インタビュー

アーティストをバックアップする画廊! Arts-B Gallary(1)

鳳駅から商店街を抜けて丘道をくだり、冬風を感じながらしばらくいくと角地の白い建物がめにつきます。白い扉の向こうには、ガラス越しに沢山の絵画が飾られているのを垣間見ることができます。
ここはギャラリー「Arts-B Gallary」。この日は、毎年この時期恒例になっているという企画展「アートの無人販売所」が行われているというので訪ねてみたのですが……アートの無人販売? でも、そこにはオーナーの土居勝さんがいらっしゃるではありませんか? これはどういうことなのか。土居さんにお話を伺うことにしました。

 

■アーティストをバックアップする

 

▲ギャラリーオーナーの土居勝さん。

 

筆者が土居さんとお会いしたのは、実は今回がはじめてではありません。もう6年ほども前になるでしょうか。土居さんは堺市のスタートアップ企業を応援する施設S-cubeにオフィスを構えたばかりで、アートにかける思いを語っておられました。
それから月日が経ち、土居さんはギャラリーオーナーへと転身されたわけですが、さてその原点は?

土居「Arts-Bを立ち上げたのは、もともと僕は絵が好きだったんですが、町中の生活空間でアートを見る機会がない。特に若い作家たちとか、障害を持った人たちのアートを見る機会がないことが気になっていました。だから、それを見る機会を作りたいというのが一つの理由です」
--まずアート自体が町中に少ないですから、いわんや若い人、障害のある人の作品となると、さらに少ないのが現状ですよね。
土居「Arts-BのBというのはバックアップという意味なんです。アーティストを支援するためには、まず展示する場所を作ってあげること。そして彼らの絵を売って上げること、経済的に応援すること。その2点につきるかな僕のできることは」
--どちらも大切ですね。
土居「そこでS-cubeに入って、展示場所として色んなカフェを借りたり、(堺市立町家歴史館)山口家住宅の部屋を借りたりしてきました。それを5年以上続けてきたのですが、やはり自由にできる自分自身の場所が欲しいと思うようになってきたんです」
--というのは?
土居「たとえば山口家住宅は空間として本当に僕も大好きな場所ですが、重要文化財なので釘ひとつ打てない。また堺市の施設なので、絵に値段をつけて販売することができないのです」
--それではアーティストを経済的に支援するという目的を果たすことが難しいですね。それで、この場所にArts-B Galleryをオープンされたということなんですね。

 

■こだわりがないのがこだわり

調度も白一色に統一されたまさにホワイトキューブのArts-B Gallery。

 

ギャラリーと一言で言っても、場所をアーティストに貸すレンタル画廊(貸し画廊)と、ギャラリーから発案して企画展を立ち上げる企画画廊に大きくわけられます。もちろん、企画の合間にレンタルをするとか、その逆という画廊もあります。

--Arts-B Galleryさんは、企画画廊なんですよね?
土居「そうですね。パンフレットにはレンタルも書いてますが、企画画廊ですね」
--堺で企画画廊といえば、長らく山之口商店街のギャラリーいろはにさんしかなかったですよね。何年か前に鳳のこの本当にすぐ近くにRelicさんができて、そしてArts-B Galleryさん。増えましたね。
土居「そうですね。住吉橋ギャラリーさんも、基本レンタルはレンタルですけれど、いろんな企画をされていますね。昔はもう少しあったそうですが、長い間、この80万都市で企画画廊がギャラリーいろはにさんだけだったというのは、ちょっと寂しい。本当に寂しい。まぁ僕がやっている企画画廊も、そんな大したことをやっているわけじゃないですが」
--そうでしょうか。レンタル画廊だってもちろんいいのですが、企画画廊というのは文化度の目安のような気がします。キュレーターのフィルターが一つ入るだけで違ってくるんじゃないですか?
土居「そういう評価をしていただけると嬉しいですが、責任が出てきますね(笑)」

 

▲今回展示されている作品も色々。系統やジャンルにこだわりはない。

--では、これまで企画画廊としてどういうテーマで企画に取り組んでこられたのですか?
土居「それを言われると一番辛いな。いわゆるギャラリーには系統というのがあるんです。色んなギャラリーがありますが、前衛芸術ばかりやっているギャラリーとか。でもうちはそういうのは全くない。節操がないというと、節操がない。今回も見てもらえばわかると思いますが、ジャンルを問わずぐちゃぐちゃでしょう」
--そうですね。画材も色々だし、具象もあれば抽象もあるし、デンタルフロスも回ってますね(笑) でも節操がないというのも、ある種1つのこだわりじゃないでしょうか。最初におっしゃっていた若い人や障がいのある方の作品を置きたいとおっしゃっていた事にもつながるのではないでしょうか? ジャンルやテーマではなく、こういう作家さんにこだわりたいというのがあるのでは?
土居「そうですね。1つは、僕は障がいをもっている方の作品が好きなんですよ。それは1つの僕が好きなジャンルです。そして学生さん、美術学校を出て何年か経ってるという若手の作品。僕は画歴とか、そういうのはどうでもいいんですよ。障がいのある方の作品と、若い人の作品を展示したい。それには理由があるんです」

さて、土居さんがこだわる理由とは一体なんなのか? 次回に続きます。

 

Arts-B Gallery
住所:堺市西区鳳南町5丁517−115 517番地115
電話番号:072-289-5281

 

 

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