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雑記帖 No.239

堺セーフシティ・プログラム(2)

被害者に寄り添う

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堺市は、2013年に国連機関UNWomenの「セーフシティ・グローバル・イニシアティブ」への参加を先進国としては2番目、国内でも最初に表明しました。「すべての女性や子どもにとって安全・安心なまちづくり」を目指し「堺セーフシティ・プログラム」がスタートします。2015年3月にはスコーピング・スタディによって、調査分析から課題の絞り込みを行い、2015年度から5年後の堺セーフシティを目指して5年計画のプログラムが始まりました。
前篇では、堺市役所の担当部署である市民協働課と男女共同参画推進課を訪問して、セーフシティ・プログラム参加の経緯と、行政や警察に市民の協働による生活環境の整備やパトロールの強化など防犯の取り組みを紹介しました。
後篇では、それらとは違った角度の取り組みを紹介します。


■よりそいサポーター
堺市役所では、市民協働課の本池茂課長と上村将治主査、男女共同参画推進課の植松あけみ課長と藤井謙治課長補佐の4人から話を伺っています。

次のテーマは性暴力被害者に対する二次被害の問題です。
日本では性暴力被害者に対する理解は不十分なものであることは、よく指摘されています。事件として警察が取り組もうとしなかったり、被害者に落ち度があると被害者が責められたり、時には非難にさらされるなど、深刻な二次被害が発生しがちです。

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▲男女共同参画推進課の植松あけみさん。


植松「性暴力被害者に二次被害を与えないように、被害者によりそうサポーターを養成することを目的に『よりそいサポーター講座』を実施しています」
――講座の対象はどういう人でしょうか。
藤井「これは行政機関や消防、学校、医療機関など性暴力被害者と接する可能性がある部署を対象に行いました」
――すると、藤井さんや皆さんも受講されたのでしょうか。
藤井「はい。実際に講座を受けてみると、色んな気づきがありました。実際に性暴力の実態について話を聞くことによって、どういう精神的なショックを受けているのか、そんなお話を聞くこともできました。それまでどう接していいのかわからない部分がありました、受けて良かったです」
植松「自分自身が知らなかったと気づかされることがありました。今後もするべき取り組みがあるのではないかと認識しています」
上村「これまで自分の人生での出会いとは、違う考え方あるんじゃないか。私も気づきですね。堺セーフシティ・プログラムをきっかけに気づくことが生まれてきました」


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▲市民を対象とした「よりそいサポーター講座」。


本池「性暴力救援センター大阪(SACHICO)の協力機関である堺市立総合医療センターでは、性暴力被害者の受診についてのホットラインを開設しました。対応に関しても、男性ではなく女性の職員が24時間・年中無休で診療の受付をすることにしました。また堺市こころの健康センターでは、性暴力被害者のこころのケアのための専門の窓口もつくりました」
――行政や消防、学校、医療機関など最前線で働いている方がサポーターになり、窓口で配慮されているのも心強いですね。一方、一般の市民に対する働きかけはどうなのでしょうか? 
藤井「市民を対象とした講座も開催されています。2016年に『堺セーフシティ・プログラムの実践、市民よりそいサポーター養成講座』を堺自由の泉大学で開催しました。これには全5回で参加者はのべで1078名となりました」
――なるほど、行政機関だけでなく、多くの市民や各種団体が参画するという、セーフシティ・プログラムの方針はここでも貫かれているのですね。
藤井「はい。その他にも本市では、教員を対象にデートDV講座を行い、保護者に対しても啓発プリントの配布を行っています。これは性暴力の被害者にも加害者にもならない当事者意識の啓発を目的としています」
――対象は、教員や保護者なのですね。
藤井「そうですね。まずは教員や保護者対象で行って、子どもを周囲から守ってもらいます。今年はデートDV等予防出張セミナーを企画していまして、お問合せをいただいています」


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▲啓発冊子「デートDVってなに?」より。


■セーフシティ・プログラムの成果は?
――2015年から5か年計画ではじまった「堺セーフシティ・プログラム」への取り組みですが、2018年で3年目の折り返し地点です。成果はあがっているのでしょうか?
上村「女性や子どもにとって安全・安心なまちになるには、犯罪が少なくなることですが、それを成し遂げるのは簡単なことではありません。目に見えた成果としては出にくいものです」
――何か指標になるものはありますか?
上村「堺市の性犯罪認知件数は減少し、最初の2年間は体感治安は40%弱で横ばいだったのですが、昨年度はぐっとあがって46%にまで増えてきました。従来から地域の人と一緒に防犯や防災をしていこうと地道な活動の成果で上昇しているのではないかと思います」
――犯罪の認知件数が減っても、それは犯罪が減ったのか、認知が減ったのかすぐには判別がつかないでしょうが、体感治安がそれだけ急激にあがったというのは、成果があがっていると考えることができそうですね。


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▲市民協働課の本池茂さん。


――そもそもの堺市は地域の特性として治安がいいとか悪いとかはあるのですか?
上村「際立って何かある状況ではない。日本全体では、ネット上での性犯罪で子どもたちがターゲットになっている状況があります。堺市では小中学生を対象にネットいじめ防止を目的に、情報モラルに関する授業を実施しました。トラブルに対する対処法をそこで学んでもらっています」
本池「セーフシティ・プログラムの取り組みが日本全国で広がっていくのが理想です。たとえばコンビニエンスストアと協力して、成人向け雑誌を青少年の目に触れないようにする取り組みですが、堺市の取り組みを千葉市が参考にしてあるコンビニチェーンと大手流通企業グループが成人向け雑誌を置かない方針を打ち出しました。これもセーフシティ・プログラムの波及効果だと考えています」


■次なるステップへ
――「堺セーフシティ・プログラム」は2019年度で計画最終年度の5年目になりますが、その後は続けるのでしょうか?
植松「安心・安全なまちを目指す取り組みはこれからも続いていきます」
――それでは、現状で次のステップを目指すための課題について、皆さんは何だと考えておられますか?
植松「啓発活動なども行っていますが、堺セーフシティ・プログラムを知らない方がまだまだ沢山いらっしゃいます。広がりをめざして、必要な方に必要な情報を届ける必要があります」
藤井「子どもたちにカードを配り、市役所のトイレなどにもポスターを貼って周知につとめています。常に皆に感じてもらえたらと思います」
――さきほど市役所のトイレでポスターを貼っているのをみました(笑)


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▲「堺市こころの健康センター」のカード。


本池「防犯という面では、地域の担い手を確保することが課題です。少子化もありますし、自治会の加入世帯が減っている。ずっと引き続きやっていく方がいないと」
――行政と市民が一緒に参画してという、前提が崩れてしまいますね。そのためにも地域の防犯や犯罪被害者について関心を持つ人が増えてもらう必要があるのですね。
上村「啓発事業というのは、なかなかアンケートを書いていただきにくいものなのですが、『生命(いのち)のメッセージ展』は来場者の皆さんが一所懸命にアンケートを書いてくれます。来場者にメッセージがちゃんと伝わるんですね。犯罪被害というのは、いつ起こるか、いつ巻き込まれるのがわからない。被害者のメッセージ、被害者家族のメッセージを見て、皆さん自分のことと思うのです。当事者の気持ち。これ以上犠牲者を出したくない。その想いがストレートに伝わってくるのが『生命(いのち)のメッセージ展』なのです」
――なるほど、『堺セーフシティ・プログラム』に取り組む堺市が熱心に『生命のメッセージ展』の開催を後押しする理由がわかりました。


『生命(いのち)のメッセージ展』そして『堺セーフシティ・プログラム』と犯罪被害や防犯に対する取り組みを見てきました。
「もののはじまりなんでも堺」は堺市民が、何かにつけ口にする言葉ですが、日本初の「セーフシティ」の実現にむけて、より一層取り組んでほしいと思うのでした。


堺市役所 
住所:堺市堺区南瓦町3番1号 

市民協働課
堺市役所高層館3階
電話:072-228-7405

男女共同参画推進課
堺市役所高層館6階
電話:072-228-7408


こころの健康センター
住所:堺市堺区旭ヶ丘中町4丁3−1 堺市立健康福祉プラザ3F
連絡先:
こころの健康センター 072-245-9192


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