堺ブレイザーズ観戦記録2021-22(2)サントリーサンバーズ戦 1/16
バレーボールのVリーグ・ディヴィジョン1に所属する堺ブレイザーズは、スタートダッシュに成功し、2022年初の堺ホームゲームを首位で迎えたのですが、強豪サントリーサンバーズを相手にストレート負けを喫して2位に後退してしまいました。
肉薄する3位サントリー・サンバーズにこれ以上勝ち点差を詰められないためにも、落とすことができない第二戦。その結果はいかに!?
ファーストサーブは、サントリーサンバーズの柳田将洋選手(8)から。これを堺ブレイザーズ・樋口裕希選手(2)がレシーブ。今季から新加入の深津旭弘選手(17)がトス、髙野直哉選手(4)が決めてあっさりと先取。日本代表に名を連ねる名手の凶悪なサーブを一回で終わらせると、サントリーサンバーズにはミスが続き6:4と堺ブレイザーズリードの展開に。期待を感じさせるスタートです。
しかし、やはりここで立ち塞がったのがロシア代表ドミトリー・ムセルスキー選手(13)でした。ムセルスキー選手がサーバーになるとブレイクが止まりません。サービスエースを食らって6:8と逆転でファーストテクニカルタイムアウトを奪われたのでした。
その後、一進一退の中盤戦が過ぎると、三度サーバーに柳田選手が立つとサービスエースを含む連続ブレイクで引き離され14:19に。こうなると柳田選手の連続ポイントを止められず、最後はムセルスキー選手の一撃をたたき込まれ、17:25で第1セットを落とします。
第2セットの序盤は、互いにサーブミスも多く絡んでサイドアウトを繰り返して点差がつかないもどかしい展開。中盤戦は、サントリーサンバーズに二度のブレイクに許したのに対して堺ブレイザーズにブレイクはなく14:16でじわりと引き離されます。
終盤、堺ブレイザーズは髙野選手に替えて小池勇輝選手(12)を投入。小池選手がきびきびした躍動感のあるプレーを見せてくれるも差は縮まりません。21:24の瀬戸際になって、ピンチサーバーに地元堺出身の佐川翔選手(8)が登場。髙野選手、シャロン・バーノンエバンズ選手(13)が連続してスパイクを決めて23:24まで追い詰めると場内は今日一番の盛り上がりを見せます。
しかし、ムセルスキー選手のスパイクを受けた樋口選手のレシーブが大きくコートの外へ向かい、佐川選手が懸命に飛びつくも果たせずサントリーサンバーズの得点に。第2セットも23:25で失ったのでした。
第3セット。サントリーサンバーズの激しいサーブが絨毯爆撃のように堺ブレイザーズのコートに降り注ぎます。まともにボールをあげることが出来ずに、サントリーサンバーズに主導権を握られて失点を重ね、堺ブレイザーズの選手が身体を張ったいいプレーをしても、それが点には結びつかないもどかしい状況が続きます。堺ブレイザーズが得意とするプレーを相手にやられてしまっているといえるでしょう。
6:10と大きく点差が開き始めて、若手のアウトサイドヒッター鵜野幸也選手(23)を投入するも流れを変えるには至らず。9:16と大差でセカンドテクニカルタイムアウトを奪われます。結局この差は最後まで縮めることが出来ずに、彭世坤選手(6)にセンターから一撃を食らい18:25で勝敗は決したのでした。
■記者会見
試合後の記者会見には、リベロの山本智大選手(20)、樋口裕希選手、松本慶彦選手(1)の3人に来ていただきました。まずは試合の振り返りから。
山本智大選手「2日間ストレート負けということで、サーブとサーブレシーブの差が出たかなという風に感じました。しっかり気持ちを切り替えてまた来週からの試合に備えたいと思います」
樋口裕希選手「2日間同じようなやられかたで負けてしまったのですが、やはりサーブとサーブレシーブかなと思っていて、自分たちがいいバレーボールをしている時はサーブが良くてブロックがでてるのですけれど、サーブがあまり出せなかったのと、もうひとつはブロックが出せなかった。逆にこちら側がサーブレシーブで向こうのサーブにやられてしまったところが大きな違いかなと。ここをどう修正するのか、どういうもって行き方でサントリーサンバーズさんにもう一回闘うのかチーム全員で考えていかなきゃいけないなと思いました」
松本慶彦選手「試合に入る前にミーティングで、昨日こちらのディフェンスからの攻撃の本数が決まってなかったので、今日はそのへんをしっかりやろうというのでやったんですけれど、1セット目の時にクィックを止められました。いい状態の時に打ったボールは決めなきゃいけないボールだったんですけれど、チームが乗っていくためにも、ディフェンスの後の展開というのを、しっかり決めていきたいなというのと、次あたるまでにディフェンスやサーブをしっかり修正して次は勝てるようにやっていきたいと思います」
続いて記者からの質問。
--(関西TVアナウンサー)今日で前半が終了しましたけれど、13勝5敗という成績について、その要因は?
松本選手「まずチーム自体が監督からはじまり、外国籍選手も代わって、アキ(深津旭弘選手)が入って、新しいチームになったわけですけれど、昨年までとの違いは、苦しい場面でエバンズ選手も決めてくれているというのもありますし、深津選手もしっかりみんなとコミュニケーションをとって一本一本トスとかも確認しながらやってるんですけれど、それがうまく機能しています」
樋口選手「大きく言ったら、今年のチームは1人1人の役割というところで、それぞれのいいところを出し合ってひとつのチームになっているんじゃないかなと思います。それで勝ちにつながっていると思うんですけれど、逆に負けている試合というのは、いいところが出せずに終わっているという印象が強いので、本当に落としちゃ行けない所を落としている試合もあって、本当だったら勝ち数ももっと多くなきゃいけないと思うんですけれど、チームでいいところを出しつつ、いいところを出せない時にどう闘うのかっていうのをチームの中で考えていけば、もっといい勝率になっていくんじゃないかと思います」
山本選手「僕が後ろから見て思うのは、ブロック力が去年と全然違うなと。ブロックで仕留める所は仕留めて、抜かす所は抜かして、それをディグしてトランジションで決めるというパターンが、今年の堺ブレイザーズは多いです。それに加えてサーブとレセプションで空いてにプレッシャーをかけることが出来れば、もっともっと強いチームになると思います。明日からの練習でやっていけたらいいかなと思います」
--ブロック力というのはチームとして意識してやってきた所はあるのですか?
山本選手「そうですね。ここ一年ずっとブロック練習してきて、もともと上手い選手が多い中で、ミドルブロッカーだけじゃなくて、樋口だったり、髙野選手であったり、エバンズ選手であったり、しっかり止める所を止めてくれているので、僕も後ろで入っていて来るコースもわかりやすいですし、その回数も増えているので、ブロックとディグの関係性をもっと密にやっていけるともっともっと良くなるんじゃないかなと思います」
--(フリーランスライター)昨日サントリーサンバーズの山本監督から、松本慶彦選手を早く引退させてあげないとといっていた自分は馬鹿だったという発言があったのですが、この一年どういう取組をして、感じられている手応えはありますか?
松本選手「もともと(前監督)ゴーダンが監督になった時に、みんながやっているボール練習から違うメニューというかトレーニングとプラス、アクティベーションというかヨガみたいなもので、可動域(を向上させること)をやりはじめて、それもあって今年は千葉監督になってから、もうちょっとウェイトの方に重きをおいて自分おパフォーマンスがより出せるようにやった結果、今のパフォーマンスにつながっているんじゃないかと思います」
--FC東京の休部もあって、Vリーグに停滞感がある。今後こうなって欲しいというアイディアはありますか?
松本選手「僕個人的に思うのは、昔に比べてもメディアの露出が減っていると自覚している。その代わりといってはなんだけど、今はSNSを使っている選手もいっぱいる。そういう所で自分を売り込んで注目していただけるような、映像とか面白いものがあればいいなと思うのですが、僕自身は無いんですが、チームとして名前を売っていかなくてはいけないという反省点はあります」
樋口選手「あくまで個人的な意見ですが、リスクをとらずに現状維持ばかりしているように協会全体が見えます。今はリスクをとって先に進んでいく時代だと思うので、リスクを考えることは重要ですけれど、リスクを恐れすぎているために、他のスポーツに置いて行かれたりとか、プロ化が遅れたりとかにつながっているんじゃないかな。もっと新しい事をバレーボール全体でやっていかないといけないと思っていて、昔の全盛期まんまの意識のままでやっている人が多いんじゃないかなと思います。やはり時代にそった動き方とか働き方とかしていかなきゃと、個人的には思います」
--(つーる・ど・堺から)先ほども話が出ましたが、サントリーサンバーズの山本監督が松本選手にプライオリティがない、追い抜く選手がでないのが問題と以前言ったことは馬鹿だったとおっしゃっていました。それに対して何かコメントはありますか?
松本「代表でも長く一緒にやった仲間なんですけれど、彼は監督で僕はコートの中に入ってやってますけれど、良きライバルとしてお互いを思っていると思いますので、そこは選手だろうが監督だろうが、切磋琢磨してやっていきたいというメッセージを送ります」
--後に続くお二人は追い抜くということについてどう思われますか?
樋口「もし僕がマツさんの立場だったら、絶対に41才だろうが下に抜かれないという気持ちでやりますけれど、はたから見る側としては、誰かマツさんを蹴落とすような存在が出てこないと、さすがに50、60になったら出来ないと思うんで(松本選手「やろうかな」)、世代交代じゃないですけれど、そういうようなのを出来るような人がいないといけないなと、ミドルブロッカーだけじゃなくて色んなポジションで出てこないといけないとすごい思いますね」
山本「堺ブレイザーズにとって松本さんは必要不可欠な選手ですし、僕も負けないようにやってますけれど、ミドルブロッカーが育ってこないと、松本さんに経験の差で負けてるだけでなく、実力で負けてる状況なので、もしマツさんが引退された時に相方がいないとなると堺ブレイザーズ自体が困るので、下の選手は同じポジションで聞きにくいかもしれないけれど、ここどうやって打つんですかとか、こういう時どうしてますかとか、そういう質問をもっとしていいんじゃないかなって僕は個人的に思います」
--昨日の記者会見で、主将の出耒田選手から堺ブレイザーズでリーダーシップのある選手として山本選手の名前があがっていました。
山本「僕は点をとることができないので、どうしても。後ろから鼓舞したり、みんなに声をかけたりすることが、プレーもそうですけれど、リベロにとってそれ以上に大事な事だと個人的に感じています。試合だけでやろうと思ってもできないので、練習から発言したり、コートの中をまとめたりするようにしています」
--今後堺ブレイザーズをどんなチームにしていきたいですか?
山本「技術だったり、持っている物は周りのチームに引けを取らないと思うので、それをしっかり1人1人が出して強いチームを目指していければいいと思います」
--(関西TVアナウンサー)オリンピックがありましたけれど、自分の中で変わった事とかはありましたか。
山本「オリンピックでられて29年ぶりとなるベスト8になったんですけれども、メダルを取れなかった悔しさが今もあるので、次のパリオリンピックではメダルを獲得するというのを第一の目標にして、代表の前にここで成績を残すことが一番だと思っているので、まずは代表の事を考えずに堺ブレイザーズでまずは結果を残すことにフォーカスしてまた明日からいきたいと思います」
--プレー面で世界を相手にして得たものは?
山本「本当にすごい選手ばかりなので、サーブ、スパイク、パワーも違いますので、慣れというのか、どうやったら上げられるとか、試合の中で修正する力ってのは培ったので、それをVリーグの中でも発揮できるようにしっかりやっていきたいと思います」
千葉進也監督「(試合の感想)昨日に引き続き、今日もサントリーサンバーズさんのハードサーブに対応しきれずに、我々の攻撃が単調になったところを、しっかりと対策されたということで今日も完敗感の強いゲームになってしまった。非常に残念な結果でした」
--(関西TVアナウンサー)今日で前半戦が終わり13勝5敗。これまでのチームの闘い方はいかがでしょうか?
千葉「開幕で少しつまづいた所はありましたけれど、チーム状況含めて接戦で、難しい試合を勝ちきることが出来たり、あと1点取れてれば勝ったのにという試合が取れているのが去年と大きく違う状況だと思います。チームとしても選手個人個人にも自信にはつながっていると思います。今日はこてんぱんにやられた感じがあるので、それをどう切り換えて来週ちゃんとしてやっていくのか、このままでいくと去年と同じ結果になってもおかしくないので、対策を練るところは練って気持ちも切り換えてやっていかないと」
--(つーる・ど・堺)大浜体育館もできて堺市民としても期待が高まっている所です。まだまだバレーボールファンではない堺市民に向けても堺ブレイザーズのアピールポイントなどをコメントいただけますか?
千葉「大浜体育館に関しては去年も2連勝できたので、チームとしても非常にいい印象が残っています。堺に新しくできたアリーナということもありまして、我々としてもいいイメージをもって、立地的にも駅から近いこともあります。堺ブレイザーズを知らない方にも見に来ていただけるような試合を展開していきたいと思います」
--この選手やこのプレーを見てくれというのはありますか?
千葉「この選手というよりはあきらめないプレーや、男子バレーの迫力であったり見ていただいて、それぞれ誰か選手を好きになっていただければ。あとは堺ブレイザーズというチームを好きになっていただければと思っています」
最後にサントリーサンバーズの山村宏太監督に松本選手のコメントについてのお返事をいただきました。
山本監督「いつでもラインでつながっているんでやりとりは出来るんですけれど(笑)昨日言った通り、松本がコートで活躍してくれるって事は僕らにとってすごく勇気を与えてくれることですし、逆に若い選手たちのケツを叩く意味でも、彼の活躍は堺ブレイザーズにとってもかけがえのないものだと思います。去年とかは早く追い出してやれって言ってたんですけれど、こうなったらとことん膝が壊れるぐらいまでやってくれたらいいかなと思います。若い選手がもういいですよと引導を渡してあげられるようなプレーをすることが大事だと思うので、彼はとことん意地になって選手にこだわってもらって、スタッフや監督というのはその後続けていくことができるので、別に急いでこちら側に来てもらう必要はないかなと思います。あとは、そうですね。息子さんが堺ブレイザーズのジュニアに入られたということで、将来楽しみな選手と聞いているので、親子共演もしてくれたらバレーボール界も盛り上がると思うので、そういう夢のタッグのような事をやってもらえたら嬉しいですし、うちの息子はまだちっちゃいんでが、もしバレーボールをやるということになったら、お互いライバル関係になってくれたら、そういうのが続いていったら個人的には楽しいなと思います。共にバレーボール界を盛り上げていきましょうと、お伝えください(笑) なんか恋人にメッセージを送ってるみたいですね」
松本選手の親子共演や、二世代のライバル関係なんて話も飛び出した山本監督からのエール、いかがだったでしょうか?
さて、2試合続けて完膚なきまでたたきのめされ、首位陥落となった堺ブレイザーズですが、選手たちは前向きです。去年までとは違う。真の強豪堺ブレイザーズの姿を、次の大浜体育館でのホームゲームではぜひ見せてほしいものです。期待しましょう。
堺ブレイザーズ
堺市堺区築港八幡町1番地
web:https://www.blazers.gr.jp/web/
金岡公園体育館
堺市北区長曽根町1179−18