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3ヶ月だけのブラジル料理店 レストラン・ド・デル(1)

 

大袈裟では無く2020年は人類にとって転機の年になりそうです。新型コロナウイルスの影響で、世界中の都市が外出禁止などになり、多くの行動制限を受けました。残念ながらお店を閉めたり仕事を辞めざるを得なかった人も少なくありません。まだこの先どうなるか、誰にも分からない不安の中にいる……。

そんな中で新しい挑戦を始めた方を紹介したいと思います。5月から7月まで3ヶ月限定でオープンしたテイクアウト専門のブラジル料理店レストラン・ド・デルをオープンさせた古賀和恵さん。

実はつーる・ど・堺では、これまで何度か古賀さんに登場していただいていますが、それはジュニアミュージカル劇団や子ども向けの習い事スクールFSアカデミーの代表としてでした。舞台人の古賀さんが、まったく畑違いのレストラン経営に乗り出したのはなぜなのでしょうか?

 

■ブラジルのストリートソウルフード“パステル”

 

▲レストラン・ド・デルの外観。ご注文はあらかじめお電話かメールで済ませておくのが吉ですよ。

 

堺市西区鳳に、5月5日にオープンしたというお店を訪ねてみました。バス通り沿いのお店の扉や壁面には、レストラン・ド・デルのメニューやポスターが貼られていますが、テント屋根には焼肉屋さんの屋号が残されたままです。前のお店のものなのでしょう。わずか、3ヶ月のみオープンという秘密のお店感が漂っていますね。

 

店名レストラン・ド・デル、すなわち「デルのレストラン」のデルさんとは、古賀さんの旦那さんのこと。デルさんは、ブラジル出身で16才から日本で生活しているとか。この日は、スクールでロボット教室の先生をしているデルさんは、丁度授業をしている最中とのことで、今回は古賀さんに料理の腕を振るってもらいました。

 

▲揚げる前のパステル。

 

古賀和恵(以下、古賀)「これがこれから作るパステルの皮になります」

――春巻きの皮みたいですね。素材は小麦粉ですか。ブラジルの料理なんですよね。

古賀「はい。パステルはブラジルのストリートのソウルフードなんですよ。色んなものを包んで揚げます。ファストフードみたいですけれど、肉に野菜にきのこも入っていてバランスの取れた料理です」

――ファストフードであっても、ジャンクフードではないんですね。

古賀「皮は炭水化物で、お肉のタンパク質、野菜のビタミン、チーズでミネラルもある。揚げ物なので、カロリーが多いかもしれませんが、質の良い植物油を使っているせいもあって、食べても胸焼けしないと言われるんですよ」

 

▲ミートパステル。ジュースのグラスと比べるとわかると思いますが、結構なサイズ感で食べ応えがあります。

 

さっそくパステルを作ってもらいました。

具を挟んで皮を閉じてしっかり封をして、油であげれば完成。調理は簡単で手軽、携帯性があると、いかにもストリートのソウルフードです。

出来上がったパステルの形は、ひらべったい長方形の独特の形をしています。大きくて薄い春巻きみたいな感じでしょうか。

まずは、ミートパステルからいただくことになりました。食べてみると、さくさくとした食感に、複雑な味わいの具がマッチします。油が上質のせいもあるでしょうが、春巻きや、サモサといった類似の包んで揚げる料理と比べると、皮の味わいが軽い印象です。

――これは美味しい。この皮の感じは珍しい。中身もスパイスの風味があって美味しいです。

続けて2種類目。

古賀「チーズはお好きですか? クアトロチーズパステルは4種類のチーズが入っていて、チーズ好きにはたまらないですよ」

これにかぶりつくと、熱々のチーズがとろけだしてきて、口内で豊穣なチーズ4重奏が奏でられます。たしかにチーズ好きなら大満足の逸品でしょう。

――こちらはおかずというよりは、スナック的に食べるか、ビールやウイスキーのあてなんかにも良さそうですね。

メインメニューとしては、これ以外にスペシャル、ピザ、スモークソーセージ、ベジタリアンのパステルがありますが、デザートパステルという別ジャンルもあるじゃないですか!

 

▲チーズパステル。スポーツ観戦しながらかじったりするとビールがすすみそう。

 

古賀「今、デザートパステルも作ってますよ。甘い物は大丈夫ですか?」

――スイーツ大歓迎です!

休日で材料の用意が調わなかったための特別ver.デザートパステルの中にはマシュマロのチョコを投入。こちらは、クレープ揚げといった印象でしょうか。ミートパステルはファストフード的にもおかず的にも食べられますし、チーズパステルはあてにもなり、デザートもあると、なかなか変幻自在です。

レストラン・ド・デルは、このパステルとドリンクが主力商品ですが、ブラジリアンラザニアなどファミリーやパーティー向けのメニューもあるので、ご家族で楽しく外食気分を味わいたいという方は、ご相談されてみるのもいいかもしれませんよ。

 

▲取材では食べ損ねたブルーベリー入りのデザートパステル。いつかリベンジしにいきます!

 

――ブラジル料理ということは、やはりデルさんがお料理担当なのですか?

古賀「はい。私は今まで飲食の経験はまったくないのですが、デルのお母さんはパーティー料理のデリバリーの仕事をされていて、デルも子どもの頃からずっと手伝っていたんです。だから、デルには料理の感覚があるみたいなんです。スクールやジュニアミュージカルの打ち上げの時も、デルがずっとパーティー料理を作っていて好評でした。今回もお店をすることをお知らせしたら、またデルさんの料理が食べられるって、みんな喜んでくれました」

 

お腹もいっぱいになった所で、古賀さんがどういうきっかけや狙いがあってお店をオープンすることになったのかも聞いてみましょう。

 

 

■食は生きる上での基本

 

▲ブラジル料理担当のデルさん。スクールではロボット教室の熱心な先生です。

 

――どうして、この時期にレストラン・ド・デルを開店したのでしょうか?

古賀「今はスクールと劇団をやっていますが、以前から60才を過ぎたらゆっくりしようと思っていて、沖縄でレストラン・ド・デルをするのもいいねと言っていたんです。別にブラジル料理とは決めてなかったんですけれど」

――理想の老後的な話だったんですね。

古賀「しかし今回、新型コロナウイルスで緊急事態宣言になって仕事もストップした状態になりました。そんな中で、何かしなきゃと思って、私がレストランできないかなっていう話をぽろっとしたら、デルが知り合いの不動産屋さんに聞いてみるよとすぐに動いてくれて、そしたら、丁度8月まで3ヶ月開いている物件があったんです。元々焼肉屋さんをやっていた店舗で、次も焼肉屋さんの予定。だから、それまでの間キッチンもそのまま使っていいことになって、投資なしでお店が出来ることになったんです」

――すごい引きの強さですね。でも、はじめての飲食で不安はなかったのですか?

古賀「やはりこの間、自粛自粛でみんなおうちでご飯を食べていて飽きてくるでしょう。食というのは生きる上での基本で、我慢できることじゃなくて、毎日食べざるを得ない。私はみんなに幸せになって欲しいなと思って、子どもがわーってなるものがいいなと思ったんです。だったら、今までみんなが食べたことがないもの、珍しいブラジル料理がいいんじゃないかと」

――子どもが喜ぶからという視点が古賀さんらしいですね。確かにブラジル料理店はエスニック料理としても物珍しい。

古賀「それで、私もデルにパステルの調理を仕込んでもらって、食材にもこだわったので準備にも時間がかかりましたが、5月5日の子どもの日にオープンすることにしたんです」

 

▲オーナー古賀和恵さん。デルさんから2週間でパステルの作り方を叩き込まれました。

 

ブラジル料理店をオープンしたのは、長らく子ども向けのスクールやジュニアミュージカル劇団を運営してきた古賀さんらしい理由でした。神様に後押しされているかのようにオープンすることになったレストラン・ド・デルですが、はたしてどのようにオープン日を迎えたのか。そしてオープンから2週間たってどうなったのか。後篇では、さらに古賀さんにお話を伺うことにします。

 

レストラン・ド・デル
住所:堺市西区上431-9
電話:090-3862-9636
mail:kogachanbrazil@hotmail.co.jp

 


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