インタビュー

「もずふるサブレができるまで! 宝泉菓子舗取材」を取材する!(1)

 

今回はつーる・ど・堺史上かつてない試みです!
宝泉菓子舗の三代目天才和菓子芸人前田崇之さんへの紙cafeオンライン商店からの取材を、つーる・ど・堺が取材するという変わり種記事なのです。

宝泉菓子舗さんは、三国ヶ丘にある老舗の和菓子店で、前田さんはアニメや漫画のキャラクターを和菓子で創り上げてしまうという天才的な造形センスの持ち主。つーる・ど・堺でもかつて取材したことがあります。

つーる・ど・堺がプロデュースする紙cafeオンライン商店は、この前田さんに人気商品であるもずふるサブレのリニューアルをお願いしたのでした。
リニューアルポイントで、特に目をひくのが、その形。前田さんの魔法の手は、念願だった古墳型(前方後円墳型)のサブレを誕生させたのです。
しかし、前田さんは和菓子職人のはず。洋菓子のサブレを頼むってどういうこと? そして古墳型の秘密とは? 色んなハテナを浮かべながら、記者は宝泉菓子舗へと向かったのでした。

 

■宝泉菓子補探訪

▲全集中の気合いを高める前田さん。

 

堺東のロータリーからまっすぐに三国ヶ丘の坂を登り切ると、けやき通りとの交差点、旧天王貯水池のお向かいという絶好のロケーションに宝泉菓子舗はあります。待ち合わせ時間に少し早く着きました。この日はあいにくの雨模様。一応傘をさしておこうかぐらいの細い雨です。しかし、実はこの雨が今回の取材の中で見過ごせないファクターになることに、この時は気づいていませんでした。

ほどなくして紙cafeオンライン商店の取材班が到着。紙cafeオンライン商店三姉妹のうち、妹ともぞうと新人栞の2人です。合流した3人でご挨拶し、ショーケースのあるカウンターから、店内奥の工房スペースへと進みます。もちろん普段は入れないスペースです。コロナもあり、食品を扱う場所ということもあり、念入りに手洗いをして、取材と取材の取材が始まりました。

 

▲次女ともぞうの目を惹きつけたのは、もずふるサブレの材料……より前に木の作業台でした! 激シブです。

 

取材の柱は、なんといっても前田さんのもずふるサブレの製造実演です。前田さんの前には、材料がずらりと並び、製造工程と製造秘話を聞くだけでも、立派な一本の記事がかけるのですが、どういうわけか話はどんどん脱線します。

次女ともぞうが、まっさきに反応したのは、ステンレスの調理台がならぶ工房の中で、控え目に鎮座していた年代物の木の作業台でした。
ともぞう「これはええなぁ……なんと味のある」
実は、この作業台は、和菓子の木型を使うためには必須の作業台だったのです。話に加わった前田さんのお母さんによると、ステンレスの作業台だと木型の方が壊れてしまうため木の作業台を無くすことは出来ないのだとか。

 

▲宝泉菓子舗に受け継がれてきた木型に夢中の次女ともぞう(左)と新人栞(右)の2人。

 

前田母「昔の職人さんは背が低いからそれに合わせて、この机も低いねん」
前田「そこ(キャビネット)に木型をいれてますよ。うちぐらい木型の置いてある店はないでしょうね。今では木型を使っている所はほとんどないですし、うちでもたまに使って欲しいと注文されるお客様がいる時に使うぐらいですね。木型職人さんも、今では日本で5人ぐらいしかいません」
ともぞう「木型は堅い木を使うので、堺の打刃物があったから出来たんですよね」
前田母「堅い木を彫るのは大変やからね。昔の職人さんはすごかったよ。おじいさん(初代)がスケッチをもっていって、こんな和菓子を何グラムで作りたいっていうと、ぴたっと合うのがあがってくる」
栞「すごいですねー」
ともぞう「うちで木型展をやりましょうよ!」
和菓子一つとはいえ、その背景には堺の職人文化と密接に関わる話がてんこもり。こんな調子で話が面白いものですから、脱線すること限りなしです。

 

 

■サブレ作りは宝泉の歴史と共に進む

 

▲味のあるミキサーで材料を混ぜます。造形センスで知られる前田さんですが、丁寧な仕事ぶりこそ真骨頂なのではないかと思いました。

 

生地作りが始まりました。前田さんは、まずはバターを手に取ります。
ともぞう「そのバターはええ奴ですよね」
前田「ええ奴です。カルピス入りとか色々試してみたんですけどね。これになりました」
バターを、こちらも年代物のミキサーにいれてかき混ぜはじめます。
ともぞう「いつもこれを使うんですか?」
前田「量が多いときは奥の機械を使います。これは1kgもいれたらいっぱいいっぱいになります。今は100gぐらいで、(サブレが)20枚ぐらいとれますね」
栞「これも使い込んでますね」
前田「いつからあるのかなぁ。壊れるたびに自分たちで修理して使っています。和菓子職人はなんでもできる人が多いんです」

グラニュー糖を投入ししばらくかき混ぜてから、一端機械を止め、羽についた生地の種を前田さんはヘラで丁寧にとります。
前田「僕は専門学校で教える時も、生徒にはなるべくちゃんととるように言うんです。その方が上手くできるから」
前田さんは、専門学校で和菓子の講師を務めたり、一般向けのワークショップを積極的に開催しています。「鬼軍曹」「地獄の特訓」などと称すこともありますが、ワークショップの様子はまったく真逆。誰もが和菓子づくりを好きになるような楽しいものです。専門学校生への教え方も、親切丁寧なのでしょうね。

 

▲リニューアルしたもずふるサブレの秘密のひとつ。葛粉に興味津々。

 

前田「次に葛粉を入れます。覗いてみます?」
前田さんが取り出したのは、緑色の大きな缶でした。ロゴを見ると「AIKOKU 愛國 Baking Powder」とあります。ひょっとして戦中・戦前のもの?(昭和7年創業の愛国産業、現株式会社アイコクさんでした)。
前田「缶も昔からある古いやつですね。缶と中身は別物ですよ。中身は奈良の井上天極堂の葛粉です」
葛粉の次は卵黄を作って投入しミキサーで攪拌。再び羽から生地の種をヘラでこそぎとって、再び混ぜる。
ともぞう&栞コンビは、前田さんの手元やミキサーの中を忙しく覗き込んだり写真を撮ることにいそしんでいます。

そして全ての材料を投入してミキサーも役目を終え、生地が取り出されます。これまでの工程でも前田さんの丁寧な仕事ぶりに関心させられていた取材班ですが、実はまだまだ序の口。取材班が和菓子職人前田さんの力を知るのは、実はこれからなのでした!
以下、次号!!

 

リニューアルしたもずふるサブレのお買い求めはこちらから!
https://shop.kami-cafe.jp/?pid=129650390

 

宝泉菓子舗
〒590-0023
大阪府堺市堺区南三国ヶ丘町3丁5−13
TEL:072-238-8128
Web:https://www.facebook.com/sakai.motimoti/

 

 


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