イベント情報

神秘に繋がる器と出会う「展示:心皮/carpel 」主水書房

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堺の中心街・堺東からなだらかな丘の中腹を登った先に目的地があります。中央環状線と一条通、二本の幹線道路に挟まれているにも関わらず、どこか大気のざわめかない静かな住宅街。目指すは、その一角にある花道みささぎ流の家元・片桐功敦さんのアートスペース・主水書房です。
片桐さんが、被災地に野の花を生けるプロジェクトで福島県南相馬市に住み込み、堺を離れていたこともあって主水書房は長らく閉まっていました。2017年春になって、5年ぶりに主水書房の扉が開いて開催されたのは、「白い祈り/黒い原罪」と題された展覧会。これは片桐さんと、同じく原爆事故による放射能汚染への問題意識を問いかける和紙作家ハタノワタルさんの、2人によるインスタレーション展示でした。
それから半年。再開後、2度目の展覧会のタイトルは「展示:心皮/carpel」。陶芸作家金恵貞さんの個展で、ひび割れや裂け目のある不思議な造形の器に、片桐さんが花をいけたいけばなの展示もあるとか。
どんな展示なのだろう……少し雨のある中、御陵に見下ろされる道すがらあれこれ思い浮かべるうちに、主水書房にたどり着きました。
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展示スペースは玄関真正面のスペースと二間の和室。
和室には、それぞれ花をいけてある大鉢の作品がひとつずつ。
それに両手で包んで余るほどの大きさの器がずらりと展示してあります。器には、どれも割れ目や裂け目がって、どうしてもまずそこに目がいきます。
しかし、場所が和室のお座敷で、落ち着いて見ることが出来るからでしょうか、しばらく見続けるうちに少し違った感慨も首をもたげてきます。まず器そのものが、とても端正でしっかりしたフォルムをしていることに気づきます。割れ目や裂け目はその延長線上にあって、とってつけたもののように感じません。木の成長につれて幹に生まれたこぶや、生活するに従って人の肌に刻まれたしわのように、自然な一体感を感じます。
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個展のタイトルになっている「心皮」とは、「被子植物の雌性器官で、雌しべを構成する「花葉」のこと」(webサイトより)です。作家の金さんが、出来上がった器の形から、相応しい言葉を探して見つけたのが「心皮」だそうです。新しい生命を生み出す「心皮」の神秘的な力が宿っているかのような器の佇まい、じっと何かを秘めている様子に魅入られて時間が過ぎていきます。
器越しのガラス戸の向こうには、雨に濡れた中庭の緑が見えます。室内には静かな音楽がかかっていて、その歌詞でもあるかのように片桐さんとお客様の会話も耳に届きます。
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片桐さんにお話を伺うと、金さんとは長い付き合いで、一緒にお仕事をしてきたけれど、これまで展覧会をしたことがなかったので、タイミングが合った今展覧会を開いたのだとか。
「金さんの作品は他にもあるけど、この裂け目のあるものが好きで、これにばかり生けてきました。彼女のシグネチャー的な作品なんだと思います」
最初は白磁で作っていた作品がしだいに色がついてきたことや、裂け目の在り様もどんどん洗練されてきたことなど、作品や作者を深く知る片桐さんならではのお話も伺えました。
「今日(10月2日)の朝まで金さんもいたんです。3日から5日まではお休みをいただいて、6日からまた金さんも在廊されます」
最終日の8日には、金さんの器に片桐さんの指導で花を生けるワークショップも開催されるそうです。金さんの器は触れることで、また違った魅力を感じることが出来るのだとか。
ワークショップに興味のある方は、ぜひご連絡(info@mondebooks.net)を。展示の見学は、入場無料なのでお気軽にどうぞ。
主水書房
心皮・carpel  
器:金恵貞
花:片桐功敦
 
 日時:2017年9月29日(金)~10月8日(日) 12:00~19:00  入場無料
休館:10月3日、10月4日、10月5日
オープニングレセプション:9月29日(金) 18:00~20:00
 
関連イベント
いけばなワークショップ「一枝一花一葉~金恵貞さんの器に花をそえる」
 
日時:10月8日(日)14:00~16:30
参加費:7000円(花代+お茶)*使用したお花はお持ち帰りいただけます。
講師:片桐功敦


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