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SKP50第四弾『祝ノ会』(後篇)

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舞台には次から次へと神様が登場しました。
堺能楽会館開館50周年記念プロジェクト(SKP50)第4弾のテーマは「祝ノ会」。遠く南洋のバリ島からはバリ舞踊で神様に捧げる踊り「プスカ・メハール」が演じられ、続いて狂言「福の神」、能楽の舞い「神舞」が演じられました。(前篇
レビューの後篇は、ちょっと気分転換で耳で楽しむエンターテイメントからはじまります。
司会も務められている甲斐祐子さんと、ナレーターの竹房敦司さんによる朗読公演ユニット「本読みの時間」の登場です。

 

■朗読「神様捜索隊/羽衣伝説」

 

小説家大崎善生(おおさきよしお)さん原作の「神様捜索隊」の朗読。
この「神様捜索隊」は、少し奇妙な商店街のツアーに参加した妻と、一才の娘と留守番をした夫のお話。毎年、ツチノコや白いカラスを捜索する商店街恒例のツアー、今年捜索するのはなんと神様。さて、そのツアーの結末は?  そんなお話です。
大崎さんといえば、代表作ともいえる、実在の棋士をテーマにし、映画化舞台化もされた小説「聖の青春」のイメージが強いですが、「本読みの時間」の朗読では、こうした佳作に出会えるのも嬉しいですね。

 

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▲神様も声に聞き惚れたでしょう。ナレーターの竹房敦司さん。

 

そして、古典からもう1作品「羽衣伝説」の朗読。
これは次のコラボレーション舞台の呼び水でもあります。
羽衣伝説は様々にヴァリエーションがありますが、基本形としては、漁師が天女の羽衣をみつけ、天女が返礼/代償に舞いを舞うというもの。
改めてストーリーを頭に入れた上で、次のプログラムになります。

 

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▲司会でも活躍。マルチな甲斐祐子さん。

 

■神に捧げる舞踊と音楽 「羽衣伝説より」

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▲舞台が整いました。

 

まず舞台に姿を現したのは音楽チームの面々。正面には能・地謡の藤井丈雄さん、山村貴司さん。そして目を引くのは脇に並んだカジュアルな現代装の2人。民族楽器ユニット「スンダランド」三上賢治さんと等々力政彦さんの2人です。
三上さんの手にはオーストリア先住民アボリジナル・ピープルの筒状楽器ディジュリドゥ。等々力政彦さんの腕の中には南シベリアのトゥバ民族の弦楽器。南と北の大陸からやってきた楽器の調べが能舞台に響きます。

 

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▲「スンダランド」の2人。左がディジュリドゥの三上賢治さん。右が南シベリアのトゥバ族の民俗楽器を操る等々力政彦さん。

 

重低音のディジュリドゥ、耳に心地よい振動を伝える弦楽器、そして等々力さんが喉歌フウメイを響かせはじめました。すると橋掛かりから、何者かが姿を現します。黄金の衣装と白い衣をまとったバリ舞踊の竹原やす子さんが演じるのは……。
天女です。
天女が天から降臨したのです。天女は、舞台中央まで進み出ると、翼のように白い羽衣を広げて舞を舞います。
ひとしきり舞った天女は、白い羽衣を橋掛かりの欄干にかけると姿を消しました。
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▲羽衣をまとった天女が降臨。

 

天女がいなくなると、地謡がはじまり、橋掛かりから今度は釣り竿をもった漁夫が姿をあらわします。演じるのは日本舞踊眞田流の眞田雅透さんです。漁夫も舞台中央まで進み出て見えを切ると、欄干の羽衣を見つけます。

 

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▲漁夫の求めに応じて、天女が舞を舞う。

 

そこへ天女が戻って来て羽衣を返してほしいと、漁師とのやりとりが繰り広げられます。そして話はついたのか、天女は羽衣を受け取ります。ここで更にSKP50らしい演出がありました。天女が能面をつけたのです。
能楽の面をつけたバリ舞踊の踊り手が、能舞台で「羽衣」を舞い、地謡と民族楽器が舞台を支えます。和洋混交どころではない、いくつもの大陸の芸術をまぜこぜにした摩訶不思議なショーです。
天女の舞いが佳境に入ると、それまでじっと見ていた漁師が突き動かされて天女を追いかけ始めます。しかし、羽衣を得た天女に漁師は触れることすら敵いません。追うほどに天助は遠ざかり、橋掛かりの向こうへ、漁師には手の届かない世界へと去っていきます。
こうして、SKP50版の「羽衣伝説」が幕を閉じました。

 

■演者インタビュー

 

最後に演者の皆さんへのインタビューをお届けします。

 

日本舞踊眞田流家元 眞田雅透さん

 

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▲漁夫を演じた眞田雅透さん。

 

――眞田さん、今日の舞台はどうでしたか?
眞田「竹原さんの天女感が良かったですね。めっちゃのってました」
――ご自身はどうでしたか?
眞田「楽でしたよ。今日は11時入りでしたか。入ってずっとここ(楽屋)にいて、舞台でも座っているだけなんやから楽でしたよ(笑)」
――今日は楽だったと(笑)
眞田「前がハード過ぎたんですよ(笑) 今日は楽だった」
――眞田さんにとってSKP50に出る楽しみとはどんなものなのですか?
眞田「今回は全然ジャンルが違うかったでしょう。だからお互いすり寄せていくというのが楽しいんです。ただたいぶこっちに流れていただいたんですけれど(笑) だから昨日の稽古が一番楽しかったですね。昨日の稽古で仕上がったんですけれど、本番は(みんなで)仕上がったものを、また自分で仕上げてかけなければならないというのでプレッシャーがありますけれど、でもだいぶ今回は出来が良かったと思います」
――観客の反応も良かったですね。写真オッケーということもあって、観客の方が夢中でシャッターを押していました。僕もカメラを使っていて、絵になる撮りどころが多いなと感じました。たとえば天女を追って眞田さんがクロスするところとか。
眞田「あれは歌舞伎の手法なのですよ。天女が羽衣を着て天に昇っていく様を表すために、捕まえようとするけれど捕まらない(で交差する)。それは200年以上前から伝わる型なのです。ただ、それに合わせてもらうのが大変だったと思います」
――お互い息があってきたのでしょうか?
眞田「ありますあります。まだ完全にではないですけれど、間がわかってきましたね。やりながら「この人あがってるな」ってわかってきたり、そういう自分が一番あがっているんですけれどね。やっぱり楽しいですね」

 

バリ舞踊 竹原やす子さん

 

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▲能面をつけた竹原やす子さん。同じ面でも、演じ方によって表情が違って見えます。

 

――能舞台の踏み心地はいかがでしたか?
竹原「女性のわたしがお能のお面をつけていいのかな? 私の舞いに合わせて謡の方にうたっていただけるなんて、なんて幸せなことだろうと、舞台に出る前に涙がこみあげてきました。もう本当に舞台って、能舞台って神聖な場所なので、気持ちがぐっと引き締まって」
――もともとバリの方でもヒンドゥーの寺院などでやってますよね。
竹原「そうです。共通しますね。バリでもトペンというお面をつけて踊ったりするのですよ」
――お面初体験ではないのですね。つけごこちの違いなんてありますか?
竹原「バリのお面の方がもっともっと見えないので、お能の面の方がすごくみえやすかったです。バリって本当に見えないんです。踊りって軸がしっかりしていないといけないのですけれど、見えな過ぎて、重心をとらないとフラフラしてしまうのです。今日も何度かふらふらしてしまいましたけれど(笑)」
――逆にここは違うなというところはありますか?
竹原「昨日みなさんにご指導いただいたのですが、バリでも舞踊って必ず最短で移動するのですけれど、そうじゃなくて能楽ではこういってから、こういく(三角形を描いて動く)のは、ほーっと驚きました」
――違う文化と出会った感じですね。
竹原「動きがやっぱりきっちりきっちり、直角直角でした」
――舞台として能楽堂は独特の部分があると言われますが、どうでしたか?
竹原「そうですね。なんといえばいいのか、クッション……柔らかい感じがしたので、すごい心地よかったです」
――今回のコラボレーションとしての感想はいかがでしたか?
竹原「これまで過去にもコラボレーションの経験はあって、ギターや雅楽ともコラボしましたが、必ず音源をいただいてそれに振りをあててきたんですが、今回まったくの即興。それが一番のチャレンジでした。でも、やっぱり納得はいってないのです(笑)」
――完全に即興だったのですね。
竹原「もう即興でしたね。ディジュリドゥとシベリアの楽器とあわせたのも即興でしたね」
――お面をつけたのは誰のアイディアだったのですか?
竹原「それは安東元さん。私はもともとバリ舞踊の仮面をつけるつもりだったのですが、安東さんがせっかくだからと。女性の私がつけていいのかと驚きましたけれど、能楽の精神とバリ舞踊の精神には共通する部分があって、たとえばお面は神聖なものなので絶対に粗末に扱ってはいけない。絶対に地べたにおかない。高いところにおく。そういう話をすると、『おんなじやねぇ』と、竹原さんにならいいよということになったのです。本当に光栄です」

 

観世流シテ方 藤井丈雄さん

 

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▲神舞を舞った藤井丈雄さん。

 

――今回演じられた神舞とはどのようなものなのですか?
藤井「本来は舞囃子というものがございました。能楽の一部分を登場人物・主人公が舞う、いいところだけを舞うのですが、地謡と能楽の囃子をバックに舞うのです。謡舞囃子というのが正式になるかもしれませんが。あのように紋付きを着て、時には裃をつけたりもするのですが、正式な衣装ではなく紋付き袴で舞う形なのですね。その中でも甲斐さんの説明にもあったのですけれど、笛に合わせて舞う形式があります。数種類あるのですけれど、その中でも男の神様が主人公が舞う舞いだったのです」
――今回の祝ノ会というテーマに一番しっくりくる舞いだったのですね。
藤井「そうです。一番近いものそのものがいいのかなと思いまして。じゃあ「神舞」ということで」
――バリの舞踊があって、その次に日本の舞踊があってという。
藤井「この場合ちょっと違うのは、向こうは神様が出てこないのかな? 僕の場合は自分が神様になる。能の場合は、自分を空にする、そこに投射して宿すのです。だから本来は、お能の場合は面をつけて、神が宿る姿になるのです。だから演じているのですけれど、描いているような感じです。よく譬えるのですけれど、画家は描いているけれど絵ではないですよね。僕らも動いていることで描いているような感じなのです」
――それは面白いですね。
藤井「俳優さんに聞いても、やはりなりきっているようで実は客観的に感じているそうで、とても似ていると思いました。この話をするとどうしても長くなってしまいますが」
――もっとお話をじっくり聞きたいのですが、それはいずれということで、違うお話も。今回のコラボレーションについてはどうでしょうか。
藤井「これは完全に分解しまして羽衣を。海外にも似たような話はあるのだそうですけれど、能の羽衣をベースに、舞踊の方にもそういう曲がありますから、まさに部分部分でイメージに近いところをお願いして合わせて行った。そして一番華やかに舞うキリっていう最後の場面ですね、そこを天女の謡にあてはめてどうでしょう。キリの部分と、漁師の登場部分を謡から援用しました」
――お話を伺っていても、みなさんコラボレーションをするのが楽しそうですね。
藤井「そうなんです。なにか自由に出来るので。僕としても能よりはある程度自由いいじれるのです。能をやる場合は、決まった形がありますけれど、この舞台のためにはそうではない。形式で決められているものではあるけれど、美味しい所だけをスパイスでいれることができます。目玉焼きの載ったハンバーグを、黄味の所とハンバーグだけ食べるみたいな。美味しい所を見せることが出来ます」
――クリエイターとしても楽しい部分ですよね。
藤井「練習でもすり合わせをしていく時に、能楽でも舞踊でもバリ舞踊でもない部分がいくつかあったのですが、便宜的に。その時でも僕は能舞台の使い方で、アドバイスして演出して組み立てていった所がありました」
――面白いですね。
藤井「それで羽衣のストーリーというものが皆様に伝わっていれば幸いです」

 

スンダランド 等々力政彦さん

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▲トゥバの弦楽器の装飾までも美しい。等々力さん。

 

――まず歌のことをお聞きしたいのですが、今回歌われていたのは何の歌なのでしょうか?
等々力「一番最初に歌った歌がトゥバの西の方にあるバイタイガという山を歌った歌です」
――その歌を選ばれたのは、やはり山に対する信仰ということなのですか?
等々力「そうですねぇ。言祝ぎ(ことほぎ)ということだったので、何か言祝ぐものということで。バイは豊か、タイガは山のことなのです。バイタイガで豊かな山」
――そして、もうひとつは。
等々力「もうひとつは馬の歌を歌っていました。衣を返してもらって天女が嬉しいということを表現してほしいといこうことだったので、テンポ感のある曲を選びました」
――今回の最後の舞台はコラボレーションがすごいものでしたが、あれはどなたかがリードしているのですか? どんなやり方になっているのでしょうか?
等々力「みんなが作り上げてきましたね。多分これはこれまで何回かやっているうちに融合がはじまっていると思うのですが、みんなが主体的にやるようになってきたと思います」
――何回かやってきて息があって来たということでしょうか?
等々力「僕の場合でしたら、たとえば謡の歌詞がこういう歌詞なら、こうするのはどうだろうと、前よりも積極的に考えるようになってきましたね」
――チーム的に熟成してきたんですね。チームSKPに。
等々力「そうですね」
――では、今回の公演のやりごたえはどうでしたか?
等々力「これはね、毎回そうなんですけれど、演目を変え演目を変えやっているので、毎回チャレンジなのです。みんな毎回がんばって新しいことをしようとしているなと思いますね。めっちゃ攻めていると思います」
――公演としても写真オッケーなのも攻めているかんじですよね。
等々力「時代的にもそうなっていますよね。写真を撮ってもらってSNSで広めてもらう」

 

スンダランド 三上賢治さん

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▲1本1本個性の違うディジュリドゥ。決して平坦な道を歩まなかった三上さんにぴったりの楽器ですね。

 

――今回の舞台の感想はいかがですか?
三上「全部を通しでみられてないので、評価することは難しいのですけれど、終わって帰るお客様の表情を見ているとやってよかったなと思います」
――三上さんの場合、裏方もされているので、なおさらそう思われるのでしょうね。
三上「裏方をしているのはみんなですよ。だから一緒にやれてうれしいなと思うんです。僕は時代を越えていけたらなと思っていて、(ユニット名の)スンダランドというのは氷河期のアジア最初の都市の名前ですけれど、僕はその時代の音世界はこんなんやったかなと考えていると、現代に執着しなくてすむんです。そして過去を万年単位で遡ると、先が数百年単位の感覚が数千年単位で感じるんですよ。だから今だけが正しいわけではない。色んな時代に素晴らしいものがあったんだろうなと思うと」
――なるほど、今回も時代を越えた芸術に出会えたように思えます。

 

「大和座狂言事務所」 安東伸元さん/山田師久さん

 

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▲楽屋でリラックスされている所にお邪魔いたしました。安東伸元さん(左)と山田師久さん(右)。

 

――(パンフレットでは)山田さんは大和座学術ブレインとなっていますが?
山田「もともと中世文学を研究していまして。狂言の歴史的背景とかそういうものを勉強していますので、ブレインというほどいいものではないな、これはちょっと書きすぎやから変えてもらわんとあかんな(笑)」
安東「こういう催しが結成されるきっかけみたいなものが大和座狂言事務所であったわけです。その大和座狂言事務所のブレインが山田先生なわけです。能楽狂言の言葉の研究であったり、勉強であったりも昔やってたんですね。それの中心になってリーダー格になっていたのが山田先生だったのです。大和座狂言事務所が私と息子(安東元)と山田先生と、山村(貴司)くんも数年前から。あとは全部違う方ですが、これだけ集まってくれたわけです。その中心の核にあるのが大和座狂言事務所というわけです」
――前にお話を伺った時は、コラボレーションのようなことはずっと昔からやっているとおっしゃっていましたね。
安東「そうですね。19ぐらいで入門しているわけで、もう60年以上やってますから、色んなことがありましたね」
――SKP50についてはどう思われていますか?
安東「本当にこの舞台があって、50周年という時に大澤(徳平館長)さんから、どうぞこの舞台をお使いくださいと言われて、人が集まってやっているわけやから、こういう機会は貴重でしょうね。ここから何か生まれたらいいね。もっとグレードの高いものが出てきたらいいね」
――ぐつぐつと鍋が煮詰まっていくような感じですかね。
安東「ここに集まっている人たちはみんな後ろ盾のない人たちですから、本当に面白いものが生まれてきてくれたらいいなと思います。ここらの人たちはみんな一匹狼ですよね」
山田「一匹狼同士が一緒にやっている」
安東「そうそう。大阪やからやれるんやね。東京は権威主義やから、面白がってもらえるかもしれないけれど、中央ではなかなかやれない。ここから面白いものが生まれるといいね」

 

「本読みの時間」 竹房敦司さん/甲斐祐子さん

 

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▲堺能楽会館のお客様にはすっかりお馴染みのお2人です。

 

――今回とりあげた「神様捜索隊」を選ばれた理由は?
竹房「神様というのは、実際にはいないのだろうけれども、心の中や身近な物の中に幸せがありますよというお話ですから」
――現代の人向けのお話ですね。では、次回は新作の「本読み狂言」を予定されているようですが、制作の方は順調でしょうか?
竹房「これからになるのですが、安東元さんが演じる部分は狂言のセリフのままですが、現代語部分は僕の担当なので、そこをどうするのか。狂言はヤマト言葉なので、やはり大阪弁の方がいいだろうと思っています。ナレーションの甲斐ちゃんの部分は標準語かな。こないだも会議で、いきなりでてきたアイディアを、『いいですねそれやりましょう』と盛り上がったりしたところです」
――なるほど、これから大変だけれど創作の楽しみがあるところですね。
甲斐「次回の「本読み狂言」の「菌-くさびら-」には、ダンスクラブに通っているこどもたちが可愛らしい茸の精役で登場しますよ」
――それは可愛いですよね!
甲斐「能舞台も毎回驚いているでしょうけどね(笑) 今日もそうですたけれど、50年も舞台をやっていると色々のってくるわって(笑)」

 

大和座狂言事務所 安東元

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▲安東元さん(前列右端)とアベンジャーズ並みに個性豊かなチームSKPの面々。

 

――今回演者の皆さんにお話を聞くと皆さん楽しまれている、コラボレーションも成熟してきているようですね。
元「そうですね。これまでざくっとしてきていた所が共有できてきていますよね。なかなか言葉で伝わらない部分は、経験と改良を重ねていかないとできないですよね」
――それができるようになってきたのですね。今後のSKPとしては?
元「今までやってきたものをブラッシュアップして、より芸術性の高い、堺能楽会館らしいSKPらしい催しをしていきたいですね」
――この試みはまだまだ続きますか?
元「そうですね。来年は50周年なので、今年やってきたものを完成度を高めた催しをしてきたいです。今はなんでもかんでもビックリ玉手箱のようなことをやらせていただいていますが、支持されているものは残して、あとは変容していったらいいですしね」

 

海外からやってきた珍しいもの不思議なものをいち早く取り入れて、新しいものを生み出してきた堺という町は、いうなれば錬金術師の鍋のような町です。この日の堺能楽会館という空間も、芸術分野の実験室のような趣がありました。異なる文化から生まれた様々な要素が融合して生まれた新しい芸術を捧げられた神様たちは、さて気に入ってくださったでしょうか?

 

堺能楽会館
住所大阪府堺市堺区大浜北町3-4-7-100
最寄り駅 南海本線:堺駅
電話 0722-35-0305

 

大和座狂言事務所
住所 吹田市千里山東2丁目3-3
Tel:06-6384-5016,Fax:06-6384-0870,090-3990-1122(事務局)

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