日本製鉄堺ブレイザーズvsジェイテクトSTINGS 3/17

 

2024年3月17日。大浜だいしんアリーナにて、日本製鉄堺ブレイザーズの2023-24 V.LEAGUEレギュラーラウンドの最終戦が行われました。対戦相手は、昨日に続きジェイテクトSTINGS。前日の試合をストレートのセットカウント3-0で勝利し、ファイナルステージ進出を決めている日本製鉄堺ブレイザーズは、この日はメンバーを大きく変更してきました。
セッターには赤星伸城選手(22)。アウトサイドヒッターは安井恒介選手(3)、重留日向選手(11)、鵜野幸也選手(23)。ミドルブロッカーに出耒田敬選手(7)、梅本鈴太郎選手(18)。リベロには堀江友裕選手(5)と森愛樹選手(6)。いつも通りのリベロの二人と、昨日の試合で松本慶彦選手(1)の負傷により交代で入った出耒田選手を除けば、いずれも若くベンチスタートの多いメンバーばかり。ファイナルステージを睨んでレギュラー陣の休息と選手層の底上げを狙ってきたということでしょう。

一方のジェイテクトSTINGSは、すでにファイナルステージには不進出となっていますが、レギュラーメンバーを揃えており、最終戦勝利への強い意志を感じます。簡単に勝たせてくれる相手ではなさそうです。

 

▲今シーズン初スタメン。笑顔でプレー続けた重留日向選手(11)。

 

試合が始まってみると、その懸念はあたります。ジェイテクトSTINGSの気迫に押されたのか、試合経験の乏しさ故か、日本製鉄堺ブレイザーズの選手たちのプレーには硬さがみられ、精彩を欠きます。
第一セットは、序盤から先行される展開で、後半に入ると一気に引き離されて16-25と大差でセットを落とします。
第二セットも、この流れが続き折り返しのファーストテクニカルタイムアウト時点で、7-12と大きな差をつけられてしまいます。しかし、これだけ差をつけられたことで、何かふっきれたようで、ようやく逆襲がはじまります。鵜野選手のサーブ時に6連続得点で18-19と1点差に追いつきます。その後、ジェイテクトSTINGSもお返しとばかりに連続得点で19-24とセットポイントに到達します。これに対し、日本製鉄堺ブレイザーズは粘りを見せ安井選手のサービスエースを含めた4連続得点で23-24と猛追を見せますが、あと一歩及ばす。最後はウルナウト選手の強引なバックアタックの一撃に沈んだのでした。

 

▲強烈なサーブが武器の”ビッグボティ”こと安井恒介選手。

第三セット。後の記者会見によると、開き直ってプレーに挑んだのがセッターの赤星選手でした。
「第三セットの頭ぐらいから、楽観的に行こうと思った」

赤星選手に触発されてか、第二セットで「らしい」プレーを見せることが出来たのが良かったのか、ようやく若い選手たちの躍動が見られたセットになりました。幕開けは、重留選手の3連続得点から。これも実は赤星選手から重留選手に「お前にあげるから」の一言があったのだそう。狙いがズバリの赤星選手と、それに応えた重留選手の活躍もあり、この日ようやく日本製鉄堺ブレイザーズが12-9でファーストテクニカルタイムアウトをとります。

 

▲どんな場面でも余裕をみせるセッターの赤星伸城選手。サーブやバーノン選手も評価するブロック力も魅力。

 

後半に入ると、今度は安井選手が3連続得点で15-10に。15点目のスパイクを決めた時には、3000人を超える観客の歓声がこの日一番の大音響で会場を揺らしました。しかし、その後ジェイテクトSTINGSの意地の猛追で19-19に。さらに突き放され、最後は藤中優斗選手(1)のスパイクをコートど真ん中に決められて勝負あり。22-25のスコアでセットカウントは0-3と昨日とは逆の結果になったのでした。

 

■記者会見

レギュラーシーズン最後のホームゲームのセレモニーの後、記者会見がありました。若手メンバー中心だったこの試合に出場した選手たちから、安井、重留、梅本、赤星の四選手に来ていただきました。

まずは試合を振り返っての感想から。

安井選手「メンバーがガラッと変わったので、まずは若さを出してしっかり盛り上げようっていう風に取り組んでたんですけれど、序盤から自分たちのミスが多かったりとか、どうしても単発ミスであったりとか、(相手の)エースというのが多かったのでなかなか流れがつかめなかったんですけど、途中からサーブを攻めていこうということで、相手を崩したりだとか、何回かブレイクを取る場面が多くて、やっぱり終盤になればなるほど、いいバレーが出来たと思うんですけど、ブロックのちょっとした甘さだったりとか、球際の弱さがでてしまったのかなというのは思いました」

重留選手「レギュラーラウンドの最終戦ということで、こんなにも多くのお客さんに診てもらいながら試合をするのが、僕たちにとって幸せでしたし、勝つことができなかったんですけど、チームとしてファイナルに向けて、僕たちもファイナルに出る機会があると思うので、それに向けてしっかり準備していこうというふうに思っています」

梅本選手「今回ファイナルに向けての最後の試合ってことでレギュラーラウンドで最後の試合にもなるんで、みんなで勝ちにこだわってきたつもりだったんですけど、序盤に先ほど安井が言いましたように、僕たちのミスが目立ったことでなかなか思うような展開にならなかったんですけど、後半それを修正しつつ、ところどころいい場面では、みんないいプレーが続いてたんですけど、最後の最後で甘いところが出てしまいました。そこが今回の反省点であり、ファイナルに向けてそこを修正しつつ、チーム一丸となって頑張っていければと思います」

赤星選手「今日の試合は1セット目まではあまり出てないメンバーというかBチームで行ったので硬さが見られたのかなっていうのが印象でしたけれど、3セット目の初めぐらいに、自分の中で楽観的に行こうみたいな感じで、背負いすぎてるなぁと思って。そいう考えでやったらみんなも期待というか、みんなの持ち味とかが、はっきりした試合だったと思いますし、ジェイテクトSTINGSさんはAチーム、フルメンバーでしたけれど、うちが本当に緊張もせずに、あれやったら勝てたのかなっていうのが今日の感想で、ちょっと悔しかったというのがあります」

――今日は、いつもと違うメンバーでしたが、スタメンが自分たちであると告げられたのは、どのタイミングで、その時どんな意気込みや思いをもたれたのでしょうか?

安井選手「明日スタートっていうのを告げられたのは、多分みんな一緒のタイミングだったと思います。昨日のジェイテクトSTINGSさんに勝った後ですかね? みんな戻る前に千葉監督からスタートねっという風に言われたので。そこで言われた時の気持ちとしては、あまり深く考えずにやろうと思ってましたけど、実際試合になるとちょっと力みが出てしまったりだとか、硬さというのが最初は全員があったと思うので、そこをいかにファイナルでも修正していくことが大事かなと思いました」

重留選手「僕はこのメンバーでやることがすごく楽しみで、言われた時も、試合中もすごく楽しくて、とにかくチーム全体で、安井選手もそうですし、赤星選手も、(梅本)鈴太郎選手もそうなんですけど、とにかく楽しんでやろうという風に思ってたので、試合は負けてしまったんですけど、僕としては楽しかったの一言に尽きます」

梅本「昨日ベンチアウトが僕だけだったので、今回はそれを踏まえて出るんだったら、しっかり活躍できるようにと思って、昨日から準備をしっかりして、結果的には僕自身のプレイには不満が多かったのですが、その分準備の部分では無駄はなかったのかんと思っています」

赤星「自分も言われた時は、安井選手と同様であまり深くは考えてなかったんですけど、その後に(重留)日向とか安井とかと一緒に喋っている中で、いつもやっている通り、楽しんだ方がいいんちゃうか? という話になりました。今日の試合も、日向が全部言ってくれたんですけれど、自分も本当に負けたのは悔しいですけれど、このメンバーでやれたことがすごく嬉しかったです」

――赤星選手に。絶対的なエースのバーノン選手らがいない中で、誰のどの特徴を活かそうとか、組み立てとかはどんな風に考えていましたか?

赤星「最初はクイックを通せればサイドが楽になるかなと思ったんですけれど、ジェイテクトさんも、すいう対策もしたのかわからないですが、そうもいかず、途中から日向と安井と(鵜野)幸也さん中心で組み立てていって、クイックが通らないということは、やっぱりクイックにブロックが厚く来ているということなので、その分日向のパイプだったり、幸也さんのパイクとか、クイックをBに入れたら、そっちにブロックが行くんで、そこで安井を使ったりというのはしました」
――重留選手。第三セットの冒頭で、連続して重留選手の点数が入るシーンがあったかと思いますが、やはりその時は赤星選手の意図を感じられたりしていらのでしょうか?
重留「はい。第3セットが始まる前から、『お前にあげるぞ』と言われたんで、『もってこいや』ってそういう話をして結果的には上手くいったんですけど、最終、沢山の点を決められなかったことは申し訳ないなという風には思っています」
――第三セットで重留選手が連続得点を取っている時も、歓声がものすごくありましたが、地元堺のファンの方もいらっしゃっており、そういう地元堺でプレーしたことに関する想いとかは何かありましたか?
重留「まさか僕がこの堺で、この場でプレーできるなんて思ってもなかったですし、本当に僕は幸せ者だなという風に感じました。ファンの方々もちらほら『東百舌鳥小学校出身です。一緒の同級生です』とか言ってくださる方もいたので、なんかこう嬉しいなという風に思いました」

――ミドルブロッカー陣に怪我の方が多く、今日も出耒田選手が怪我されたかという時にヒヤっとしましたが、梅本選手にかかる期待や責任も多くなってきたのではないかと思うのですが、その辺りの思いなどはどうでしょうか?

梅本「僕たちブレイザーズのミドルブロッカー。松本さんであったり、出耒田選手であったり、二人は特に長年バレーボールをやる中で、多く怪我をしている選手なので、いつどこでもその可能性があるっていう状況があるので、僕たち、秋間もそうですけど、全員がどの場面でも出られるようにっていうので、リーグが始まる前からずっと練習を続けていて、そこのために頑張っているので、プレッシャーは特にはないかなと思います」

――安井選手は、ピンチサーバーとして出場機会が多かったのですが、ご自身としてはこのシーズンで自分を磨けたなとか、印象はいかがでしょうか?

安井「ずっと首のヘルニアになったりして、2か月ぐらいチームを離れたりとかがあって、その前まではサーブの調子が良かったりだとか、いい場面が多かったので、メンタル的にも攻める気持ちが出たりっていうのがあったんですけど、バレーボールを2か月離れてから復帰したら、なかなか調子があがらなかったりとか、ボール感覚も全然自分の中で満足いく場面が少なかったので、ずっと苦しんでいたんですけど、今日の試合で自信を持っていけて、やっぱりエースで2点取ったりだとか、ああいう2セット目のセットを取られるという場面で、あれだけせめて点差を縮めたということで、ファイナルにも自分の気持ち的にも自信つくと思いますし、そこに関しては良かったかなと思います」

――最後にファイナルに向けて皆さんから一言お願いします。

安井「この土日、最終ラウンドということで、これだけ大きな声援だとか、会場まで足を運んでくださるファンの方々がいるんですけれど、ファイナルは東京であるので、やはり全員が来れるかと言われたらちょっと難しいところがあると思うんです。そういうファンの皆様の気持ちも背負って自分たちは闘わないといけないと思っているので、全力を出しつつ、しっかり結果にこだわるということをファイナルでやらなければ、内容が良くても負ければ一緒だと思っているので、しっかり勝つってことが本当に大事だと思っているので、そこだけを目標にしてやっていきたいなと思います」

重留「安井選手と同じになるんですけども、今日来てくださったファンの皆様の分もしっかり頑張るというのが一つですし、トーナメントというとこで5位通過もほぼ関係なく1位を狙えるので、今回のトーナメントでも1回きりの試合をしっかりチーム一丸となってしかり闘っていけたらいいなという風に思います」

梅本「(試合後のセレモニーで)キャプテンの山口選手がおっしゃったと思うんですけど、下剋上ではないですけど、下から這い上がっていくつもりで一生懸命優勝を目指して頑張っていきます。今シーズン頑張ってきたので、最後までその目標を忘れずに頑張っていきたいなと思っています」

赤星「ファイナルステージはトーナメント戦なので、五位通過しましたけど、本当にトーナメントっていうので一発勝負なので、いい雰囲気で出来るように頑張ってきたいと思います」

これからの日本製鉄堺ブレイザーズ、そして日本のバレーボール界での活躍が期待される四選手。まずは一歩一歩目の前の試合や練習に取り組んでいるという日々が垣間見える記者会見でした。
この後、ファイナルステージは早々の敗退となってしまいましたが、ぜひ次シーズンでの巻き返!

 

 

大浜だいしんアリーナ

 

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