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雑記帖 No.235

浜寺公園の初めての空 秋休 TOUR FINAL(2)

ライブレポート&浜寺公園管理事務所長インタビュー

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大阪天王寺のストリートからデビューし、全国規模で活動する2人組ユニット『秋休』。デビュー17周年の全国ツアーファイナルのライブ会場に選んだのは、浜寺公園の野球場でした。
浜寺公園としても、球場で、しかもステージを組む大がかりな野外ライブは初めてのこと。誰もやったことがないはじめての事にチャレンジしたいという『秋休』の熱意が実ったライブです。

『秋休』のインタビューを掲載した前篇に続き、後篇ではライブレポートと、受け入れた浜寺公園側へのインタビューをお届けします。


■マウンドの空の下

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▲マウンドに姿を現したのは、河本知樹さん(左)と平松契帥さん(右)の『秋休』。


サイレンが、ライブ会場に衣替えした野球場に鳴り響きます。
続いてラインナップアナウンスが告げたのは、この日のライブメンバーでした。
{1番 ドラム 吉田一哉、2番 ギター ボンゴ宮田、3番 バイオリン 奈倉翔、4番 ピアノ 愼英順、5番 ベース 金子淳一、6番 ギターボーカル 河本知樹 背番号1、7番 ボーカル 平松契帥 背番号1}
こんな演出で、野球と音楽のコラボをするのだと驚いていると、次の驚きがやってきます。
アナウンスに従ってステージ上に現れるメンバーたちに気をとられていると、不意に『秋休』の2人河本知樹さんと平松契帥さんが客席の真ん中、野球場のマウンドの上に姿を現したのです。
もちろん、空や地下から出現したわけはなく、客席の視線がステージに集中する隙に大急ぎでやってきただけなのですが、それは魔法のような登場シーンでした。

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この客席のど真ん中、マウンドの上で披露する楽曲は、もちろん『マウンドの空』。客席は総立ち。
ツアーのファイナル、そしてライブのオープニングにこれほど相応しい曲は無いでしょう。力強く一曲歌い上げると、『秋休』の2人はステージへ移動。息つく暇もなく、続けて『虹色少年』、そして久々に歌うラブソング『こっちへおいで』。
怒涛の3曲を終えると、河本さんは客席に着席を促します。

野球でいえば、1回の表裏が終わってまだ序盤戦といった所でしょうか。この最高の立ち上がりの後は、じっくり聴かせる楽曲が始まりました。

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こうして『秋休』の音楽をライブで体験すると、TVやネットで聴くよりもずっと魅力的に感じます。また、野外の青空の下というロケーションとの相性は最高でした。どこまでも音が広がり突き抜けていく気持ちよさ。
特に、インタビューでは「(ユニット結成当初は)ドヘタだった」と謙遜されていた平松さんですが、パワフルで表情豊かな歌声は、野球場を伸びやかに駆け回り、実に耳に心地よいではありませんか。
河本さんの背中を追いかけてきたという平松さんですが、それは同時に平松さんも河本さんの背中を押し続けてきたということのように思えます。

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▲17年間してきたように2人だけで歌うセッション。


さらに4曲終えて、バンドメンバーが姿を消して、2人だけで『ほどけた糸』『憧れた空』の2曲。少し照れたようなMC。17年共に走り続けてきた2人には、そして長年『秋休』を応援し続けてきたファンにとっては、万感の2曲だったのではないでしょうか。


■挫折を乗り越えたあすなろの木

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バンドメンバーが再び姿を現して終盤戦へ。
盛り上がる楽曲が続き、オールスタンディングでファンとの一体感も最高潮。コール&レスポンスや、赤いメガホンを使った応援が楽しい。
「女性ファンが多い」
と河本さんが言っていたようにたしかに女性ファンは目につきますが、男性ファンや親子連れの姿も少なくありません。メガホンを持っていない小さなお子さんが背伸びして手拍子で応援する姿も微笑ましいものでした。


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しだいに陽もかげってきて、グラウンドも冷え込んできました。
そろそろクライマックスでしょうか。
河本さんは、これまでの17年間を振り返り、一度心が折れ音楽を辞めようと思った時の話をします。それは2015年のこと。翌年には今までにない世界観で描いた『虹色少年』で初めてダンスを取り入れ、どんどんと新たなチャレンジをします。
2015年の経験をもとにして出来た『リセット』は自分たちの心の叫びのような楽曲。一度0に戻り、また歩き出すための大切な楽曲です。

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▲挫折を乗り越えた2人。


明るくチャレンジを続けてきたかに見えた『秋休』にも、そんなドラマがあったのかと、しんみりとします。

そして次の曲『あすなろの木』は、さらにこれまでのイメージを覆すような衝撃を感じる曲でした。どうにもならない人生の苦しさや悲しさを過剰に歌うのではなく、これまで『秋休』歌ってきた友情や恋愛など日常の一コマ一コマの中に潜むものとして淡々と歌い、でもどこか希望があるのだと聴き手を包み込んでくれるような歌でした。『リセット』の挫折を乗り越えた人間がたどり着いた境地なのでしょう。

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▲アンコールは新グッズのパーカーを羽織って登場。


おりしもステージの裏には月が昇り、海に陽は沈もうとしています。『あすなろの木』という楽曲を、こんな空の下で聴くといっそう心に沁みるようでした。こうして一日が終わり、また明日がくる。その繰り返しが積み重なり、『秋休』には17年間、ファンの人たちにや自分もそれぞれ人生分の月日が流れた、そんな当たり前のことが、なんだかとても感傷的に感じられるのでした。

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▲全国ツアーも無事終了。


16曲のセットリストの後アンコールがあり、新曲で野球テーマの楽曲としては3曲目となる『あの日の延長戦』と、『未来駅』を披露。こうして全てが終わる頃には、すっかりと陽も沈み、空には月が煌々と輝いていました。

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▲月が見おろす会場で最後にファンと記念撮影も行いました。


■浜寺公園から見た『秋休』ツアーファイナル

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▲浜寺公園の河野丈晴(かわのたけはる)所長と、職員の山崎有美子(やまさきゆみこ)さん。


今回のライブイベントは『秋休』さんにとって初めての野球場での野外ライブでしたが、浜寺公園にとっても初挑戦のイベントでした。
浜寺公園としては、このイベントに対してどう挑んだのか、所長の河野丈晴(かわのたけはる)さん、職員の山崎有美子(やまさきゆみこ)さんの2人に話を伺いました。

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――今回のライブイベント、『秋休』さんから話があった時に、浜寺公園側はどのように受け取ったのでしょうか?
河野「本来は野球場ではしないことですし、大きな音を出せば苦情も考えられる。断るのは簡単なことでした。でも、『今までしなかったことをやってみたい』とおっしゃっていて、まずじっくり話をきいてみて、やってみたいとなったのです」
――管轄は違いますが、堺市の大浜公園などで積極的にライブイベントをし始めたりしています。その影響があるのでしょうか?
河野「他の公園がやりはじめたからというのはあまりないです。公園をもっと多くの人に利用してもらうのはどうしたらいいのかを考えていました。今日のライブも普段は公園に来ていただけないような若い方に多く来ていただけました。若い方にももっと楽しんでいただければという思いでした」

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――山崎さんは、今回のイベントで浜寺公園側の担当をされていたのですか?
山崎「調整や配置、広報などをしていました。野外コンサートは浜寺公園としても初めてだし、『秋休』さんにしても初めてのことが多かったようで、慣れないもの同士で時間がかかってしまったところはありますが、次につなぐことができるいいケースになったのではないかと思います」
――やはり初めてするというのは大変ですね。特に公共施設ですから、前例がないことは難しかったのではないですか?
河野「本来公共の施設ですからそうなのですが、民間に近づいていく雰囲気づくりはしていこうと、これからもやっていきたいですね」
山崎「一方で、やはり公共施設ですから、誰もがゆっくりくつろげるというベースの部分は守っていく。守っていく中で、新しい楽しみ方、過ごし方を発信していきたいなと思うのです」
――確かに限られた人しか楽しめないとしたら、それは公共の公園としてはクエスチョンですよね。
山崎「そうです。そこがテーマパークと違うところだと思います。バランスをとるのが難しいところですが、しっかり考えながらやっていきたいですね」

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▲ソフトボール場にはキッチンカーが集結し、きっちんホイホイというイベントも開催。ミニライブもあり、ライブのお客様と公園のお客様の双方が楽しめるイベントを目指しました。


河野「今回は野球場の向いのソフトボール場で『きっちんホイホイ』というイベントも行ったのですが、これは『秋休』さんから『(自分たちのお客様だけでなく)公園を利用する他のお客様も一緒に楽しんでほしい』という提案があって行ったものです。『秋休』さんが紹介してくださったアーティストに無料のミニライブをしてもらい、浜寺公園で知っているキッチンカーに来てもらいました。ライブのお客様も公園のお客様もどっちも楽しんでいただけるイベントになったのではないでしょうか」
――それはしっかりとした意図のある企画でしたね。今後もこうしたイベントが続いていくのか楽しみです。

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山崎「こうして取材もしていただけましたし、『秋休』さんと一緒になって、地域とのつながりづくりのきっかけにもさせていただけたかなと思います。実際今までゼロからしてきたことが、こうして形になると、すごくやりがいも感じます。先ほども河野から話がでましたが、公園はどうしても若い世代の方が利用者として抜けてしまうのですが、若い世代の方々もたくさん来ていただけました。公園の新たな一面になったのではないでしょうか。これからも、『公園で何かやってみたい』という方と一緒になって、浜寺公園や周辺地域を盛り上げていきたいと思っています」


どうやら、浜寺公園にとっても、今回のライブイベントは挑戦であり、大きな第一歩となったようです。公共の公園で有料イベントはどうあるべきなのか、それを模索するイベントとしてもよく考えられたイベントだったようにも思えます。

以下余談です。
台風21号の被害で倒木や折れた木について河野さんたちに尋ねると、園路や児童遊戯場などから優先的に処理・撤去を進めており、ボランティアの協力も得て出来る範囲ではやっているのですが、専門の業者に頼まないといけない所は予算の問題もありまだ終わっていないとのことでした。そんな状況でしたから、『秋休』のライブ中のMCでも、浜寺公園への募金呼びかけが行われていました。来年は、綺麗に復旧した浜寺公園でのライブを楽しみたいですね。



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