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雑記帖 No.199

ふーどばんくOSAKA(2)

「フードバンクは施しではない」

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「子ども食堂」の取材を通じてその存在を知った「ふーどばんくOSAKA」を堺市東区にある事務所に事務局長の田原俊雄さんを訪ねました。前篇では、「ふーどばんくOSAKA」の設立や全国組織への加盟についてお話を伺いました。今回はその続きです。


■フードバンクの精神
フードバンク活動とは何なのか、その根本にある精神について田原さんは語りました。
「フードバンクは、もともとアメリカのスーパーで大量の食品が廃棄されているのを見て、それをなんとか活用できないかという所からはじまりました(1967年 アメリカ・フロリダ州にて世界初のフードバンク設立)。食品ロスを少しでも減らす取り組みというのが、フードバンクなのです。うちの理事長もよく言っているのですが、施しではないのだと。食品ロスを削減するという目的を持っていて、うちが一端食品を預からせていただく。それを活用していただくことで、施設も経費の負担が減る。浮いたお金で子どもたちの文具を買ったりする。私たちはかわいそうな人がいるから届けているわけではない」
むしろ食品を提供する企業や団体にとって、まずメリットがあるのがフードバンクといえるかもしれません。
「これも良く言われていることなのですが、企業とも施設ともウインウインの関係でなければならないのです。企業にしてみれば、食品ロスを削減できて、廃棄費用を抑えることができる。社会貢献のアピールもできます。「ふーどばんくOSAKA」は企業と施設の間をつなぐ団体になっています」


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▲ふーどばんくOSAKA事務局長田原俊雄さん。


「ふーどばんくOSAKA」では、そうしたフードバンクの趣旨や目的を理解してもらって、食品を提供してもらっています。
「廃棄コストを削減したいという部分もあるでしょうし、社会貢献をしたいという部分もあるでしょう。去年のクリスマスの時期に子どもたちにあげてくださいと、おもちゃを提供してくれた企業もありました。私たちとしては、多くの企業さんにも現場に来て欲しいと思っています。なかなか繋がらないけれど、(食品提供が役立っていることを)実感してほしいのです」
企業と施設の繋がりを実感して欲しい。現場に対する社会貢献を目の当たりにしてほしい。「ふーどばんくOSAKA」では、そんな思いもあって、これまでなかったような取り組みもはじめることになりました。


■開拓していく
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企業などから食品を預かり、施設などへお届けする。それ以外にも、「ふーどばんくOSAKA」では様々な事業への取り組みを行っています。以下に紹介しましょう。

▼フードドライブ
イベント会場などに、家庭などで余っている食品を持ち寄って集め、フードバンクに寄贈する活動のことです。
「ドライブとは動かすという意味です」
家庭の中で死蔵されていた食品を動かして役立てるから、フードドライブというわけです。
「ふーどばんくOSAKA」では、フードドライブは協力してくれるスーパーや団体の施設などにブースを出して行っています。

▼おすそわけ食デリバリー
預かった食品をパックを作ってお届けする活動です。
「個人宅に直接送ることもあるのですが、支援団体にお届けして支援団体から個人宅へお届けすることも多いのです。支援団体の方が、直接顔を見て話しをすることができる。様子をうかがうことができると、喜ばれています」
このサービスを利用した人たちからも、「箱が届くと、心が温まります」「子どもが箱を覗いて、喜んでいる姿を見るのがうれしい」といった声が届いているようです。

▼おすそわけ食マーケット
現在モデル実施されている事業です。預かった食品を渡すマーケットを開催し、地域で困っている方に取りに来てもらう。
「これは地域が主体になって行った事業です。地域の方が地域の問題に目を向けるきっかけづくりになると思います。必要とされる地域があれば、開催することをおすすめしています」


こうした事業は必要とされる方に食品を届けるという支援目的だけでなく、広報や啓蒙の効果が期待できる事業といえるでしょう。新年度でも新しい事業を計画中とのことですが、活動を周知することも活動を続けていくためには重要なことなのです。
それは、「ふーどばんくOSAKA」が今抱えている課題を解決するためにも重要なことだからです。


■解消すべき課題は?
「ふーどばんくOSAKA」の抱えている課題をお聞きすると、三つの不足があるように思えます。
「まず人手不足ですね。今、スタッフは常勤が3名、週に3日の非常勤が1人、それにボランティアさんにも5~6名来ていただいているのですが、それでも人手が足りません」
データを振り返ると、「ふーどばんくOSAKA」の活動実績はうなぎのぼりです。設立年である2013年には年間の食品取扱量は36トンでしたが、2017年度には3月時点で190トンにも上っています。5年間で5倍以上の増加です。
「食品を引き取りに行く、配送をする人手が足りません」
運送だけではありません。丁度取材をしている最中も、事務所にはひっきりなしに電話がかかってきます。
「電話を切ったら、またこっちからも電話。それにメールも沢山届きます」
支援や契約の連絡が多くなったのは喜ばしいことですが、仕事を処理するマンパワーが及ばなくなってきているのです。
「ボランティア以外のスタッフで出来る仕事かというと、出来ない。来年度はこの人手不足をなんとかしたいと思っています。車での運送が多いのでボランティアにはこれまで免許が必要でしたけれど、助手席に乗って手伝ってもらったり、倉庫での棚卸し作業をしてもらったり、運転免許が無くても出来る仕事に対してボランティアを募集したりと、色んな形でのボランティアを提示していきます」

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▲ふーどばんくOSAKAの井上博幹さん。


人手不足の解消という課題と、無関係でないのは運営費の問題です。二つ目の不足として運営費の不足があるようです。
食品の取扱量が5倍になったということは、運送するガソリン代だって増加するでしょう。より多くの運営費を得るために、会員制度の改革も行いました。
「「ふーどばんくOSAKA」は、これまで寄付と会員からの会費で運営してきました。その会員制度も改革することにしました。これまでは正会員と賛助会員という違いもありました。また、申し出はあったのですが、契約している施設や団体からの会費はお断りしていました。しかし、これからは会員の区別は無くして応援団「すけっと」団員になってもらって、応援してもらうことにしました」

そして三つめの不足は、認知の不足です。広報の不足といっていいかもしれません。
「フードバンク自体の認知度はまだまだです。多くの人にとっては、どこかで聞いたことがあるなぁ? とか前にテレビでやってたなぁ、ぐらいでしょう。私たちも、とても広報事業にまで手が回らないのです」
通常の事業だけでも人手不足の「ふーどばんくOSAKA」では、広報にまでマンパワーをまわす余裕はなかなかありません。
「イベントに出たりするときに、パンフレットを撒くのが精々ですね。自分たちでも宣伝べただなと思います。ネットもうまく活用できていないので、情報発信をサポートしていただける方に手伝ってもらえたらと思うのですが」

人員が不足しているから、広報に手が回らない。広報が不足するから、応援も集まらず運営費も不足する。運営費が足りなければ、人員の確保も難しくなる......。この三つの不足は互いに関連して、悪循環に陥りかねません。
「子ども食堂」が注目され認知されだした今、その「子ども食堂」を少なからず支えているフードバンク活動にもスポットライトがあてられてしかるべきでしょう。つーる・ど・堺でも、引き続き「ふーどばんくOSAKA」の活動に注目して、さらにつっこんだ取材を行うことにしました。




ふーどばんくOSAKA
住所:堺市東区八下町1-122 大阪食品流通センター内
電話:072-258-2201 FAX: 072-275-7763
web:http://www.foodbank-osaka.jp/


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