新生・堺ブレイザーズ2018-2019(11) vsFC東京
バレーボール国内トップリーグV.LEAGUE2018-2019シーズンの堺ブレイザーズの戦いを振り返ってみましょう。今回は、FC東京戦です。
2019年2月3日。
バレーボールのトップリーグであるV.LEAGUE男子も第3レグに入り、レギュラーラウンドの上位6チームが参加するファイナル6進出を視野にいれた戦いになっています。堺市をホームタウンとする堺ブレイザーズは7位。開幕当初なかなか勝ちに恵まれませんでしたが、第3レグに入ってチーム力が結実し、勝ち星を掴むようになってきました。
特にファイナル6入りを争う東レアローズとジェイテクトSTINGSをホームゲームで連続して撃破し、完全に射程圏内に捉えました。
そして2月3日(日)の堺市金岡公園体育館でのホームゲームの相手は、FC東京。今シーズンは、これまで2連勝している相手ですが、油断は大敵です。
■鬼本気DAY
この日は「鬼本気DAY」と銘打って、「鬼カッコいい写真展」など様々なイベントが開催されていました。Jリーグやプロ野球でもそうですが、V.LEAGUEでも、ただ試合を見るだけでなく、お客様に総合的にエンターテイメントを楽しんでもらうという方向性を目指しているようです。エントランスゾーンでは、女性限定でPOLAハンドトリートメント体験ブースがあったり、一円玉落としがあったりと、これまでにない試みにチャレンジしています。
ちょっとグッズコーナーも覗いてみましょう。
昨季から今季にかけて堺ブレイザーズにも新加入選手が増えています。今、ファンが注目しているのはどの選手なのでしょうか? 店員さんにグッズの売れ行きを聞いてみました。
――今よくグッズが売れている選手といえば誰になりますか?
店員さん「そうですね。関田(誠大)選手のグッズは比較的良く出てますね」
――関田選手は、今季新規加入で大活躍中。そして日本代表でもあって注目の選手ですね。
店員さん「同じ日本代表の髙野(直哉)選手もグッズ人気ですよ。あと、ニューフェイスでいえば宮原(貴人)選手も」
さて、そろそろ両チームの練習も終わり、試合開始が迫っています。アリーナへ下りることにします。
■第1セット
堺ブレイザーズのスターティングメンバーは松本慶彦選手(1)、樋口裕希選手(2)、髙野直哉選手(4)、出耒田敬選手(7)、関田誠大選手(11)、ジョルジェフ・ニコラ(ニコ)選手(18)、リベロには山本智大選手(20)。昨日のジェイテクトSTINGS戦と同じメンバーです。第3レグに入ってレギュラーに定着し、昨日も大活躍だった内定選手の樋口選手が今日も活躍できるのか。そしてチーム最年長の松本選手に連闘の影響はないのか。注目点は色々あります。
試合開始前の始球式には、2人のバレーボールキッズが登場。
2投のサーブそれぞれに全員で”コケ”を披露してくれたFC東京の選手たちのサービス精神は相変わらずでした。
堺ブレイザーズの攻撃は、ビッグサーバーのニコ選手のサーブから。
放たれたサーブをFC東京コートの深い所でリベロの橘裕也選手(3)がうまく受けると、上がったボールの下にセッター手原紳選手(16)が回り込んで左サイドへトス。ブロックに跳んだ松本・関田両選手の上から、デロッコ・ジェイソン選手(10)がスパイクを決め、先制点はFC東京に入りました。
次いで、FC東京の栗山英之選手(18)のサーブは、髙野選手が受けて綺麗に関田選手へ返します。関田選手が素早くセンターへトスすると、松本選手が着実に決めます。疲労の影響が懸念された松本選手でしたが、キレッキレの様子。
その後、両チームともに連続得点=ブレイクを取り合う展開で8-7に。堺ブレイザーズが最初に8点に到達して自動的にタイムアウトとなる、ファーストテクニカルタイムアウトになりました。
中盤。
互角の戦いが続きますが、昨日に続き堺ブレイザーズの新星が輝きだします。それは筑波大学在学中の内定選手・樋口裕希選手(2)。競った展開からニコ選手のスパイクでサーブ権をもぎ取ると、樋口選手のサーブ時に堺ブレイザーズは続け様に得点し、樋口選手はサービスエースまで決めてしまいます。サーブには自信があるというだけあります。スコアは14-10と開きました。
FC東京はタイムアウトを取りますが、その後も昨日爆発した髙野選手に出耒田選手が得点をあげ、16-12でセカンドテクニカルタイムアウトも堺ブレイザーズのものになりました。
終盤。
このまま堺ブレイザーズペースでいくかと思いきや、堺ブレイザーズは連続サーブミスで足踏みをしてしまいます。
さらに、FC東京の手原選手と樋口選手がネット上で押し合いになったプレーでは、堺ブレイザーズの得点と判定した審判に手原選手が詰め寄って説明を求めたのですが、チャレンジ対象のプレーではなく、判定は覆らず。この悔しさを手原選手は、プレーにぶつけます。手原選手のサーブは魂がこもっていたのか、連続ポイントをあげ21-21と同点に。
その後は、互いにサーブ権を奪い合うサイドアウトを繰り返して、両チーム1点ずつ積み上げていきます。
25点を超えても両雄譲らずにデュースへ突入。意地をぶつける長い戦いに会場は沸きます。
この息詰まる攻防に終止符を打ったのは意外なプレーでした。FC東京のデロッコ選手がトスを上げた瞬間、主審の手があがり堺ブレイザーズの得点を示したのです。
ダブルコンタクトの反則。
27-25で、第1セットは堺ブレイザーズに。納得できないデロッコ選手は主審に何かを言って、背を向けます。この抗議に対して、審判からFC東京に警告が与えられました。
デュースにまでもつれ込んだ第1セット。どのプレーかがわずかに違えば、セットの勝敗が違っていたかもしれない。ギリギリの戦いに選手も観客もヒートアップします。
■第2セット
セット開始前に、観客席から手拍子が沸き起こりました。
まるで早く試合を始めろとせかすかのようです。第1セットの熱戦の余韻はまだ残っているのでしょう。
サーブはFC東京の手塚大選手(9)から。ジャンプサーブはネットをかすめ、コースをかえてネットイン。虚を突かれた形ですが、松本選手がダイブして片手でボールをあげると、関口選手が右サイドにトスをあげ、髙野選手がスパイク。FC東京の二枚ブロックの手をはじいて、ブロックアウト。相手のサービスエースになってもおかしくない所でしたが、第2セットの初得点を堺ブレイザーズがあげました。
幸先の良いプレーで奪った堺ブレイザーズのサーブは関田選手から。関田選手のサーブも強烈にFC東京コートを襲い、相手を乱します。畳みかけるような攻撃でブレイクが続き5-0と、堺ブレイザーズの一方的な展開となります。
この勢いをそのまま堺ブレイザーズは8-3のスコアで堺ブレイザーズのファーストテクニカルタイムアウトとなります。
中盤戦になって、風向きが変わります。
FC東京の粘り強いプレーが光りだしたのです。
髙野選手のいいサーブで態勢を崩したのに、デロッコ選手のスパイクをストレートに決められたり、手原選手のサーブを樋口選手がはじいてサービスエースにしてしまったりと、FC東京の好プレーが得点に繋がります。堺ブレイザーズの攻撃はサイドアウトされ続け、FC東京はブレイクで点差をじわじわと詰め始めます。
堺ブレイザーズは先行してはいましたが、16-13とじわり点差が縮まり、セカンドテクニカルタイムアウトとなります。
終盤戦。
ここで流れを再び堺ブレイザーズに持ってきたのは、樋口選手のプレーでした。
デロッコ選手のスパイクを一枚でブロックすると、次はサーバーとして得意の対角線上ラインぎりぎりにノータッチエースを決めます。これで18-14と、再び差が開きます。
また、コートには樋口選手に替わって本来はリベロの今富稜介選手(16)がリリーフレシーバーとして入って守備を固めるシーンもあり、変幻自在の選手起用を見せます。これもチームとして成熟してきた現れでしょうか。
そして点数も20点台に入った佳境で輝いたのは、ベテランの松本選手でした。松本選手のジャンプフローターサーブが相手を惑わしてサービスエースに。ここにきてのサービスエース、そしてブレイクは価値の大きいものでした。昨日の記者会見では、連闘での疲労が話題になりましたが、この日は攻撃にブロックにレシーブにと良いプレーを見せ、懸念を吹き飛ばす活躍ぶりです。
そして最後は樋口選手の大学の先輩で、日本代表選手でもある出耒田選手が真ん中からスパイクを決めて25-20。2セットを連取したのでした。
勝利まであと1セット。
後篇へ続く。
■オマケ♪ 堺ブレイザーズギャラリー