ファイアー&アイス 堺ブレイザーズ2019-20(1) 2019-20シーズン記者会見

2019年10月。堺市をホームタウンとする堺ブレイザーズファンにとって、テレビに釘付けの日々が続いていたのではないでしょうか。そう、ワールドカップバレー2019男子大会に、堺ブレイザーズの髙野直哉選手、関田誠大選手、山本智大選手の3選手が出場していたからです。昨シーズン、敵として対戦した日本屈指のプレイヤー達を操る関田選手、スーパーレシーブの連発で“日本の新守護神”の異名まで頂戴した山本選手、劣勢の時に途中出場することも多かった髙野選手の活躍に、誇らしかったりハラハラしたりの毎日です。
そんなワールドカップバレー開催中の10月9日。2019-20 V.LEAGUE開幕を前に、堺ブレイザーズの記者会見が行われました。昨シーズンまで指揮をとった真保綱一郎監督や、ベテラン選手、外国籍選手がチームを去るなど、チームにも大きな変化が起きようとしている新シーズンですが、さて現状のチームはどんな雰囲気なのでしょうか。

 

■新体制発表

 

▲新シーズンのユニフォームを発表。左から今富稜介選手、佐川翔選手、出耒田敬選手。

 

記者会見会場に、今シーズンのスタッフ、選手が揃いました。欠席は、ワールドカップバレー出場中の髙野直哉、関田誠大、山本智大の3選手。それに、怪我の宮原貴人選手です。
新しくなったスタッフ人事から見ていきましょう。
スタッフを牽引する新部長は、堺ブレイザーズOBで日本代表歴もある千葉進也さん。ベテランファンにとっては、お馴染みの名前ではないでしょうか。注目の新監督はゴーダン・メイフォース監督。2002年から2年間堺ブレイザーズを率い、その後はJTサンダーズ監督、ギリシャ男子代表監督、日本代表コーチングスタッフなどの経験豊富な人物です。
また、オフィシャルサポーターとして、先シーズンのハーフタイムでパフォーマンスをしてくれたアコースティックデュオ「にこいち」が就任。応援ソングとして「BLAZE OUT」を書き下ろし、この後に開催される出陣式で披露されるとのことでした。

チームに目を移すと、今シーズンの主将は、ワールドカップバレー出場中の髙野直哉選手。コート上やインタビューの場でみる限り、どちらかというと口数が少なくて、落ち着いたオーラをまとっている選手です。副将は佐川翔選手。ジュニアブレイザーズ出身の堺ブレイザーズ一筋の選手。インタビューでも、論理的で要点を押さえた無駄のないコメントが印象的です。この日は、新主将に代わって抱負をスピーチしました。
そして、新加入内定選手は、佐川選手に続く堺出身選手です。現在早稲田大学に在学中の堀江友裕選手、背番号は5。身長183cmでポジションはリベロ。
堺出身も注目要素ですが、183cmのリベロというのも、目につく個性です。ワールドカップバレーに出場している海外の代表チームには190cm台のリベロだっているわけですが、V.LEAGUE V1に所属する10チームのウェブサイトで確認してみたところ、ほとんどのリベロは170cm台の身長で、堀江選手を上回る身長の選手は1名だけでした。長身リベロの堀江選手が、実績のある山本智大選手、今富稜介選手の両リベロに割って入れるのか楽しみです。

 

▲新部長には千葉進也さん。かつては選手として堺ブレイザーズや日本代表でも活躍しました。

 

千葉新部長の挨拶では、おそらく堺ブレイザーズファンが1番聞きたかった一言が述べられました。
「監督にはゴーダン・メイフォース監督を迎え、選手では外国籍のモーリス・トーレス、新人の樋口(裕希)、鵜野(幸也)といった選手が加わっています。生まれ変わった堺ブレイザーズを見せることが出来ると思っています。そして来ていただいた皆さんに、来て良かった応援して良かったと思ってもらえるような試合を展開できると思っています。6シーズンぶりの優勝。目標はこれしかないと思っています」
最後の力強い言葉はぜひとも実現してほしいですね。さて、次はチームを託された新監督の抱負です。

 

■コンセプトは”ファイアー&アイス”

 

▲堺ブレイザーズに帰ってきたゴーダン・メイフォース新監督。

 

「こんにちは、よろしくおねがいします」
2度目の堺ブレイザーズ監督となるゴーダン・メイフォース監督は。
「今年のテーマとしてファイアー&アイスで、チームを作っていきたいと思っています。今シーズンは、新しいロゴになり、新しいGM、新しいマスコット、新しい監督、新しくモーリス・トーレス選手が加入し、しっかりと新しいカルチャーを作り上げていきたい。新しいカルチャーとは何か。ファイアー&アイスだ。ファイアーとは、パワフルなバレーボール、パワーバレーボール。それをトレーナーとコーチ陣と切磋琢磨しながら作り上げている途中です。アイスとは、氷のイメージで強く硬く、圧力をかけられても動じず冷静にプレーを続けられるようにという意味が込められています」
ファイアー&アイス。堺ブレイザーズは、チーム名からも「炎」のイメージが常にあり、チームカラーとしても熱さを前面に出したチームです。サーブで攻め、1プレー1プレーで感情をむき出しにする選手たち。しかし、そのファイアーにアイスが加わった一味違うキャッチフレーズが、新チームでは掲げられました。
「私たちのチームにはいい日本人選手がいます。外国籍選手も加えて新しく編成して、エキサイティングなスタイルのバレーボールをします。私達はそれを、パンチ、アタック、パンチ&キルと言っています」
パンチ! という言葉も刺激的で、攻撃を重視する堺ブレイザーズらしいですね。
「 “We Are Blazers”のキャッチフレーズがあるように、選手、スタッフ、サポーター、スポンサーも含めてチームの一員と考えております。そのようなチームをしっかりと見ていただいて、ぜひサポーターの皆さんには楽しんでいただきたいと考えています。ぜひ会場まで足を運んでいただきたいと思っています。優勝がんばります。ありがとうございました」
最後も日本語でしめて、ゴーダン監督の挨拶は終わりました。

 

▲ファイアー&アイス。それが新しい堺ブレイザーズのイメージ。今シーズンの記事タイトルに採用します!!

 

続いて質疑応答の時間となり、出席した記者との間でやりとりがありました。
――千葉部長にお聞きします。ゴーダン監督を選ばれた理由はなんでしょうか?
千葉「ゴーダン監督には2002-03シーズンに監督をしていただいて、それから国内のチーム、海外のナショナルチームの監督を色々経験して、日本のバレーボールも知っていますし、世界のバレーボールのことも知識が豊富だということです。また、今年から堺ブレイザーズは新しく生まれ変わらなければいけないという思いから、ゴーダン監督が適任だと考えました」

――ゴーダン監督にお聞きします。堺ブレイザーズはここ数年成績に恵まれていませんでしたが、監督を引き受ける際にどういうチームだと思われましたか、優勝するために何をすればいいと思われたでしょうか。
ゴーダン「私達のチームには素晴らしい日本人の選手がいます。佐川、関田、千々木、松本、出耒田……沢山の素晴らしい選手がいます。チームのコンセプトにはまだ秘密で言えない部分もあるのですが、その選手たちと力を合わせて強いチームのカルチャーを作り上げているところです。基本的なバレーボールのスタイルはシンプルです。パンチとは鋭いとか攻めると言う意味合いで、サーブもスパイクも含めて攻める気持ち、強い気持ち。パンチというのを持ち味でやっていきたいと思っています。サーブがいいと、いいレシーブだったり、いいコンビネーションにもつながるので、やはりサーブでしっかり攻めた上で、いいブロックタッチとか、レシーブも含めて出来るかなと思うので、まずはサーブを強化していきたい。また、トーレス選手を強みとして、中心としてやっていきたい」

 

▲モーリス・トーレス選手。プエルトリコ代表、イタリアのセリエAパドヴァでプレーをしていたオポジット。

 

――先ほども名前があがりましたトーレス選手。どんな選手かご自身で語ってもらえますか?
トーレス選手は照れ笑いを浮かべながら、マイクを握りました。
トーレス「チームメイトと一緒に切磋琢磨しながら頑張っていきたいと思っているのはもちろんで、監督のカルチャーも理解して頑張っていきたい。私のストロングポイントはスピードのある強いサーブとスパイクです」

――佐川副将に、コーダン監督からサーブを強化というお話がありましたが、いままでの練習と違って特にここを強化している部分があれば教えてください。
佐川「もともとサーブを強く打てる選手というのは、堺ブレイザーズには日本人選手も含めて沢山います。サーブを強く打つ中で、ミスを選手自身がケアして、強く打てなくなる場面などが出てきていたりしていたのですが、ゴーダン監督が求めているのはそういう場面でも強く打つ、パワーサーブでパンチしていこうというのがモットーにあります。ミスを恐れず打っていくという方針の中で、チームルールの中でこういうサーブミスをしてはいけないというのを、練習の中に落とし込みながら、まずはそういうルールの中で選手自身が強くハードに打っていくための練習を行っています」

――ゴーダン監督、久しぶりに堺ブレイザーズに戻ってきて、選手やチームにどんな印象を持ちましたか?
ゴーダン「私には2つのジョークがあります。1つは、私は半分日本人だと感じたことです。2つめは堺は、私の第2の故郷です。私にとっては、自然に打ち解けられる場所です。私達にとって重要な点は、チームには素晴らしい選手がいるということ。それぞれの持ち味が出せるように、挑戦していけたらいいなと思っています。有名なコーチとして、成功するためのコーチングとか、いいチームを作るために、いい選手を選びたいと思っています。私は素晴らしいカルチャーを作れるという自信を感じています」

 

▲今シーズンは副将となったセッターの佐川翔選手。

 

質疑応答が終わり、佐川副将から以下のような決意表明が述べられました。
佐川「今シーズン、副将を務めさせていただきます佐川です。新体制になり、ゴーダン監督のもと、非常にいい練習、トレーニングを積むことが出来ています。その中で、リーグで戦う上での個のスキルというのは、本当に充実してきています。ワールドカップバレーボールで戦ってくれている3選手が戻ってきた時に、またチームとしてひとつレベルアップして、優勝争いに絡んでいける戦いを初戦からしていきます。ゴーダン監督の言うファイアー&アイス、パワーバレーボールにフォーカスしてやっていきますので、応援よろしくお願いします」

ゴーダン監督が就任してまだ1ヶ月一寸ですが、佐川選手の言葉からは、これまでの路線を継承した上で、より確固たるものが築かれているような印象を受けます。ファイアー&アイスに象徴されるようなコンセプトが、どのようにチームに浸透しつつあるのか、選手への個別インタビューを中編と後篇で掲載します。

 

堺ブレイザーズ/日本製鉄堺体育館
堺市堺区築港八幡町1番地(日本製鉄堺体育館内)
電話:072-233-2264
FAX:072-233-2248
http://www.blazers.gr.jp/web/


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