イベント情報

若者が古典に触れる場~堺能楽会館~

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日本で唯一個人所有の能楽堂「堺能楽会館」の館主・大澤徳平さんのお誘いを受けて、羽衣国際大学能楽鑑賞会にお邪魔しました。
「次の世代に日本の伝統文化を引き継いでいきたい」「市民に親しんでもらいたい」という思いから、大澤さんは「堺能楽会館」では、この能楽鑑賞会をはじめ様々な学生や市民向けのイベントが開催されています。
第一部は羽衣国際大学宝生流能楽部と美羽宝生会(羽衣国際大学・羽衣学園短期大学卒業生)による演目で、第二部は能楽師による狂言と能が演じられます。
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まずは第一部の演者による連吟から。

演者たちが舞台に登場します。シンプルな構造の能舞台だから、華やかな衣装が引き立ちます。学生さんの中には扇を帯にしまう動作がスムーズにいかなかったり、緊張した様子も伺えます。
そして、能楽部の学生による仕舞。

若者たちの瑞々しい演舞ですが、ふと気付くと謡をされているのは能楽師の辰己満次郎さんらです。熟練のプロたちが背後でしっかり舞台を支えている。そんな印象です。
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普段見る機会のあまりない伝統芸能の演舞ですが、こうして直に見ると迫力のある舞をする人、軽やかな舞をする人、演者ごとの個性も感じられるものでした。

特に、学生が最後に行った舞囃子『小袖曽我』は、楽器もあり謡もあり、舞が2人ということもあってか、見所が多くて楽しめました。しだいに激しくなっていく盛り上がりにも引き込まれます。
ついで社会人の出番です。
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ゆっくりした動き、止まった瞬間が、絵になります。
ただ歩いているわけでなく、ただ姿勢をとっているのでなく、見られるための動き、見られるための姿勢ということなのでしょう。
先入観もあるでしょうが、学生の演舞に比べると洗練されていると感じます。
ここまでの舞台で一番強く引きつけられたのは、能楽師さんたちの声です。雑味のようなものがなく、純粋に聴かせるために必要な音が奏でられる楽器であるかのようです。人は修練を積むことによって、楽器のようにもなれるのかと思うと、感動と驚きを覚えます。
自分たちの出番を終えた学生たちが、客席に回って先輩たちの演舞をじっと見ているまなざしもとても印象的でした。いつかは、若木もあのように達することが出来るはず。そう信じて、芸を磨いて欲しいですね。
この能楽鑑賞会は、わたしたち一般の観客が楽しむという側面もあるでしょうが、何よりも志をもった若者たちが高いレベルに直接触れる機会として素晴らしいものではないでしょうか。撮影は控えましたが、第二部の能楽師による狂言「鞍馬参り」と能「天鼓」のどちらもパフォーマンス芸術として楽しめるものでした。狂言のストーリーテリングの可笑しみは現代に通じますし、能の抽象性や美意識は舞台を鏡にして鑑賞者の内面と照らし合うコンテンポラリーアート(現代美術)の観賞の楽しみに通じるように思いました。
そして、こうした能・狂言も、能舞台という考えつくされた舞台装置があってこそでしょう。様々な演目を受け入れ演者を引き立てるために、極限までそぎ落とされたシンプルな構造。床下に埋め込まれた甕などの音響の工夫。舞台下に敷き詰めた白石で光を反射させるなどの照明の工夫。その前提があって、謡も舞も芝居も存分に威力を発揮するのだと思われます。
今年で、34回目というこの能楽鑑賞会ですが、これからも学生たちに本物の能舞台で、本物に触れる機会を提供しつづけて欲しいものです。
堺能楽会館
住所 大阪府堺市大浜北町3-4-7-100
最寄り駅 南海本線:堺駅
電話 0722-35-0305

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