バレーボールの国内トップリーグの新生V.LEAGUEが開幕しましたが、堺ブレイザーズはいきなり開幕2連敗を喫しました。
初戦ジェイテクトSTINGS戦は新加入の関田誠大選手(11)をセッターに戦いましたが、攻撃の歯車はどこかかみ合わずセットカウント1-3で敗北。翌日の豊田合成トレフェルサ戦はセッターを佐川翔選手(8)に替え、第1セットは自慢の攻撃力で奪取したものの、第2セット中盤の大幅リードを逆転されてセットを奪われると、立て直すことができずやはり1-3のセットカウントで敗北したのでした。
新しいチームゆえの連携の未成熟さや、どこか精神的なもろさも垣間見えてしまった。そんな開幕2試合でしたが、今度は若いチームだからこその立ち直りの早さや勢いを見せてほしい。何しろホーム開幕戦なのですから。
2018年11月3日。堺市金岡公園体育館でのFC東京戦。堺ブレイザーズの戦いはいかに。
■ゲームの前に
堺市金岡公園体育館はファンの熱気が詰まっていました。
堺ブレイザーズの応援の熱さは他チームからも一目置かれるほどですが、対戦相手のFC東京だって負けてはいません。アウェー故に人数は少なくとも、JリーグのFC東京と共通する独特の応援で、存在感は十分です。チーム同士の戦いとは別に、応援合戦もこの日の見どころです。
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▲FC東京の応援団にはFC東京のマスコット、東京ドロンパも駆けつけました。 |
コート上の始球式には033(おさみ)の背番号を背負った堺市長竹山修身さんが登場。毎年、始球式のサーブが相手コートまで届くかどうかハラハラさせるのですが、今年は見事に一回で成功。ボールがFC東京のコートに到達した瞬間、全員そろって新喜劇ばりのコケを見せてくれたFC東京の選手たちもお見事でした。
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▲竹山修身堺市長のサーブで「コケ」を披露するFC東京の皆さん。タイミングも見事でした。 |
さて、堺ブレイザーズのスターティングメンバ―は、髙野直哉選手(4)、出耒田敬選手(7)、佐川翔選手(8)、千々木駿介選手(10)、ジョルジェフ・ニコラ(ニコ)選手(18)、竹元裕太郎選手(21)、リベロは山本智大選手(20)となっています。豊田合成トレフェルサ戦から引き続きのメンバーで、真保綱一郎監督はこのメンバーに手ごたえを感じているということでしょうか。
■第1セット
ファーストサーブは堺ブレイザーズ髙野選手から。FC東京はこれを拾い、外国籍選手のデロッコ・ジェイソン選手(10)にあげるも、そのスパイクをニコ選手がブロック! さっそくブロックポイントを決め1-0。ニコ選手は堺ブレイザーズ応援団に向かって雄たけびをあげます。
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▲最初のポイントゲットで、堺ブレイザーズ応援団に向けて雄叫びをあげるニコ選手。 |
ニコ選手の熱さに比して、この序盤戦はどちらかというと静かな立ち上がりになりました。互いにサーブ権を奪い返すサイドアウトを繰り返し、点数は均衡しながら積み上がります。両チームとも外国籍選手だけに攻撃を任すことはなく、日本人選手もバランスよく使っている印象。
ただこの間、堺ブレイザーズはなかなか連続得点=ブレイクが出ません。最初のブレイクは、相手のサーブミスでサーブ権が移ったあと、FC東京の長友優磨選手のスパイクがラインアウトになった、相手チームのミスがらみのものでした。
その後6-6からFC東京のブレイクを許し、点数は6-8でFC東京が先に8点に達して、ファーストテクニカルタイムアウトとなります。
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▲この日のセッターは8番佐川選手。 |
点差は2点差、早く追いつきたい中盤戦も、両チームにミスが目立つ展開になりました。互いにサーブミスで点数を与え続け、ニコ選手のスパイクもブロックされてFC東京はブレイクし8-12。追いつくどころか差が広がってしまいます。
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▲ニコ選手のスパイクはブロックされ、FC東京のブロックポイントとなる。 |
その後、堺ブレイザーズは千々木選手の連続得点でブレイクし、じわじわと差を詰めます。13-15となったところでFC東京は、堺ブレイザーズに在籍したことのある玉宅健太郎選手が選手交代でリリーフサーバーとして登場するもサーブアウト。
堺ブレイザーズも内藤和也選手(5)がリリーフサーバーとして登場。こちらはしっかりサーブを入れて、千々木選手のスパイクで15-15に。追いついたものの、FC東京がサイドアウトして15-16でセカンドテクニカルタイムアウトもFC東京のものになりました。
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▲千々木選手のスパイクがブロックを貫く。 |
FC東京応援団の応援歌(チャント)が響くタイムアウトが終わり終盤戦へ。
17-17になってからの髙野選手のサーブはFC東京のリベロ橘裕也選手(3)の手を大きくはじきボールはコートの外へ。髙野選手のエース炸裂かと思いきや、FC東京の選手は諦めません。手原紳選手(16)が追いついてあげたボールは外へ逃げます。そこにさらに長友選手が食らいつきボールを堺コートへ返します。しかし、これは堺ブレイザーズにとってはチャンスボールでした。ニコ選手のスパイクはFC東京のブロックを突き破り、さっきとは逆方向にコートの外へでて堺ブレイザーズのポイントに。
スパイクを打った後倒れこんでいたニコ選手は、そのままフロアを何度も叩いて感情を爆発させました。18-17。
両チームの闘争心が見事なワンプレーで会場は沸き、堺ブレイザーズがついにリード。FC東京はタイムアウトを取ります。
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▲出耒田選手の打点の高いスパイク。 |
このタイムアウトは効果的だったのか、堺ブレイザーズの勢いはそがれます。今度はFC東京がブレイクして19-21に。さらに21-23となった所で、千々木選手に替えて小池勇輝選手(12)がコートに登場。
そして、22-24とFC東京のセットカウントになり、竹元選手に替わって松本慶彦選手(1)が登場しますが、最後はFC東京の栗山英之選手(18)が決めて23-25で第1セットはFC東京のものになりました。
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▲第1セットを奪われた堺ブレイザーズだが、コートを去りながら話し合いも。 |
第1セットは両チームともサーブやレシーブでもミスが目立ち、なんだか体がうまく動いていない、重りでも背負ってプレーしているんじゃないかという印象です。
また、堺ブレイザーズは終盤に選手交代で器用な小池選手やベテランの松本選手を投入しましたが、FC東京の勢いを止めることができませんでした。少々先行き不安な第1セットの戦いでした。
■第2セット
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▲アップする小池選手の向こうは、セット間に堺ブレイザーズのなおき応援団長率いるチアリーディングのパフォーマンス。この応援で流れが変わったのかも!? |
1-1になってからの堺ブレイザーズ髙野選手のサーブ時、ライン際に落ちたFC東京のスパイクはアウトと判定。FC東京はビデオ判定を求めるチャレンジを要求しますが、判定は変わらず堺ブレイザーズの得点になり、このセット最初のブレイクに。
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▲FC東京のスパイク。ボールの行方は? |
第2セットになり、堺ブレイザーズの選手たちの動きも硬さが取れてきたのでしょう。
FC東京がサーブミスで波に乗れない中、堺ブレイザーズはポイントを積み重ねます。
7-5となって得たサーブ権、千々木選手のサーブを拾ったFC東京がスパイクで返す所を、すかさず髙野選手・出耒田選手の2枚ブロックがたたき落としてブロックポイント。8-5でファーストテクニカルタイムアウトを得たのでした。
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▲髙野選手、出耒田選手の2枚ブロックでブロックポイント。ファーストテクニカルタイムアウトに。 |
タイムアウトが明けると、千々木タイムが始まりました。
千々木選手の厳しいサーブがFC東京のレシーブを乱しチャンスボールが堺ブレイザーズコートに返ってきます。これを髙野選手がクロスへ叩き込み9-5に。今度は千々木選手のサーブはネットインで、FC東京選手は対処できずにエース。得点が10-5にまで広がります。
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▲スパイク、パイプ、サーブで得点を奪う千々木選手。いよいよエンジン全開に。 |
しかし、このあたりでFC東京の巻き返しも始まります。
佐川選手のサーブがラインアウトで得点が12-9となってから、FC東京のブレイクが続いて、ついに12-12と追いつかれてしまいます。攻撃がようやく切れたのは、FC東京のサーブミスによって。これで13-12に。
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▲千々木選手、パイプ攻撃へテイクオフ!! |
ようやくサーブ権を奪い返した直後の大切な攻撃、会場も固唾をのんでサーバーの髙野選手を見守ります。
髙野選手のサーブはライン際に鋭く決まりエースに。髙野選手は小さく控えめなガッツポーズ。そのまま抱き合って喜ぶ堺ブレイザーズの選手たち輪に吸い込まれまれた髙野選手の背中を、千々木選手は乱暴にさすります。スコアは14-12に。
その後は、千々木選手のスパイク、竹元選手のサービスエースが炸裂して16-13で、堺ブレイザーズはセカンドテクニカルタイムアウトを爽快に奪ったのでした。
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▲千々木選手と山本選手が全開のガッツポーズですが、得点を決めたのはクールなガッツポーズの髙野選手です。 |
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▲竹元選手のサーブをリベロ橘選手も拾いきれずサービスエースに!! |
堺ブレイザーズの攻めるサーブが炸裂した中盤戦でしたが、終盤戦はサイドアウトの繰り返しでスコアが積み重なっていきます。
18-16となったところで、活躍していた千々木選手に替えて小池選手がコートへ。その小池選手にFC東京のデロッコ選手のパイプ攻撃が直撃し、派手に吹き飛ばされて19-17。
FC東京のサーブミスを挟んでまたもデロッコ選手の一撃が炸裂。20-18。FC東京も攻撃の圧力を高めますが、竹元選手がブロックポイントでお返しをして21-18に。
この展開にFC東京の応援団も太鼓をたたき、チャントでチームを鼓舞します。
堺ブレイザーズはこの間で選手交代。小池選手に替わって千々木選手が再びコートへ。また竹元選手に替わって松本選手が再登場。
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▲FC東京のデロッコ選手の強烈な一撃に小池選手もひっくり返る。 |
そしてこの時トラブルも。試合の様子と点数を映し出していた電光掲示板が突如ブラックアウト。回復するまでの間、手で点数をめくるアナログな掲示板が使われていました。故障したのも驚きでしたけれど、故障した時のために手動掲示板が用意されていたのも驚きでした。いずれにせよ、失敗や試行錯誤を繰り返してリーグも成長していくのでしょうね。
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▲千々木選手がはじいたボールを山本選手が瞬時に反応して拾う。ブラックアウトしている電光掲示板は、この後無事復旧しました。 |
そしてこのセット、最も盛り上がったプレーが飛び出します。
1点が重い状況でFC東京のサーブを千々木選手がはじいてしまいます。エースでFC東京のブレイクかと思った瞬間、山本選手が即座に反応してこぼれたボールを跳ね上げます。
これをニコ選手が相手コートにプッシュ。このチャンスボールをFC東京は見逃さず、デロッコ選手が堺ブレイザーズコートの大きく空いたスペースに打ち込んだところ、またも山本選手がダイブしてボールをかろうじてすくい上げます……が高くはあがりません。今度は千々木選手がフォローして上げたボールを、バックから髙野選手が反応しますが相手コートに返すのが精一杯。
再びFC東京にチャンスボール。十分な態勢からのバックアタックが佐川選手を襲います。佐川選手がレシーブしたボールはコートの外へ向かいますが、そこにまたも山本選手が走り込んで追いつき、ボールはネット際へ。ニコ選手がそれを直接スパイクするも威力不十分でブロックに跳ね返されます。
これを佐川選手がレシーブすると、松本選手がトスをあげ、ニコ選手が打ち抜く!! このボールは相手コートを貫いたのです。
ついに長いラリーに終止符が打たれました。
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▲この日の山本選手のプレーでリベロを目指すキッズが増えたはず。 |
常にFC東京にチャンスボールがあがる所を粘って取りきったのは大きい。特に山本選手は右に左に飛び回っての大活躍。ここでギアが一段あがったのか、この後も山本選手の守備は輝きを増します。きっと、この日の山本選手のプレーを見てリベロを目指す子供は増えたに違いありません。
この後も堺ブレイザーズは順調に得点を重ねていき、25-22のスコアで第2セットを奪います。
これでセットカウントは1-1のタイ。攻撃も守備も歯車がかみ合って好調。選手たちの表情も晴れやかです。この調子で残りセットを奪いきってくれるでしょうか?
堺ブレイザーズ
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