祝え! ユネスコ世界遺産登録5周年~もずふる古墳の祭典(2)

 

 

百舌鳥古市古墳群のユネスコ世界遺産登録5周年を記念し、2024年7月初旬二つのイベントがあべのハルカスで開催されました。7月6日、7日の2DAYSイベント「みんなでもずふる5周年をお祝いしよう!」(以下、略称【みんふる】)出店ブースをご紹介した前回記事に引き続いて今回はステージイベントの様子をレポートします。(第一回第三回

 

▲左からハニワ部長、もずやん、司会の岡山さん、つぶたん、まなりくん。お客様がぎっしりでステージには近づけませんでした~。

 

7月6日。開演前からステージは何重もの人垣に取り囲まれていました。見物客はステージ回りでは収まりきらず、ステージを見下ろせる吹き抜けのステージ上階にも鈴なりになっています。オープニングに登場したのは、お祝いにかけつけたという百舌鳥古市古墳群関連のマスコットキャラクターのみなさん。堺のハニワ部長、羽曳野市のつぶたん、藤井寺市もまなりくん、四天王寺大学のはにぷー。そして大阪府のもずやん。マスコットたちはあいさつもそこそこにステージを降り、フロアでの撮影会へと移りました。

 

▲左から笑い飯の西田幸治さん、哲夫さん。二人の古代人衣装を作成した四天王寺大学ゼミの秋田悠心さん。解説役の辰巳先生。笑い飯のお二人は古墳クイズでの、お客様対応も丁寧で岡山さんのステージ進行もスムーズに。なにげないことですが舞台人のプロフェッショナルぶりに感心させられました。

 

オープニングがひと段落し続いて登場したのは、お客様お待ちかねのお笑いコンビ笑い飯の二人でした。姿を現した二人の衣装は、普段と違う貫頭衣。古墳イベントに合わせた古代人スタイルです。
実は、この古代衣装は笑い飯がイベントに出演することになった理由と関係しています。古代人の頭蓋骨をもとに復元した人物像が、笑い飯の西田幸治さんにそっくりだとネットで話題になったのがきっかけだったとか。
さて、ステージでは、笑い飯に司会の岡山瞳さん、そして解説役として四天王寺大学の辰巳俊輔先生が登壇し、古墳トーク&古墳クイズが繰り広げられます。ここで活躍したのが歴史好きで知られる笑い飯の哲夫さん。出身が箸墓古墳のある桜井市だそうで、なじみの深い古代や古墳に関する知識をよどみなく披露し、辰巳先生をして「僕、必要ありませんね」と言わしめるほど。
一方、集まったお客様の古墳LOVE度もなかなかのもの。古墳クイズにほぼ全員が全問正解。プレゼント当選者を決めるのに、じゃんけん大会で人数を絞ることになるほどでした。
笑い飯さんの出演した古墳クイズは15分ほどでしたが、古墳ファンによる古墳ファン大満足のイベントであることを印象づけるステージといえました。

 

▲四天王寺大学の古墳音頭を楽しく踊り、ステージと客席でキメポーズ。後ろにチラ見えしているのが、四天王寺大学のマスコットはにぷー。

 

次のステージは古墳音頭。ステージに立つのは、先の笑い飯の古代衣装を制作した四天王寺大学教育学部坂本ゼミの学生さんたち。集まったお客様は、先ほどとちょっと違って小さなキッズたちの姿が多く目につきます。古墳音頭は、ゼミの先輩たちが創り受け継がれてきたものだそう。お客様に踊り方のレクチャーをしたあとは、希望する子どもたちをステージにあげ、一緒に賑やかに踊りました。

 

▲四天王寺大学教育学部坂本ゼミの皆さん。

 

その様子を見ていると、古墳音頭はなかなかあなどれないように思えてきました。踊りを通して子どもたちが、郷土の歴史に親しんでいくというのは意義のあることでしょう。また、古墳音頭を継承し、子どもたちに伝えていくことで、学生自身が教育者として育まれていくことにもなるでしょう。将来、小学校にあがった子どもたちと、教育学部の学生さんが先生になって再会する、なんてこともあるかもしれませんね。

 

▲古墳トークに登壇した松永友美。真摯に語る古墳保護の歴史にお客様も耳を傾けていました。

 

つづいて紹介するステージは、紙カフェ関係者にとってはおまちかねの古墳トーク。登壇は、元紙カフェ店長の松永友美と、古墳グッズ販売の大蔵屋さん。二人とも華やかな古代人衣装がきまっていましたが、これは身分の高い古代人の衣装を想像で再現したものということでした。
松永の古墳トークで特筆すべきものは、在野の古墳研究者として名高い宮川徏(すすむ)先生の活動に触れたこだりです。堺出身在住での宮川先生は少年時代から、古墳発掘に親しむ中で、古墳保護活動にも関わることになります。戦後の日本では、都市開発が進み、土砂を採取し、道路や宅地を広げるためなどの理由で古墳が破壊されはじめていました。イタスケ古墳も破壊の憂き目にあっていた古墳でしたが、宮川先生ら市民が保護活動を起こしたことによって、ついに開発は断念されます。このイタスケ古墳の保護活動がさきがけとなり、全国に波及します。もし、イタスケ古墳の保護活動がなければ、今日のように数多くの古墳が破壊を免れることはなかったのかもしれないのです。

 

 

▲もずふるカードコレクションを披露する大蔵屋さん。すでにコンプリートしていますが、最近世界遺産のエンブレムが印刷されたものにリニューアルされたので、そちらも新たにコンプリートを目指すそうです。

 

「イタスケ古墳の堀には、コンクリートの橋が半分残っています。これは、工事のブルドーザーをいれるための橋だったのですが、破壊しようとした歴史の証人としてあえて残されたものなのです」
遺産とするなら、まさに負の遺産なのですが、ユネスコ世界遺産の主旨を鑑みれば、世界遺産にふさわしいものといえるでしょう。そもそもユネスコ世界遺産は、第二次世界大戦が国々や民族同士の相互不理解によって発生したという反省から、世界各地の多様な自然や文化、歴史を記憶し、相互理解に役立てようというもの。人類の多様性を顕彰する事と同じぐらい、人類の愚かしさを記録することも大切なのです。古墳を破壊しようとし、それを市民が止めたのだという歴史の一コマも、忘れずに語り継いでいきたいものです。
なお、このコーナーでも古墳クイズが主題されました。前回より難易度は高めであったにも関わらず、正解率の高さは相変わらず。古墳マニアおそるべしでした。

 

▲はに丸くんとひんべえ。そして辰巳先生。

 

さて、最後の紹介になるのは、二日目7月7日のステージです。笑い飯と同等以上の熱気に包まれたステージの主役ははに丸くん! はに丸くんは、NHKの子供向け番組「おーい! はに丸」に登場する埴輪の王子様。放送は1983年から1989年と20年以上前なのですが、お客様の中には当時生まれてなかったであろう人も、当時すでに幼児でなかった人も沢山おり、時代も世代も超えた人気の高さがうかがえます。はたして観覧ゾーンの後ろから、はに丸とお供の馬、ひんべえが登場すると、それを迎えるお客様の目が輝きを放ちます。なにしろこんな間近で見られる機会なんて、これまでどれほどあったでしょうか。
昨日に引き続き、古墳トークの博士ポジションに辰巳先生が登壇。古墳トークでは、はに丸くんのキメ台詞「はにゃ」やひんべえの「はに丸様~」を堪能。古墳ファンにとって、知識と癒しのひと時となったようでした。

 

次回記事では、もうひとつの会場で開催されいた『古墳とハニワと星月夜』の様子をレポートします。

第三回につづく)

 

 

 

 

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