こんにちは。だるま自転車です。
南海電鉄の堺東から北へ約600m。
ボクの足だと10分ほど走ると、どこからともなくコーヒー豆を煎るいい匂いが。。。
その匂いが、コーヒーツアー1件目の目的地、ジエットコーヒー株式会社さん
が近いことを知らせてくれます。
「まいど!」
声のする方へ振り向くと、愛嬌たっぷりの笑顔で、大久保社長が立っていました。
創業は昭和39年。50年近く堺の地でおいしいコーヒーを販売し続けてきた、ジエットコーヒーさんの話を聞かせていただきました。
お父さんは、牛乳屋さん
日本のコーヒー牛乳文化の火付け役
コーヒー大量生産の立役者
日本刀とコーヒーのコラボ
などなど、ジエットコーヒーさんのあんな話やこんな話が聞けました。
日本のコーヒー史には欠かせない、いろんな歴史を持った、ジエットコーヒーさんの話のはじまりはじまり〜♪
・乳業屋さんからコーヒー原料屋さんへ
ジエットコーヒー株式会社の創業者は、現大久保社長のお父さんで、大久保社長は2代目になります。お父さんはもともと岡山県の津山市で、兄弟で乳業屋さんをされていたそうです。牛乳や乳製品を販売する傍ら、喫茶店もされていたそうですが、そこで牛乳以外にも原料として売っていたのがコーヒー豆でした。
関西の方で乳原料を売ることが多かった関係で、関西にもツテがあり、コーヒー豆の需要も伸び始めていたことから、コーヒー専門の卸屋さんとして、堺で創業することになったそうです。
・ジエットコーヒー創業当時の意外なコーヒー牛乳事情
原料としてのコーヒー豆をおろしていたジエットコーヒーさんでは、コーヒー牛乳用のコーヒーをよく売られていたそうです。当時の話をよくよくきくと、作り方が今と大きく違っていて、びっくり。
なんと当時は、とれたての牛乳とドリップしたてのレギュラーコーヒーを瓶に一本一本詰めて、近所に配達していたとのこと。工場でどんどんと作っていく今とは違って、新鮮なコーヒー牛乳が毎日飲めるなんて、うらやましいな〜。
・日本のコーヒー業界に大きな変化を起こした抽出機の誕生
インスタントコーヒーがなかった当時は、レギュラーコーヒーを一回一回ドリップしていたので、なかなか大変な作業だったようです。そこで、大久保社長と同じようにアイデアマンだった大久保社長のお父さんは、なんとか効率化できないかと考えました。試行錯誤の結果できたのが、蒸気と水を使ってコーヒーを作る抽出機です。
こちらがジエットコーヒーさんの抽出機です。
抽出機にコーヒーをセットして、ヘッド(上の部分)に水と蒸気をつなげます。すると、ミキシングされた上で、ジェット噴射のようにプシューとお湯が噴出して、香ばしいコーヒーが下から出てきます。
ジエットコーヒーという会社名は、この様子がジェット機みたいなことからとられたそうです。
・あちらこちらで引っ張りだこの抽出機
大久保社長のお父さんは、出来た抽出機の1号機を早速大阪の毎日牛乳さんに売り込みにいきました。当時はそのような装置は日本にはなかったので、採用されることに。
さらにそこで、業界紙に取り上げられたおかげで、注文が殺到!多い時で月300台ものペースで装置が出ていたそうです。
その後、全国へ売り込みへいきました。その方法とは、コーヒーの抽出の仕方、コーヒー牛乳の作り方を教えて回り、抽出機を販売するという方法です。長い時は、1ヶ月20日以上出張で、殆ど家にいませんでした。
最初は、抽出機の販売だけでしたが、原料のコーヒーも販売することになりました。
原料だけではなくて、コーヒー牛乳を広げる立役者になったジエットコーヒーさん。当時は農業高校の教科書でのコーヒー牛乳の紹介の欄でジエットコーヒーさんの名前が載っていたそうですよ。ジエットコーヒーさんの歴史は日本のコーヒー界の歴史そのものですね。
・ジエットコーヒー株式会社が作るコーヒーの未来 その①
「微粉末コーヒー」
日本のコーヒー史と共に歩んできたジエットコーヒーさんですが、日本のコーヒーの未来もどんどんと作っています。原料向けとしての今のイチオシはコーヒー豆の微粉末です。
こちらが微粉末のコーヒーです。コーヒーの未来が詰まっています。
特別な方法でコーヒー豆を細かく粉にしたものです。コーヒーのエキスを乾燥させて作ったインスタントコーヒーと違って、豆そのもののしっかりとした香りや深いコクを出せるというスゴイ商品。コンビニでもおなじみのあのパンのクリームやスイーツに使われたりと、着々とその活躍の場を広げています。
・ジエットコーヒー株式会社が作るコーヒーの未来 その②
「玉鋼焙煎 堺珈琲」〜誕生秘話〜
ジエットコーヒーさんでは原料向けだけでなく、僕たちのような消費者向けにもコーヒー豆の小売りをされています。
色々なコーヒーや関連グッズが目白押し
お店の看板娘のお二人です!
小売向けのイチオシは知る人ぞ知るレギュラーコーヒー
「玉鋼(たまはがね)焙煎 堺珈琲」です。
こちらが堺珈琲です。玉鋼の歴史の重みを感じる、味のある
かっこいいデザインです。
大久保社長の代から小売にも力を入れています。当初、大久保社長はコーヒーを今までと同じように売るのではなくて、何か違う切り口で売りたいと考えていました。
「丁度テレビで30分ほど刀鍛冶の特集をやっていたので、なんとなく見ていたつもりが、その内容に衝撃を受けました。というのが、その技術力の高さ。刀鍛治によって作られた日本刀の刀身を特別な機械で調べると、どこも均一の炭素量になっているそうなんです。これは本当に微妙な加減で変わる数字で、さすが1000年以上の歴史を持つ鍛治の技術だと思いましたね。そこで思ったんですよ。これにコーヒーをなんとか絡められないか、と。実験的に玉鋼でコーヒーを焙煎したところ、これが不思議なぐらい良い味になったんですよ。これはいける、と思って、すぐに特注の焙煎機を作ってもらいました。」
すごい行動力です。そんな大久保社長の情熱によって、ついに看板商品の一つ、”玉鋼焙煎 堺珈琲”が誕生するのです。
こちらのSLのような力強い姿をした装置が、玉鋼でできた焙煎機です。
こちらで紹介した堺珈琲、ジエットコーヒーさんの会社に併設されている売店やネットショップで購入できるのですが、お店でプロが淹れる堺珈琲を楽しめるのは、地元堺の紙カフェだけです。千利休で有名な堺らしく、茶こしでこして、おうすに入って出てきます。
一見珍しいスタイルですが、不思議とその器でいただく堺珈琲は全く違和感がありません。それどころか、堺珈琲独特のどこか甘みを感じるようなやわらかく、それでいて芯のある味を引き出してくれています。和菓子ともすごく相性がよくて、1度と言わず、何度でも味わう価値がある、珠玉の逸品です。
今回のご紹介はここまでです。