堺ブレイザーズ観戦記 2022-2023(1)Vs VC長野トライデンツ戦
堺ブレイザーズは、堺市を本拠地とし、国内トップリーグに所属する男子バレーボールチームです。古豪、あるいは名門という冠がつけられるような、歴史の長いチームです。地元のプロスポーツチームということで、つーる・ど・堺で取材を続けています。ここのところ優勝から遠ざかり、歯がゆいシーズンが続いていましたが、今シーズンはシーズン終盤になっても好調を維持し、優勝争いを繰り広げています。
今回取材にお邪魔したのは、2023年2月18日(土曜日)に日本製鉄堺体育館で行われたVC長野トライデンツ戦です。VC長野トライデンツは、2008年に設立され、チャレンジリーグを経てトップリーグに参入したチーム。地域に愛されるクラブチームとして注目されている若いチームです。堺ブレイザーズはこの時点でチーム順位は3位。VC長野トライデンツは10位。どんな試合になったのでしょうか?
■好調堺ブレイザーズ
試合前の注目ポイントがひとつ。それは会場にシェアサイクルの臨時ポートが設置されていたこと。会場の日本製鉄堺体育館は、公共交通機関のアクセスはバスのみで、決して交通の便がいいとはいえません。一方、堺は自転車の町として知られており、特に地形が平坦な堺区では自転車は便利この上ない乗り物です。自転車に乗ってしまえば最寄りの「七道」駅からはあっという間。実際会場の臨時ポートの利用台数はなかなかのもの。今後も続けてほしい試みだと思いました。
さて、試合に注目してみましょう。
堺ブレイザーズのスターティングメンバーは、キャプテンの出耒田敬(7)、セッターの深津旭弘(17)、リーグ最年長のレジェンドミドルブロッカー松本慶彦(1)、アウトサイドヒッターは樋口裕希(2)と髙野直哉(4)、オポジットには昨シーズン加入のシャロン・バーノン エバンズ(13)。そして、リベロには日本代表の守護神山本智大(20)。おなじみの頼もしいメンバーがそろっています。
第1セット。堺ブレイザーズの松本選手のサーブから。VC長野トライデンツ・アラウージョ選手(8)のアタックを出耒田選手・樋口選手の二枚ブロックで叩き落して堺ブレイザーズの先制。続いての攻撃は、今度は樋口選手のアタックをアラウージョ選手がブロックでお返し。序盤は、ブレイク(連続得点)が出ずに、サイドアウト(サーブ権の移動)が続く、淡々とした展開で進みます。
試合が動き出したのは、バーノン選手が強烈なバックアタックを決めて、5-4とした時から。続く深津選手のいいサーブから、相手のアタックをバーノン選手がブロックして、ようやくブレイク。さらに髙野選手もスパイクを決めて7-4に。こうなってくると、サーブで崩してスパイク・ブロックで得点を重ねていく堺ブレイザーズの強さが目立つ展開になります。12-8でテクニカルタイムアウトは堺ブレイザーズのものに。
ところで、今シーズンからテクニカルタイムアウトが変更されています。これまでは、第4セットまでは、8点、16点先取の時点で2度テクニカルタイムアウトがとられていましたが、今シーズンからは12点先取の時点でテクニカルタイムアウトになります。試合展開をスピーディーにという狙いなのでしょうか。
第1セットの後半。またも深津選手のサーブ時にブレイクが始まります。13-10から20-10までなんと7連続得点。山本選手のファインプレーでつないだボールから得点へとつながったり、深津選手のサービスエースが出たりと、堺ブレイザーズの選手たちが躍動します。結局、VC長野トライデンツのブレイクは1回だけで、セットカウント25-15という一方的なスコアで第1セットは堺ブレイザーズが得たのです。
■粘りのVC長野トライデンツ
この調子なら今日の勝利は間違いないと思えた第1セットでした。しかし、快調すぎたせいか堺ブレイザーズが落とし穴にはまってしまったのが第2セットでした。序盤の流れは堺ブレイザーズのものでしたが、VC長野トライデンツの選手たちはリードされてもまったく気落ちすることなく食らいつき、連続ブレイクで追いつき、追い越し10-12でテクニカルタイムアウトはVC長野トライデンツのものに。
後半になってもVC長野トライデンツは勢いをキープ。堺ブレイザーズはバーノン選手が猛威をふるいこちらも連続ブレイクで14-13とスコアをひっくり返したのですが、すぐにブレイクをお返しして14-16に。
ここからは互いにブレイクとタイムアウト、選手交代を繰り出す目まぐるしい展開となります。堺ブレイザーズは交代選手として竹元裕太郎(21)、山口頌平(14)、赤星伸城(22)が登場。22-24でVC長野トライデンツがセットポイントを迎えても、堺ブレイザーズがブレイクして24-24と追いつくき、深津選手が雄たけびをあげます。VC長野トライデンツの選手がボールを追ってコート外の看板に飛び込めば、堺ブレイザーズもバーノン選手ら3人がコート外のボールにダイブ。アラウージョ選手のスパイクをバーノン選手がブロックポイントと両エースが火花を散らして27-26とセットポイントで逆王手。しかしVC長野トライデンツが反撃、最後の最後はバーノン選手の強烈スパイクを看板間際でギリギリに拾ってつなげたボールをVC長野トライデンツ工藤有史(11)選手がスパイクで決め、第2セットを奪い返したのでした。
堺ブレイザーズファンとしては、このセットもとって3-0の完全勝利で上位進出へ弾みをつけたかった所です。しかし、バレーボールという競技の面白さを楽しめたセットでもありました。
セットカウント1‐1となった第3セット。コートには松本選手に代わって、竹元選手の姿があります。まずは、サイドアウトの続く展開からVC長野トライデンツがブレイクで先行し、やきもきしますが竹元選手のサーブ時に4連続得点で10-7と逆転。その後も、堺ブレイザーズがブレイクを連発してリードを広げていきます。シャロン選手のサービスエースで22-14と8点差となって勝負ありの感がありましたが、24-18で堺ブレイザーズがセットポイントを迎えた所で、VC長野トライデンツがまたも粘りをみせます。3連続得点で24-21と追い上げてきたのです。
ここで先行している堺ブレイザーズがタイムアウトで一息いれます。これが良かったのでしょうか、タイムアウトあけ、つないだボールを最後に決めたのはバーノン選手のバックアタックでした。頼りになる13番。これでセットカウントは2‐1。堺ブレイザーズは第4セットも連取して、勝利と勝ち点3を手にいれることができるのでしょうか?
(続く)