『堺かるた』の会発足

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■「堺かるた」で郷土愛を育みたい
「海恋し 晶子が生まれた この堺」
現在30代から40代で、堺で子供時代を過ごした人なら、それが『堺かるた』だとピンと来るかもしれません。
この日かるた大会をサポートしてきた方々が中心となって、「『堺かるた』の会」が発足。その第一回総会が、南海高野線「堺東」駅近くの第一ホテル会場にて行われました。
なぜ、今、かるたなのか? その答えの一つは遊ぶ子供たちの姿の中にあるかもしれません。
『堺かるた』は、かつて別所やそじさんら小学校の先生たちが、児童文芸誌『はとぶえ』の活動を通じて作り上げられたものです。
先日、熊野小学校で行われた「堺かるた大会」では、100名以上の小学生たちが熱戦を繰り広げ、その様子をつーる・ど・堺でもレポートしました。(URL)
勝敗のつくゲームのために必死になり、大会前に札を暗記するなど特訓を重ねてきた小学生も多くいました。そうした真剣な想いや、遊んだ楽しい思い出の中で、自然に題材となっている郷土・堺についての知識が身につくのです。
『堺かるた』の会の主旨は次のようになっています。
一、『堺かるた』を通し、堺市内の子どもたちの郷土愛を育むことを目的とします。
一、『堺かるた』を通し、堺市の文化遺産、歴史上の著名な人物等を堺市民をはじめ多くの人々に伝えることを目的とします。
一、『堺かるた』の進化・発展に取り組み、さらに普及させることを目的とします。
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▲堺市長・竹山修身さん。

 

総会の冒頭で堺市長・竹山修身さんは、この主旨に響く挨拶をされました。
「別所やそじさんが『はとぶえ』を通じて作られた『堺かるた』が24年ぶりに復刻されたことを嬉しく思います。堺をこれから発展させていくためにも、堺の偉人が発信されずにいてはいけません」
今年は「百舌鳥・古市古墳群」を世界遺産に認定してもらうための国内推薦を取る勝負の年。堺からの発信力を高めたいと市長は語ります。
「先祖から引き継いだものを、将来100年、200年引き継いでいく。私は100年の計だと思っていますが、土居川(環濠)の復活もせねばと。堺がもう一度自由と自治の都市としてやっていくには、子供からお年寄りまで一体となって一歩一歩積み上げていくことです。これは『堺かるた』の復刻への努力と同じですね。私は東京の孫にも『堺かるた』を教えています。『堺っこ体操』で体を動かし、『堺かるた』で教育する(笑) この決起大会は、大きな契機になると思います。これからもプライドを持って、自己肯定感を持って普及していってください」
力強い言葉に会場から拍手が沸き起こりました。
■堺出身であったことが発奮の糧になるように
「『堺かるた』は堺の誇りです。堺の宝物と思っていいと思っています」
と語るのは、次いで壇上に上がった『堺かるた』の会会長・南英樹さんです。
南さんは、『堺かるた』で二度の感動を味わったのだそうです。
「最初の感動は、30数年前に送られてきた『堺かるた』の封を切った時。字札を詠むとすごく分かりやすい。5・7・5のリズム。別所先生が書いておられたのですが、郷土愛を育むにはまず知ること。まずリズムをもって(体に)沁み込ませ、記憶の引き出しにしまいこんでおいて欲しい」
「堺かるた大会」でも、子供の応援に来た保護者からも「懐かしい! 私もよく遊んだ『堺かるた』を子供がやってくれて嬉しいんです」といった声が聞かれました。かるたの力とは何十年たっても記憶の引き出しから蘇って来るもののようです。
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▲復刻された『堺かるた』。ケースの装いも新たになりました。
しかし、親世代が遊んだ『堺かるた』は、札の紛失などで次第に数を減らし、だんだんと活用されなくなっていきます。その復活は「堺北西南西ロータリー」が記念事業として復刻するまで、長い時間をまたねばなりませんでした。
「この度復刻された『堺かるた』の封を切った時、私は同じ感動を覚えたのです」
二度目の感動が訪れたのは、何十年ぶりのことでした。
堺かるた大会を経て、南さんたちは大人に何ができるのかを考え、『堺かるた』の会を立ち上げることにしたのです。
「子供たちはすぐに大人になって、全世界に出ていくでしょう。堺出身の企業人や政治家になる人もいるでしょうが、つまづくことだってあるでしょう。そんな時は、堺出身であることが発奮の糧になるはずです。『堺かるた』を思い出して、『海恋し 晶子生まれた この堺』……『そうや。私は晶子の堺出身だったな』と頑張る気持ちが湧いてくるはずです。この発奮の糧は大きな財産分与と言えるのではないでしょうか」

 

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▲南英樹さん(右)。「五箇荘かるた」などを作られた小松清生さんと。

 

南さんは「周知にまさる叡智なし」と、『堺かるた』を一層周知するアイディアのある方はぜひ事務局に連絡して力を貸してほしいと述べられました。
■若い世代が次の世代へと引き継いでいく
総会に続いた懇親会の会場で、『堺かるた』の会に賛同された方々からお話を伺いました。
老舗果物店「千総」代表取締役・西辻宏道さんは、泉北育ちで『堺かるた』のことはご存じありませんでした。
「郷土愛に馴染みやすく、子供達にはいいですね。ぜひやりましょうと賛同しました。『堺かるた』をリニューアルされるなら、泉北にも拡大して欲しいですね」
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▲「千総」代表取締役・西辻宏道さん。
前衆議院議員の森山浩行・百恵ご夫妻にも伺うと、浩行さんはまさに『堺かるた』世代。
「懐かしいです。先ほど来られていた小学生の恩師ともお会いして話していました」
百恵さんは群馬出身ですが、群馬には誰もが知るカルタがあるんだそう。
「『上毛かるた』といって、群馬の全小学生が必ず冬場にはやって、群馬のこと、群馬の偉人のことを知って愛県心を持つんです。堺でも郷土のことを知って欲しいですね」
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▲前衆議院議員森山浩行・百恵さんご夫妻と、書道家の山岨さんの書による『堺かるた』の読み札。

 

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▲「一字一字大切に書かないとと字を書きました」と書道家の山岨緑苑さん(右)。題字を書かれた同じく書道家の大前幽香さん(左)。

 

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▲『堺かるた』にちなんで郷土の歌を歌われた谷内暁子さん。

 

会も滞りなく終わり、堺北西南西ロータリーで『堺かるた』復刻に尽力された勝間靖彦さんから感慨をお聞きしました。
「立派な会が出来て嬉しいです。こんな風に発展するとは思っていませんでした。そういう意味ではありがたい。ロータリーは興すのが仕事。取り上げたことが進んでいくことが、本来の目的なんです」
『堺かるた』が復刻され、『堺かるた』の会が出来て終わりではない。これからそれをどう引き継ぎ、発展させていくのか。それが次の世代の役割ということでしょう。『堺かるた』の会の今後の活動に注目です。

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