長の雄姿が今から目に浮かびます。
蛇足ついでにいうと、この日なおき応援団長の粋な計らいがありました。実は出陣式の時に乾杯の音頭をとられた方が、緊張のあまりか堺ブレイザーズのチーム名をライバルチームと間違えるという大失敗をされていたのです。その時は、皆さん笑ってすませていたのですが、激励会の最後になおき応援団長が、それをうまくネタとして昇華。音頭をとられた方を、急遽太鼓を叩く大役に抜擢。この失地挽回の機会に大張り切りで挑まれ、上手くこなされていました。
もしこのなおきさんの機転が無ければ、あの失敗は恥ずかしいだけの事件としてあの方の人生に刻まれてしまったかもしれません。しかし、このフォローによって、本人だけではなく、この場を共有にした人にとっても、何か温かい事件として上書きされたのです。
ちょとした、しかし感動の一コマでした。

 

 

そして最後にもうひとつ。
激励会の最後に花束贈呈のプレゼンターに起用されたのは、ジュニアブレイザーズとブレイザーズキッズのメンバーでした。子どもたちにとってもいい思い出になったでしょうし、日本製鉄堺ブレイザーズが掲げる地域貢献であったり、いみじくも前編記事で鵜野選手が言っていた堺ブレイザーズの「熱さ」の継承という意味でも、良い人選だったと思います。この日一番の感動の一コマだったようにも思います。
シーズンもいよいよ開幕。勝利はもちろんのことですが、選手の皆さんにはジュニアやキッズの目の前であこがれになるようなプレーを期待したいですね。
もちろん、それは叶うはずです。

 

 

堺ブレイザーズ

大阪府堺市堺区築港八幡町1番地
TEL:072-233-2264 FAX:072-233-2248
URL:http://www.blazers.gr.jp/

 

 

 

 

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