世界を目指す! コミュニティとしてのテニススクール ホリゾン(1)

 

「堺から世界へ」というフレーズは、堺市民なら一度は使ってみたいフレーズかもしれません。「世界なんて、大袈裟すぎ」。……いえいえ、今回ご紹介するのは、実際に世界に手が届くことを視野にいれた活動をされてるテニススクール・ホリゾンです。
この情報を教えてくれたのは、イランのチーズ「ペルシアンパニール」で2度取材させてもらったシャジャリ ルーインさんです。
「堺から世界を目指すとおっしゃってるんですが、ジュニアに力を入れているテニススクールって本当に珍しいんですよ」
ルーインさんは、テニスでプロを目指したこともある経歴の持ち主ですから、その情報は確かなものでしょう。確かにテニススクールと聞くと、どちらかというと趣味のひとつ、大人やシニアが余暇を楽しむ場所という印象があります。一体、どこが違うのか。さっそく、取材に向かったところ、とてつもなくディープなテニスの世界が待ち受けていました。

 

■ホリゾンは「テニスの学校」

▲ホリゾンの広々としたインドアテニスコートでは小さな子がレッスンを受けていました。

 

堺市北区、北花田駅から徒歩1分という立地にホリゾンビルは建っていました。
テニススクールというと、ご近所の公園に併設されているような野外のテニスコートのイメージが強くて、完全にインドアであることに意表をつかれました。
ビル内のカフェで待ってくれていた代表の堀内俊孝さんに早速尋ねてみることにしました。

--一体どうして他にないジュニアに力を入れたテニススクールを作ったのでしょうか?
堀内俊孝(以下、堀内)「それはちょっと誤解で、ジュニアに特化したテニススクールと思われてしまっていますが、本当は一般の方とジュニアを両輪でやっていくのがコンセプトのテニススクールなんです」
――どうして誤解されてしまったのでしょう。
堀内「岸和田校ができて6年目、この10月で北花田校が出来て3年になるのですが、ジュニアが良い結果を出していまして、2019年全日本ジュニア優勝に、大阪ランキング女子11才以下の上位を独占したり。そのような結果を出しているため、ジュニアに特化しているというイメージがついているのだと思います」
――それは破格の強さですね! どうしてホリゾンは他から抜きん出たのでしょうか?
堀内「言いにくいのですが、一部のテニススクールの中には、あえて生徒をうまくしないような所もあります。引き延ばし作戦というのか、生徒の上達を遅らせてスクールに引き留める。でも、うちは1年間でテニスの技術をマスターしてもらっても構わないんです。究極の所を言えば、ずっとスクールに通わなくてもいいんです。その先もテニスを楽しんで頂けるなら」

 

▲堀内俊孝さん。テニスを語る時、全身からとめどなくテニス愛があふれ出るかのようでした。

 

――それはどうしてなんでしょうか?
堀内「ホリゾンはテニススクールではなく、『テニスの学校』と言っているんですが、学校には期限があるでしょう。同じように3年と決めたら3年、短期間の人は短期間でいい。ホリゾンではプログラムレッスンということをしているんです。というのも、テニススクールでよくある問題として、コーチが替わると教えることが変わるということがあるんです。普通は、テニスコーチは自分が習ったことしか教えることしか出来ませんし、技術レベルもテニスコーチによって違う。また、テニスコーチというのは、つい自分と同じような選手を作りたくなるものなんです。そうならないようにするのがプログラムレッスンです。学校教育に教科書があるように、ちゃんと定義を決める。テニスの教科書を私たちはまず作ることにしたのです」
――その教科書に基づいて教えるから、コーチが替わっても教えることは変わらない。一定のレベルを維持して教えることが出来るということですね。
堀内「はい。ホリゾンが目指すのは、美しくて怪我のリスクが少ないテニスです。私は応用心理学の学会で発表したことがあるのですが、強さのレベルが違うプレイヤーのフォームを動画に撮って見比べてもらったんです。それも普通の動画と骨格モデルで。すると、素人でも美しいフォームが強い選手だとわかるし、年齢や服装など余計な情報がない骨格モデルの方がよりわかる」
――面白い結果ですね。
堀内「ホリゾンに来れば、プロと同じフォームでテニスをすることが出来ますし、たとえば大坂なおみ選手がやってきたとしても、あなたの弱点はここだから、ここを伸ばしましょうと指導することもできるんです」
――教科書があるから、世界最高プレイヤーの大坂なおみ選手にも指導できるということですね。すごい話ですが、とても納得できる話でもありますね。

そうして、いよいよ練習風景を見せていただくことになったのですが、驚きはここからが本番でした。

 

■テニスってめっちゃ楽しい

▲「テニスってめっちゃ楽しいで」。楽しくて勝つテニスを実現しているホリゾンらしさが表わされている言葉です。

 

ロビーには、堀内さんの友人であるアーティストの書が飾られています。
「テニスってめっちゃ楽しいで」
当たり前すぎる言葉ですが、どんなスポーツも武道化して修行のようになりがちな日本のスポーツ界においては、この標語は斬新な印象があります。まして、圧倒的な成績を残しているテニススクール・ホリゾンの標語なのですから。

この時間、コートにいたのは未就学の小さな子どもたちでした。インドアのテニスコートですが、2面あるコートは広々としていて、天井は高く、圧迫感はまるでありません。
そんな大空間で、テニスラケットと同じくらいの背丈子が、しっかりボールを打ち返しているではありませんか。
堀内「あそこにいる子は幼稚園児でいい成績を残しているのですが、コートの端から端まで打ち合うことも出来ますよ。ちょっとやってもらいましょうか」

 

▲テニスをはじめて1年ほどの小さな子ども試合ができるホリゾンのテニスレッスンの秘密は一体なんなのか?

 

そこで始まったのはコーチに対してのフルコートでのラリー。小学生2人に混じっても見劣りのしないプレーを見せてくれます。
堀内「この子は公式戦で10才の子に勝ったりするんですよ」
――その年で! それはすごい成長ですね。
堀内「そろそろ地下のコートでレッスンが始まるのですが、見に行きますか?」
――え、コートはまだあるんですか?

堀内さんの案内でエレベーターを使い地階へ移動します。エレベーターのドアが開くと、目の前はもうコートでした。こちらもコートは2面で広さ高さともに、上の階と遜色なさそうです。
堀内「エレベーターを出て1歩目でコートなんです。気持ちが盛り上がるでしょう」
――これはちょっと気合いが入りそうですね。
堀内「これから、それぞれのコートでレッスンがはじまります。黄色いTシャツのチームは、テニスをはじめてすぐの子たち。赤いTシャツの子たちは、1年ぐらいになるかな?」

 

▲地下のテニスコートでレッスン中。テニス経験を積んだ赤いTシャツチームは、さすがに迫力あり。

 

黄色いTシャツのチームはまだ小さな子たちが多く、2チームにわかれてコートの周りを走る追いかけっこが始まりました。赤いTシャツのチームは、一緒になって走りはじめましたが、コートを一周するかしないかで終わりです。
堀内「短いので驚いたでしょう。走り込みはさせないんです。身体を起こすために、はじめに少し走りますが、それだけです。小さい子たちも、余所ではあれぐらいの年齢だとテニススクールなのにずっと鬼ごっこなどの遊びの時間だったりするのですが、うちではすぐにテニスをさせます」
――なんで、そんなことが出来るんですか!?
堀内「テニスって、野球とは違うんです。バットと違ってなぜラケットなのか。ラケットでしっかりボールを掴む感覚で打てば、ラケットの反発力でボールは飛ぶ。テニスは力はいらないんですよ。丁度、今黄色Tシャツチームがやっている練習は、掴む感覚を身につけるものなんですが、門外不出かな(笑)」
――じゃあ、写真はやめておきますね(笑) ホリゾン独特の練習で、力を使わずに打つ方法をマスターするから、小さな子でもコートの端から端までボールを打てて、試合ができるんですね。
堀内「他にもホリゾンでしかしていない練習方法や独特の用語があります。ホリゾン以外で言っても通用しない。でもホリゾン内では通じる共通した用語や練習法なんです」
――それがテニスの教科書から生まれたものなんですね。コーチが替わっても、同じフィロソフィーで同じ練習を行うから、練習の水準が維持される。では、このテニスの教科書は一体どうやって出来たのでしょうか?

 

 

 

とてつもない成績を残しているホリゾン。整った設備にも目を奪われましたが、それ以上に興味をひかれるのは、そのテニス哲学。テニスの学校を標榜し、実際にテニスの教科書があるというのが、なんといっても驚きでした。
このホリゾンがどうして出来たのか、そんな話を第2回ではお聞きします。

 

JSNインドアテニスアリーナホリゾン
ホリゾン北花田本校
堺市北区北花田町3-17-6ホリゾンビル3F
TEL 072-251-4015

ホリゾン岸和田校
岸和田市下松町3-7-60
TEL 072-424-1340

Web http://jsn-horizon.com/

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