2020年10月17日（土）。V.LEAGUEが今年も始まりました。
コロナ禍で開催が危ぶまれていた今年に限っては、「今年も始まりました」という一言は、全世界のスポーツファンにとって重みがある言葉でしょう。

堺市をホームタウンとする堺ブレイザーズの今シーズンの初戦はホームの堺から。ただし、馴染みのある金岡公園体育館ではなく、初めてクラブの所在地でもある日本製鐵堺体育館での試合となりました。対戦相手はVC長野トライデンツです。

■本調子とは遠くとも勝ち星を掴む

▲初戦に挑む堺ブレイザーズメンバー。昨年後半戦飛躍の原動力となった樋口裕希選手は、ウイルス性結膜炎により欠場。

堺ブレイザーズのスターティングメンバーは、キャプテン髙野直哉選手（4）、セッター関田誠大選手（11）、リベロ山本智大選手（21）（以上、2020年日本代表登録メンバー）、最長身のミドルブロッカー出耒田敬選手（7）に、最多出場記録を持つレジェンド松本慶彦選手（1）、そして新加入のアウトサイドヒッター鵜野幸也選手（23）、そしてオポジットで新外国籍選手のジョン・ウェント選手（24）です。ベテランから中堅、新戦力までバランスよく整った編成のように思えます。

第1セット。全般的に動きが硬く淡々とした様子で試合が進みます。いつも体育館を揺るがす大声援が、コロナの影響で人数制限に声出し禁止で無くなったせいも大きいかもしれません。第1セットはデュースにもつれ込みながら、なんとかセットポイントを取るといった戦い方でした。

▲フェンスに突っ込んでもボールを拾う山本智大選手のディフェンス力が目を引く。堺の、そして日本の守護神です。

第2セットは、ややエンジンがかかってきたのか、序盤から突き放しにかかります。新加入の鵜野選手は、ブロックポイントにパイプ攻撃にと、攻守に活躍してチームを牽引し、25-19でセットカウントは2-0に。

第3セットになると、今ひとつ活躍しきれないジョン・ウェント選手はベンチに退き、宮原貴人選手（3）や竹元裕太郎選手（21）ら、若手中心のメンバーがコートに送り込まれます。しかしこれが裏目に出たのか、初めてVC長野トライデンツにリードされる展開に。終盤になり再び登場したジョン選手が、連続エースなどで追い上げますが、23-25でセットを奪われてしまいます。

▲来日してからチーム練習は3日しかしていないというジョン選手ですが、この日は実力の片鱗を見せました。フィットするのが待ち遠しい。

ストレートで勝ちたかった所ですが、第4セットへ。ここで気を吐いたのは千々木駿介(10)。強烈な攻撃力が魅力の千々木選手ですが、軟打も織り交ぜチームに余裕をもたせます。さすがベテランの味です。すると関田選手も憎い2アタックを決め、VC長野トライデンツの心をへし折りにかかります。こうなってくると堺ブレイザーズペースです。最後は相手のサーブミスで得点し25-20でセットをものにし、セットカウント3-1で初戦に勝利したのでした。

▲第3セットは、若手中心のメンバーでセットを取り、勝ちきりたかった所。おしい!

第2セットの勢いのまま、出来ればストレートで勝って欲しかったのですが、シーズン初戦のホーム戦を勝利で飾れたことは素直に喜ぶこととしましょう。では、試合後の記者会見の様子をお届けします。

■記者会見コメント

▲語学にも堪能なゴーダン監督は、記者会見前に「英語でやりましょう。英語は簡単でしょ」と日本語でジョークを飛ばしていました。

●監督コメント　ゴーダン・メイフォース監督
「VC長野トライデンツのディフェンスが素晴らしかった。いつもパスが良くないと（記者に）言われるのだけれど、今日はパスが一番良かった。サーブもかなり良かったとおもう。ブロックも４セットで１１本で良かった。スパイクはもう少しよくしたかった。どこのチームもだけれど、コロナの影響で試合があいた後で、リズムを取り戻そうとしている。短い時間だったけれど、ジョン選手もプレーし20得点した。来日してまだ3回しかチーム練習をしておらず、フランスでも何ヶ月も隔離されていた中で良くやった」

▲この日もここぞという所で得点を決めてくれた松本選手。

－－（信濃毎日新聞）松本選手の地元のメディアなのですが、松本選手への評価を。
「松本選手より年上の選手を探すのは世界を見渡しても難しいことだ。松本選手のニックネームはレジェンド。そんなニックネームはレジェンドに相応しかったとしてもなかなかもらえない。若い時のようなプレーは出来ない状況であっても、松本はチームにインパクトと刺激を与える存在です。松本は寡黙な選手で、いるか居ないかわからない時もあるのに、チームに大きな刺激と影響を与えることが出来る選手です」
－－コロナ禍にあって、大変な思いをしている堺ブレイザーズファンにメッセージはありますか?
「今年の堺ブレイザーズのキャッチコピーは『BLAZERS NATION WE ARE ONE!』です。今年はコロナがある中で、ファンが直接応援するのが難しい。それでもつながっていると私たちは思いたい。私のメッセージはシンプルです。もしあなたたちが応援してくれて、ポジティブなエネルギーを送ってくれるなら、私たちは皆さんのために戦うし、私たちは一つです」
－－今年は堺市でのホームゲームが多いですが、戦い方に変化はありますか?
「変化ということはありませんが。コロナが無くなって、ホームゲームで元の状況で試合が出来たらと思います。それは難しいので、記者の皆さんには、ぜひインスタグラムやホームページでファンに知らせてください」

▲今シーズンも主将の髙野選手。明るい表情でチームを盛り上げます。髙野選手自身は夏場のトレーニングでパワーアップし、昨シーズン以上にスパイクにも力が乗るようになったとか。

続いては、選手の記者会見に、髙野選手、出耒田選手、関田選手、鵜野選手が来てくれました。まずは試合を振り返ってのコメントです。
髙野選手「今日は７ヶ月ぶりの公式戦でしたが、僕たちがやろうとしていたバレーボールがなかなか出来なくて、相手に拾われて点数とられて厳しい展開が続いたのですが、なんとか勝ち切れたのは収穫になったと思います。まだまだ修正点は多いのですが、明日もホームなので勝って2連勝して終わりたいと思います」
出耒田選手「久々の公式戦とうことで、なかなか自分たちのやりたいバレーボールというのが、形としては1セット目のクイックとパイプを多く使ったり、それが決まっていなかったりでリズムに乗り切れなかった。ただ勝ちきれたということで、これから徐々にチームとしてまずは目の前の一戦一戦勝ちにこだわっていきます」
関田選手「まずは無事に開催されたことが嬉しく思います。初戦ということでまず勝つことが出来て良かったと思います。内容的にはもっとよく出来ることが沢山あると思います。それを修正してやっていきたいなと思います」
鵜野選手「開幕戦初戦ということで、少し上手くいかなかったところ、上手くいったところ両方がありました。これからリーグ戦が続くので修正して行けたらと思います」

▲夏のトレーニングでは怪我をしないための身体作りに励んだという出耒田選手。実感するのはまだまだ先かな？ とのこと。

続いて、記者からの質問。
－－久しぶりにお客様の前でのプレーですが、素直にその感想を伺いたいです。
高野選手「久しぶりに応援に来てくれて、プレイヤーとしてもすごくモチベーションがあがりました。やっぱり誰もきてないアリーナ席よりかは、実際に人に入ってもらって応援してもらっての方が僕らにも力になったので、まだ全員は入れないですけれど、半分は入れて良かったと思う」
出耒田選手「（お客様が）入ってはいるものの声だし禁止などの決まりがあって、やはり試合をやっていてもプレーとプレーの合間が寂しいなと思ったりはしましたけれど、実際にこうやってファンの方が来られて見てもらえてとても良かったと思います」
関田選手「昨シーズンまでと比べて、応援しづらい状態だったのですけれど、モチベーションは上がってきました」
鵜野選手「ホームでの強みというのが、声だしとかが無くなったせいで、少し弱くなったのかなと思うんですけれど、お客様が入ってる中でプレーできるということを、まず良かったなと思います」
－－先ほど髙野選手が修正点についておっしゃっていたのですが、そこの所をもう少し教えてください。
髙野選手「出耒田選手が言ったように、僕たちはクイックとパイプを武器にしてやっていこうとしています。今日、クイックとパイプで攻めることは出来たのですが、コンビミスだったり決まらなかったり、そういう所があったので、精度を高くして武器にしてやれるようにしていきたいです」

▲攻守にわたる好プレーで魅せた鵜野選手。

－－関田選手にお聞きします。昨シーズンはずっとされていた、サーブを打つ時に上を向いてボールを額にあてる仕草を今日はしませんでした。また、ひげを生やされていますが、何か心境の変化があったのですか?
関田選手「（笑）　ルーティーンに関しては、いつも練習している体育館でしたので、特に天井を見る必要がなかったのと、ちょっと変えようかなと。ひげ……に関しては、自粛期間中にちょっと生やしておこうかなと、それが僕の中でもマッチしたので、継続してそのまま生やすことにしました」

▲関田選手のひげ。似合いますね!

－－コロナ禍で会場に見に来られないお客様に何かメッセージをお願いします。
髙野選手「現在コロナ禍で様々な制限があり、見に来てくれる方が減っているので、それでもリモートだったりDAZNだったりで見てくれているファンもいると思うので、そういうファンの方々に、バレーボールを通して勇気や感動を与えるプレーをしていきたいです」
出耒田選手「ネットのお陰でそういったリモート系もかなり普及していますので、会場に来れなくでもしっかり応援してくれていると僕たちは信じていますので、その応援に応えていくのが僕たちの役目。形はどうであれ応援してくれる人達のためにやっていきます」
関田選手「これから寒くなっていく中で、僕たちはもちろん感染予防の対策をして試合に臨みますし、観てくださる方も感染対策をして沢山の応援をしていただいて、しっかり結果を残していきます」
鵜野選手「どうしても来れない方も沢山いらっしゃると思うので、僕たちは結果を出すことで喜んでいただきたいと思います」

▲この日のVOMに選ばれた山本選手をVC長野トライデンツのアーマツ・マサジェディ監督も高く評価。

続いて、VC長野トライデンツの記者会見がありました。マーマツ・マサジェディ監督に対して、VC長野トライデンツのアピールポイントと、堺ブレイザーズで印象に残った選手についてお聞きしましたので、そのコメントの要約をお届けします。
アーマツ監督「私たちは堺ブレイザーズに比べて1/3しか練習時間がない。一日に7時間しかボールに触ることが出来ない。昼間は仕事をして、夜しか練習は出来ない。それはとても大変です。それでここまでやっている。短い時間での努力は素晴らしいです。集中して目指している。そこが面白いのではないでしょうか。堺ブレイザーズの選手では、関田選手が素晴らしい。強い車のエンジンのようだ。車の車体が悪くても、強いエンジンなら車を引っ張っていく事が出来る。もう1人は山本選手だ。彼のコミュニケーション能力は素晴らしい。チームの力になっていると思う」

2020年の初戦をホームでものにした堺ブレイザーズですが、VC長野トライデンツもこのままでは引き下がれません。虎視眈々と逆襲の牙を研いでいるはず。18日の第二戦が楽しみです!

堺ブレイザーズ情報
https://www.blazers.gr.jp/web/

チケットの購入
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■会場