堺ブレイザーズの挑戦 2017/2018(8)

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バレーボールのVプレミアリーグ。堺ブレイザーズはサントリーサンバーズを迎えてのホームゲームを闘っていました。
今シーズンも2試合しかない堺でのゲームは、前日の東レアローズ戦は激戦を制したのですが、この日のサントリーサンバーズ戦は苦戦で、2セットを先行されてしまいます。果たして堺ブレイザーズは逆転勝利できるのでしょうか。

■流れを呼び戻す第3セット
いいところがなかった第1、第2セット。さすがに変化が必要でした。第3セットに姿を現したのは、新人セッターの山口頌平選手に代わって佐川翔選手。そして昨日絶対的な力を発揮しながらも、今日は絶不調だったオポジットのウォレス・マルティンス選手に代わって松岡祐太選手。山口選手と佐川選手の交代はこれまでも度々見られたのですが、絶対的だったウォレス選手の交代には驚きました。真保綱一郎監督もあまりにも不調にウォレス選手を諦めたのでしょうか。
ともあれ、周囲をうまく使う山口選手に対して、運動能力の高い佐川選手。そして松岡選手は左利きという特徴があります。しかし、その松岡選手もすぐには活躍できずブロックもされ、序盤は2-6と差がついた所で堺ブレイザーズはタイムアウトをとります。
そのひと呼吸が効いたのでしょうか、そこから松岡選手のスパイクがさく裂し、千々木選手もサーブもそのまま決まるエースで連続得点でブレイク。結局5-8の点差でサンバーズ先行でファーストテクニカルタイムアウトになりますが、やや風向きが変わってきたようにも思えます。
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▲第3セットは佐川選手と松岡選手が登場。佐川選手のトスワークで流れを変えたい。

その後は互いにサイドアウトが続く時間に。我慢のしどころだったのでしょう。9-11から松岡選手が躍動します。自らのスパイクでサーブ権を奪ってサーバーとなると、2連続エースで12-11と逆転します。サーブミスもありましたが、佐川選手トスからの松岡選手の左腕の一振りで得点を決めて16-14でセカンドテクニカルタイムアウトになります。いかにも剛腕といったウォレス選手の太い腕が繰り出す攻撃は爆撃のような迫力ですが、ほっそりとした松岡選手の腕が鋭く振りぬく攻撃は、相手コートをスパッと切り裂くようなイメージを感じます。これまでのモヤモヤを吹き飛ばす爽快な連続ブレイクでした。
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▲日本刀のような切れ味のサービスエースを決めた松岡選手を迎える仲間たち。

他の選手の気持ちも吹っ切れたのでしょう。昨日見られたような堺ブレイザーズの攻めのサーブがようやく復活します。内藤選手のサーブで乱れたサンバーズの攻撃を出耒田選手が2連続ブロックして21-16。
サンバーズはタイムアウトでエスコバル選手に代えて小川選手を投入。エスコバル選手を温存して次のセットにかけるつもりのようですが、堺ブレイザーズは相手の思惑はどうあれこのセットをとるしかない状況です。最後は、出耒田選手がノータッチエースを決めて25-19でセットをとったのでした。
強気のサーブが堺ブレイザーズの生命線だと思わせた第3セットでした。
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▲サーブが得意な内藤選手も松岡選手に負けじと好サーブを連発した。

■意地を見せた第4セット
第4セットも、佐川選手、松岡選手がスターター。一方、サンバーズは後半に温存されたエスコバル選手が戻ってきます。
サンバーズの選手も意識を切り替えたのか、ボールが集まるようになったエスコバル選手が存在感を発揮し、順調な滑り出し。サンバーズに堺ブレイザーズのお株を奪うようなサービスエースが続いたこともあって4-8でファーストテクニカルタイムアウトに。後がない堺ブレイザーズとしては先行して逃げ切りたいところだったでしょうが、これは苦しい出だしです。
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▲第4セットでもウォレス選手に代わってオポジットには松岡選手。左手から繰り出されるスパイクは二枚のブロックを突き破ったが、これは惜しくもラインアウト。

互いにサーブミスをして5-10とダブルスコアに。松岡選手のスパイクがアウトとなった判定にチャレンジが成功し6-11。このチャレンジが失敗していれば、7点差と絶望的な差でした。
これをきっかけに反転攻勢したかった所ですが、サンバーズは止まらずに8-14となった所で、佐川選手を山口選手に代えます。しかし、この差を詰めることが出来ないまま10-16でセカンドテクニカルタイムアウトを迎えます。
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▲再びコートに戻ってきたセッターの山口選手。スパイクを決めた千々木選手が自らを指さす。

もはや崖っぷち。11-16と1点取ったところで、ついにウォレス選手が登場します。しかしオポジットの松岡選手ではなく出耒田選手に代わってのピンチサーバーとしての交代です。代わって入っていた松岡選手の活躍、仲間の苦境、ピンチサーバーとしての登用と、ウォレス選手の胸中はどのようなものだったでしょうか。
この思いがボールにのり移ったのでしょう。ここから怒涛の攻撃がはじまりました。ブロックポイント、ノータッチエース、ノータッチエース、エースと続き、その後の攻撃と合わせ、なんと積み上げた得点は連続8得点となりました。18-16と大逆転です。まず見たことがない逆転劇です。このまま押し切ってセットを取ることが出来るに違いない。ファンの歓声は金岡公園体育館を揺るがさんばかりでした。
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▲今日は不調だったウォレス選手だったが、第4セット終盤に凄まじい連続ブレイクを演出する。

しかし、このウォレス選手の活躍を黙って見ていられなかった男が1人いました。サンバーズのエスコバル選手です。サーバーとなるとノータッチエースを決めて19-20に。すかさず堺ブレイザーズはタイムアウトをとって流れを切ろうとするのですが、エスコバル選手は止まりませんでした。厳しいサーブに乱された堺ブレイザーズをエスコバル選手のスパイクが襲います。松岡選手のスパイクでようやく切るまで6連続得点をあげて20-23に。
サンバーズは栗山選手のスパイクでマッチポイントを奪い、やはり最後はエスコバルの一撃で堺ブレイザーズをコートに沈めたのでした。
終盤の意地の猛追と逆転も及ばずにセットを落とし、力及ばずの敗戦でした。


■重い記者会見
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▲記者会見でのウォレス選手。敗戦を冷静に振り返り、ファンへの感謝の言葉を述べる。

試合終了後の記者会見には、主将の伊藤康貴選手と、セッターの佐川翔選手、オポジットのウォレス選手に来てもらいました。
まずは試合後のコメントです。
伊藤「自分たちの弱い所が出てしまった。外国人選手がダメだとチームもダメ。そういうチームだとダメ。1人の選手がダメでも他が頑張れるようにならないと」
佐川「キャプテンが言ったことが全て。リーグ中盤になって、外国人選手が機能しなくてもどうやって闘っていくかが課題です」
ウォレス「試合前には今日いい試合ができるとみんな望んでいたと思う。チームも調子が上がっていたこともあるのに、残念ながら負けてしまった。個人的にはいいプレイも出来たけど、自分の打つ選択が良くなくてチームに迷惑をかけた。チーム的には強くなってきているので、昨日までやってきたことに戻して次の試合には勝てるようにしたいと思います」
――ゲームの途中で試合に入った佐川選手はどのような戦略をたてられたのですか。
佐川「ウォレス選手の代わりにオポジットに入った松岡選手を起点に考えました。松岡選手は左利きなので、相手はやりにくいだろうなと思い、それを活かしてやっていこうと思っていました。ただトスの質、組み立ての部分でミスが出て、それがチームのバタバタにつながってしまった。単純にスキルの部分だと思う」
――ウォレス選手。昨日は東レアローズの監督もウォレス選手にやられたと言うぐらいの大活躍でしたが、今日は思うようにプレイが出来ませんでしたが、なぜなのでしょう。
ウォレス「日によって調子が悪い時もある。昨日はうまく選択肢が決まっていた。毎日毎日同じようなパフォーマンスでやるのは厳しい。自分は納得はしていない。が、そういうこともある」
――皆さんに、次の試合に向けて堺のファンにメッセージを。
伊藤「切り替えるのは難しいけれど来週に試合があるので、こういう試合を無駄にせずに。今日の試合はしちゃいけない試合なので、この敗戦も無駄にせずに来週につなげていければ」
佐川「これだけ会場をあっためて席を埋めていただけるのは幸せなことでありますし、この関係に甘えることなく、自分たちも力をつけて頑張りたい」
ウォレス「今日の結果は申し訳ない。これからはもっともっとこういう試合がないように、ファンの皆さんの力をもっともっとお願いしたい」
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▲「松岡選手をもう少し早く投入してもよかった」と真保監督。ゲームの流れを見極めるのは難しい。

次に、真保監督が姿を現しました。
真保「第4セット、ああいう形になるまでカウンターアタックが取り切れなかったのが原因。ウォレスは昨日素晴らしかったけれど、もう少し早く松岡に代えていればと思います」
――ウォレス選手の調子が昨日と激変しましたが、原因は何でしょうか。
真保「昨日の疲労ではないでしょうか。気持ち的には大事な試合とわかっていたはずです。やはり体のキレが良くなかったですね」
――代わって入った松岡選手は、これまで使われなかったのが不思議なほどの活躍でした。
真保「サーブとスパイクに関しては松岡はいい。いかんせんポジションがかぶっているのですが、毎回使いたいと思っていました。外国人の調子が悪いと、チームが悪いでは困る。もう一人日本人の柱が必要です。たとえば松本と内藤も、いいクイックがあるので違いを出していきたい」
――最後に堺のファンに向けてのメッセージを。
真保「まだリーグが半分あるのですけれど、当面の目標はファイナル6です。(ファイナル6の試合がある大阪に)必ず戻ってきます。ありがとうございます」
サントリーサンバーズの荻野監督にもお話を伺うことが出来ました。
荻野「昨日の敗戦を受けて今日は選手が気持ちを出してくれました。ただ第3セット。あれだけ崩れるとどうしようもなくて課題のメンタルの弱さが出ました。最後にエスコバルがやっと仕事をしてくれて勝つことができました」
――堺ブレイザーズ対策は何かされていましたか。
荻野「堺ブレイザーズは昨日いい形で勝っているので、その勢いも怖かったし、そこで負けないように。ウォレス選手には決定力があるので、止めるなり、ワンタッチ対策をしました」
――堺ブレイザーズはどのようなチームと分析されていましたか。
荻野「しっかりとブロックする。千々木選手や伊藤選手にも決定力があるし、全体的にレベルが高い。高さもある」
――堺のファンや応援については?
荻野「盛り上げが素晴らしい。あれで選手が乗って、力以上の力を出してくれる。敵としては怖いし、堺ブレイザーズにとってはすごい力になっていると思う。色んな人が集まって、応援している力のいれよう。うちもやっていることだけど、素晴らしいことだと思う。ダメな時でも選手を愛して、お客さんから乗せながら自分たちも楽しんで」
荻野監督もチームの力を高く評価している堺ブレイザーズですが、この日の試合はしてやったりというところでしょうか。
こうして2017/2018シーズンの堺でのホームゲームを、堺ブレイザーズは1勝1敗で終えました。下位に沈む堺ブレイザーズにとって、連勝して上位浮上するチャンスを逃したのは悔しい結果でした。
堺ブレイザーズ
新日鐵住金堺体育館
堺市堺区築港八幡町1番地(新日鐵住金堺体育館内)
電話:072-233-2264 
FAX:072-233-2248 

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