日本のバレーボールトップリーグが新生V.LEAGUEへと踏み出した2018-2019シーズンを振り返ります。

2019年2月2日。V.LEAGUE男子も第3レグへ突入し、頂点にいるのは昨年王者パナソニックパンサーズ。これまでの21試合で2敗しかしておらず、圧倒的な強さを見せていました。
堺市をホームタウンとする堺ブレイザーズはというと、10チーム中順位は7位。レギュラーシーズンの上位6チームで争うファイナル6進出に一歩及ばない位置にいました。先に進みたい堺ブレイザーズにとって、この日のホームゲームの相手は絶対に勝たねばならない相手。2つ上の5位にいるジェイテクトSTINGSでした。

■「ワッショイ！まつりDAY」

V.LEAGUEの試合では、試合開始前から楽しめるように様々な催しが企画されるようになっています。合同練習中に、客席を少し回ってみました。

この日は「ワッショイ！まつりDAY」と称し、様々な企画が開催されています。その中で注目したのは、自作ワッショイプレートを持ち込もうという企画。
毎試合なおき応援団長がここぞと言うときに使って会場を盛り上げるワッショイプレートですが、この日お手製のワッショイプレートを持ってきた方をめがけて選手がサインボールを投げ込むというものです。

客席には、自作ワッショイプレートを持ってこられた方がちらほら目につきました。せっかくなので少し撮影させてもらいました。話を聞いてみるとプレートの制作時間は1時間～2時間程度のようでした。

▲ハートつきのワッショイプレート♡を発見。

合同練習が終わり、選手が入場します。
堺ブレイザーズのスターティングラインナップは、出耒田敬選手（7）、関田誠大選手（11）、髙野直哉選手（4）、松本慶彦選手（1）、ジョルジェフ・ニコラ（ニコ）選手（18）、リベロには山本智大選手（20）、それに内定選手の樋口裕希選手（2）です。筑波大学在学中の樋口選手ですが、第2レグからコートに立ち、なかなかの活躍を見せ始めています。今日、注目の選手でしょう。

▲この日の始球式は「セレッソ大阪堺レディース」のお2人。宝田選手（左）と林選手（右）。

そして、この日の始球式は同じ堺市をホームタウンとする「セレッソ大阪堺レディース」キャプテンの林穂之香選手、宝田沙織選手が登場。林選手はアンダーハンドサーブ、宝田選手はフローターサーブでネットを越える一撃を相手コートに届けたのでした。

■第1セット

▲雄叫びをあげる関田選手。第3レグに入ってチーム全体がコートで感情を爆発させることが増えたように思えます。堺ブレイザーズらしい熱さが復活してきました。

試合は堺ブレイザーズの出耒田選手のサーブから。左サイド奥のジェイテクトSTINGSのブラトエフ・ヴァレンティン選手（6）を狙ったサーブを、すかさずリベロの興梠亮選手（12）がカバーしてレシーブ。セッター久保山尚選手（16）が上がったボールをトスすると、素早く真ん中から秦臻選手（18）が打ち抜きます。初得点はジェイテクトSTINGSに。
続くプレー。堺ブレイザーズも、関田選手がネットを挟んでの押し合いで勝ってサーブ権を奪い返すサイドアウトで1-1に。
次いで堺ブレイザーズのサーブ。ジェイテクトSTINGSは右サイドからサウスポーの西田有志選手（14）が左腕一閃で得点。この西田選手は、世界でも活躍した高卒Vリーガーで注目のルーキーです。スパイクに加えサーブも驚異的な破壊力で、前節も堺ブレイザーズを苦しめました。
その注目の西田選手の最初のサーブ。ネットインで勢いがそがれた所を松本選手がレシーブ、関田選手のトスで右サイドから髙野選手がコート中央にスパイクを決めます。これで2-2。

その後、ジェイテクトSTINGSのプレーがつながらなかったこともあり、堺ブレイザーズの連続得点＝ブレイクが続きます。8-5となり、先に8点に届くとタイムアウトになるファーストテクニカルタイムアウトは、堺ブレイザーズのものとなります。

▲堺でのホームゲームデビューとなった樋口選手。内定選手ながら即戦力となってチームに貢献。サーブも得意で、サーブで攻める堺ブレイザーズにとっては、戦術に合致した選手です。

中盤戦。
タイムアウトがあけると、堺ブレイザーズのルーキー樋口選手のサーブから。左隅を正確に射貫く樋口選手のスナイパーのようなサーブは恐ろしい威力を発揮します。ひたすらヴァレンティン選手を狙って相手のリズムを壊して5連続ブレイク。12-5と大きく引き離します。
その後は両チームは互いにサイドアウトを繰り返し、16-9でセカンドテクニカルタイムアウトも堺ブレイザーズのものとなります。

▲関田選手のブロックで止めたボールはどこへ行くのか!?

終盤戦。
ビッグサーバーの内藤和也選手（5）がリリーフサーバーとしてコートへ。ヴァレンティン選手がレシーブしたボールは直接堺ブレイザーズコートへと返り、このチャンスボールをニコ選手が確実に決めます。

▲リリーフサーバーの内藤選手に賞賛のハグをするニコ選手。あれ、手が一本多い!?　……ニコ選手の後ろの髙野選手の手でした。

各選手が持ち味を発揮する堺ブレイザーズは小気味の良いプレーを続けます。先に20点に達した後、ジェイテクトSTINGSに2度ブレイクを許して点差を詰められますが、結局はニコ選手がブロードアタックにサービスエースを立て続けに決めて25-18に。
第1セットは堺ブレイザーズがものにしました。ジェイテクトSTINGSのスーパールーキーの西田選手のサーブもサイドアウトで確実に1回で切り、容易にブレイクを許さなかったことがセット奪取に繋がったのでしょう。

■第2セット

▲得点にはつながっているが、スパイクのタイミングが微妙にずれているように見受けられるシーンもあった。

第2セットに入っても、堺ブレイザーズはブレイク、ジェイテクトSTINGSはサイドアウトと交互に続き、じわじわと堺ブレイザーズがジェイテクトSTINGSを引き離していきます。
8-4で堺ブレイザーズのファーストテクニカルタイムアウトになったのですが、やや気になることもありました。ニコ選手、樋口選手と軟打による得点が続いたのです。これは狙ったクレーバーな得点というよりは、関田選手のトスとのタイミングがしっかりあってなくて、セカンドチョイス的に軟打になり、結果オーライで得点になったようにも見えました。堺ブレイザーズは、まだまだチームとして精度が上がってるわけではない……そんな印象です。

▲オーバーハンドでレシーブした髙野選手は、すぐにダッシュでネット際へ走る。

中盤戦。
交互にサイドアウトが続く展開から一歩抜け出したのは、ジェイテクトSTINGSでした。
関田選手のツーアタックをヴァレンティン選手がブロックでたたき落としてブレイクし、次も髙野選手のスパイクを西田選手がブロックして連続ブレイク。10-9と1点差に。
堺ブレイザーズはその後もブレイクすることが出来ず、セカンドテクニカルタイムアウトこそ16-15で堺ブレイザーズのものとはなりましたが、点差はわずか1点で、むしろ追い上げるジェイテクトSTINGSに勢いがあるように見えます。

▲いい所で決めて笑顔の髙野選手。

終盤戦。
山場となった終盤戦の幕開け。
ジェイテクトSTINGSは西田選手のスパイクで16-16と追いつきますが、堺ブレイザーズもニコ選手の強烈なスパイクでサイドアウトします。
そして関田選手サーバーからのプレー。この1プレーはめまぐるしいラリーになります。ニコ選手の軟打を西田選手がコートぎりぎりですくい上げれば、樋口選手の片手一本でのレシーブなど両チームが気迫でつなぎます。これを最後に決めたのは左サイドの髙野選手のスパイクでした。爽快な一撃に髙野選手が雄叫びをあげると、ジェイテクトSTINGSはタイムアウトを取ります。コート上ではニコ選手と山本選手がじゃれあって喜びを表現しています。

▲サーブを打つ前のルーティーンなのでしょう。毎回ボールを掲げて集中力を高めている関田選手。

このプレーで堺ブレイザーズは勢いを完全に取り戻しました。その後もジェイテクトSTINGSも粘り強く戦うのですが、堺ブレイザーズはそれを力でねじ伏せ、得点を取り切ります。ブレイクは続き、関田選手のサーブがネットに捕まって失点するまで5連続ブレイクで、21-17と点差は広がったのでした。
この点差をジェイテクトSTINGSは覆すことは出来ませんでした。またもリリーフサーバーに内藤選手が登場するとブレイクして、セットをフィニッシュさせたのでした。
スコアは25-18。
これで堺ブレイザーズは2セットを先取したのでした。

この調子で、次の第3セットも連取して、ストレートでの勝利となるのでしょうか!?（→後篇へ）

■オマケ♪　堺ブレイザーズギャラリー

試合中のあれこれの写真をオマケで公開します。

▲「正座で反省!」叱られたニコ選手!? ……ではなくて、ミスした時も感情表現が豊かなニコ選手の一コマです。ほっぺたが膨らんでいるのが可愛い!?　気持ちを切り替えて次のプレーへ。

▲ボールを追いかけてフェンスを越えて客席に突っ込みかけた山本選手。怪我には気をつけて!! 競った試合になるほど、山本選手のワンプレーがチームの勝利に直結します。

▲リリーフレシーバーで登場した今富選手。味方の好プレーには、コートを走り回って盛り上げます。