インタビュー

柚子辛凜 安澤和子

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安澤和子
profile

堺市鳳出身。休日にはご主人と一緒に農園で無農薬野菜づくりに勤しんでいます。

できた野菜はお客様やご近所の方にお裾分けすることも

住宅街の一角にシックな外装の店舗があります。赤い柚子胡椒の「倉田流・ゆずからりん」を販売するお店です。道路に面した座敷が販売スペースでしょうか。和の装いで落ち着いた印象です。
「どうぞ、あがってください」
代表の安澤和子さんの声に誘われ框(かまち)から上がりました。
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▲自宅を改装した「柚子辛凜」の店舗。
■口コミから広がった「ゆずからりん」
「ゆずからりん」は、柚子と唐辛子と塩だけで作られ、ねっとりとした「練り」タイプとは違い、さらっとした粒状のタイプで一味のように使うことが出来ます。色が赤いのは、鷹の爪を使っているから。
「他の柚子胡椒は青臭さが感じられて私は苦手。普通の柚子胡椒がダメな人でも『ゆずからりん』なら大丈夫という人は多いですよ」
安澤さんが最初に製法を教わったのは15年前。知り合いに手作りのお裾分けする所からはじまって評判となり、「売って欲しい」という希望に応えて商品化しました。
「ゆずからりん」という名前をつけたのは、7年前のことでした。
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▲九州には様々な柚子胡椒があり、赤い『練り』タイプの柚子胡椒もあるとか。 ▲近くを通るたびに気になっていたという福島さん。お客様とのおしゃべりは楽しい一時です。
安澤さんから話を伺っているとお客様がいらっしゃいました。ネットで「ゆずからりん」を知った、ご近所にお住まいの福島さんは初めての来店です。安澤さんは福島さんを招き入れて、テーブルを囲んでコーヒータイムに。
「食べてみて」と安澤さんが瓶の蓋を開けるとさわやかな香り。「ゆずからりん」初体験に思わず笑顔。
「ゆずからりん」の使い方を尋ねる福島さんに安澤さんは、様々な使用例やレシピを伝授します。
パスタや唐揚げの下味、味噌汁や納豆に入れてもいい。塩気を押さえた「ゆずからりん」は、あらゆるものに使えるのです。
「一瓶すぐ食べちゃうかもしれませんね」
福島さんは今度は「ゆずからりん」に興味がある友達にも来店をすすめてみるそうです。
■イベント出店をきっかけにコラボレーション
「ゆずからりんはお裾分けからはじまって、口コミで広がったんです。リピーターが多いですね」
イベント出店などがそのまま宣伝広告になりました。
これは「人と出会うのが好き、おしゃべりが好き」という安澤さんにはぴったりでした。
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▲2012年は九州を二度襲った集中豪雨で大分のゆずが全滅状態に。新鮮なゆずを入手するのに苦労しました。
「ゆずからりん」のコラボ商品が出来たのも、イベントでの出会いがきっかけです。コラボのお相手は塩糀(しおこうじ)がブームになった『糀屋 雨風』。
「『ゆずからりん』をやりはじめた時に『雨風』の社長さんと『何か一緒にやりたいね』と言ってそれっきりになっていたんですが、先日偶然催事で再会したんです」
コラボレーションが今度は具体化し、出来上がったのが『生しょうゆ糀』。醤油代わりの万能調味料で人気のため、すでに入手困難です。
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▲安澤さんがご自宅用に置いていた『生しょうゆ糀』も試食させてもらいました。舌に載せた瞬間コクのある旨味が広がり、思わずじたばたしてしまいます。
なんにでも合う「ゆずからりん」は、居酒屋やおでん屋、お好み焼き屋といった飲食店や、北花田阪急、JA堺でも置いてもらえるようになりました
「私が何よりも嬉しかったのは『プランタン』で置いてもらえたことなんです」
堺の有名店『創作工房プランタン』。数々の創作パンを生み出す工場長 山茂さんの腕前に安澤さんは感嘆しています。そんな『プランタン』に認められたことが誇らしいのです。
これまでも山茂さんは、あなご専科『松井泉』さんとのコラボで、売り切れ続出の「あなごドッグ」を生み出しています。「ゆずからりん」とのコラボパンも近いうちに登場するかもしれませんね。
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▲安澤さんが大好きだという『プランタン』のパンとコーヒーをごちそうになりました。
■相手を知る事で自分を知ってもらう
「ゆずからりん」が有名になるにつれ、もっと儲けることを考えてはどうか? と話を持ちかけられることもあります。
「今更、儲けを求めてなんになる?って思うんです」
安澤さんがそう思うのは「儲けようと思えばいくらでも儲けることぐらいできる」という自負があるからです。
それも当然、安澤さんはキャリアウーマンとして31年間活躍し、生半可なビジネスマンでは到底及ばないほどの実績をあげていたのです。
「すべてが数字で出る厳しい世界でしたから、あの世界でやり通してきた人間は、どんなところでもやっていけると思いますよ」
そんな安澤さんが仕事の傍ら「ゆずからりん」を始めたのは、「別の世界を覗いてみたかった」からです。
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▲遠方から車で来られるお客様も。
「気が楽ですね。利害抜きの関係で話をするのは」
これまでの仕事とは違う魅力がありました。
「私はさびしがり屋だから、何もしないで家にいたらへこんでしまって元気でいられません」
周囲から「元気ですね」と言われることが多い安澤さんですが、人から元気をもらっているのだといいます。
「特に若い世代の人から教えられパワーをもらうことが多いです。老いては子に従えじゃありませんが、私が教えてもらわなければならない。若い世代から勉強しているんです」
何十人もの若い部下を育て上げ、何千何万もの顧客と向き合った安澤さんの人付き合いの秘訣は、まずは相手の話を聞くことです。
「必ずどこからいらっしゃったんですか?って聞くんです。すると色々会話が出来るでしょ。相手を知ることで自分のことを知ってもらえるんです」
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▲「おばちゃんが楽しく仕事をしているんです」と安澤さん。
安澤さんがこの仕事で得たものはなんでしょうか?
「一言で言うと『出会い』です。みんなと楽しみながらこの商売が出来たらこんなに楽しいことはないです。忙しくマイペースに仕事をしていければいいですね」
これからの展望は?という問いに最後に安澤さんは、こう付け加えました。
「女性として輝き続けていたいですね」
柚子辛凜
堺市西区鳳東町7-821-7
TEL 072-263-6962
営業時間 11:00~19:00

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