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まちあるき No.101

雪景色の抱き人形たち

11/21~24 三浦孝裕 抱き人形展

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ワンアンドオンリーな作品世界を作り続ける人形作家三浦孝裕さんの「木の抱き人形展」が、鳳翔館にて開催されています。人形単体の完成度もさることながら、インスタレーション(空間展示)として計算しつくされた三浦さんの作品。果たして今回は......。


■音のない雪景色に子供たちの笑い声が聞こえる
雪に覆われた幻想の世界が、そこにありました。昔ながらの防寒具に身を包んだ子供たちが雪合戦ではしゃぎ、カマクラの中で暖を取る。聞こえないはずの子供たちのはしゃぐ声が聞こえてくるかのようです。
「会心の出来だよ」
あの完璧主義者といっていい三浦さんも、今回の作品の出来にはさすがに満足している様子。
「やりすぎ感はあるけど、やりすぎた結果いいものになったね。ただ、マイナスもある」
やはり自分に厳しい。一体、この作品のどこに瑕疵(きず)があるのでしょう?
「最近は雪の降らない所もおおいやろ。雪体験のない人にとっては、これはTVの向こうのことで、自分と直結しない。自分の体験と結びつけるのにはきつすぎる。そういう意味ではいつもの奴(作品)の方がすぐれている」
三浦さんの作品の多くは、極力要素を排したシンプルなもの。抽象絵画や石庭のように、作品の排除されている隙間に、見る人が自分の想像力や記憶で風景を重ね完成させていくものですが、今回の作品はまるで違います。三浦さんの詩情とディテールへの追及が溢れだした感があります。

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▲「雪に使った綿が音を吸収してくれる。雑音が引いていって、冬の感じがするよね。秋は木の葉が鳴ったり、虫の声で案外うるさいけど、雪が降ると音がしないでしょ」


■子供の目線で世界を楽しむ
三浦さんの作品の面白い所は、目線を変えるとまるで別の風景が見えて来ること。
「立ったまま見ていると大人の目線の風景ですけど、少しかがんで見てみてください。子供の目線で見ることが出来ますよ」
目線の高さを人形たちの高さに合わせてみると、風景が一変します。雪玉をこっちに向かって投げようとしている男の子のやんちゃな笑顔。雪玉をぶつけられてかがむ子。そっとこっちの様子を物陰から伺う子。それぞれの子の性格や感情までもが見えて来るようです。

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▲雪合戦する子供たち。

三浦さんが子供達の人形を作り、こうした昔遊びの風景を作るにはわけがあります。
「子供時代に子供らしいことをしとかないと、大人時代に大人になれないと思うんです」
色んな事情から子供が子供らしい遊びがしにくくなっている現代。自らも小さな男の子の父である三浦さんだけに実感がこもります。

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▲ひとつ作るのに1週間かかるという蓑帽子。二重構造になっており、外が濡れても、網になっている体にあたる内側の部分は濡れないそうです。人形用でも伝統技術を再現するのが三浦さん流です!

「実はこれは現代という設定なんです。現代にも昔の文化が残っていたら......というファンタジーの世界なんですよ」
三浦さんはかつてハウスメーカーに勤め、地方に残る独自の文化に培われた貴重な古いお家が、どこにでもある画一的な家に建て替えられ心を痛めた経験があります。
「じゃんけんでも全国で違うし、同じ校区でも違ったりするでしょ。そういう地域差は大切だと思うんです。そういう差というのは、本にまとめられたら消えてしまう。地域ごとに親から子へ、子から孫へと直系で伝えていくしかないでしょう。でも伝えるのはおじいちゃんから孫へと、三世代の間が限界で、それ以上間が空くと伝わらなくなる」

三浦さんがこの作品を作る際に起きた出来事も象徴的だったかもしれません。
「山之口商店街の布団屋さんが店を閉めるので綿を大売出ししていたのを、たまたま僕の奥さんが見つけて、それで買いにいったんです。すると、実は僕の祖父がかつて賑町で布団屋さんをしていたんだけど、山之口商店街の布団屋さんの先代さんが、うちの祖父に可愛がってもらった、お世話になったんなんてことがわかりました。僕の父は何も言わないので、初めて知ったんです」

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▲作品展を見に来たお客様に自ら解説。

三浦さんはインスタレーションという形での作品展以外にも、抱き人形を手に抱き、語り合う場も開いています。
「僕が何かを教えるというのではなくて、来た人が知っていることを言ってほしい。出来たら近しいお友達同士で来てもらって、昔のことを語ってほしい。昔の住み方で、今はしなくなった大切なものが沢山あると思うんです」

三浦孝裕さんの作品展。11月21日(金)から24日(月・祝)まで。期間中作家は在廊しておりますので、この機会にぜひ三浦さんと会って話を楽しんでみてはいかがでしょう?

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▲鳳翔館にてお待ちしております。

三浦孝裕
■web : http://www16.plala.or.jp/kdn/ 

木の抱き人形展
■場所:鳳翔館
■住所:堺市堺区綾ノ町西1-2-17
■アクセス:阪堺線「綾ノ町」電停前西側
《問い合わせ》
TEL    072-205-5909

※三浦孝裕さん関連記事:http://toursakai.jp/machi/2012/10/

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